岩代俊明作品の書評/レビュー

PSYREN−サイレン− (16)

道を閉ざされてもつながり続ける
評価:☆☆☆☆★
 第4のPSYであるノヴァを手に入れ、ドリフト世界での最終決戦の場へと降り立った夜科アゲハは、天戯弥勒との再会を果たす。その場に同席するのは、サイレンドリフトの能力者にして弥勒の姉、グリゴリ07号だった。  そして、戻ってきた現代。期間時刻にはずれが生じており、戻ってきた世界ではW.I.S.Eが暴れ、特異能力者たちは迫害されていた。未来を変えるポイント、約束の涙墜落まであと4日!  アゲハや雨宮桜子たちは、ドリフト世界とは異なる未来を手に入れることが出来るのか?そして、ドリフト世界の未来は?  サイレンドリフトたちの物語は、堂々の完結を迎える。  メルゼスの力を解放させたアゲハは、人間としての未来を掴むことが出来るのか。弥勒の目指した世界とは何だったのか。そして彼ら二人の道を分かつものは何だったのか。そんなことを考えながら読んでみても良いかもしれない。
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PSYREN−サイレン− (15)

回収される伏線たち
評価:☆☆☆☆☆
 W.I.S.E.から世界を開放するため、エルモア・ウッズの子供たちを中心とするレジスタンスのメンバーは、W.I.S.E.の本拠地に対して総攻撃を仕掛ける。
 だがその時、夜科アゲハと雨宮桜子は、第四のPSYであるノヴァの習得に臨んでいた。二人は決戦に間に合うのか?

 次巻を最終巻に控え、物語は佳境へと差し掛かる。これまで伏線として張られてきたこと、例えば、望月朧はどこへ消えたのか?八雲祭と雹堂影虎はどこへ消えてしまったのか?W.I.S.E.元老院とは何のための組織なのか?、そんなことが明らかになる。
 そして、戦いの最中に生まれる人と人の絆。雨宮桜子とその裏人格であるアビスの問題や、さらわれたマリィとさらったヴィーゴの交流など、盛りだくさんの構成となっている。

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PSYREN−サイレン− (14)

最後の希望が傷つく日、そして
評価:☆☆☆☆☆
 天樹院エルモアが運営する人類最後の砦、ルートは、ついにW.I.S.E.の侵入を許してしまう。エルモアウッズの子供たちが守る隙を突いて、W.I.S.E.の精鋭部隊スカージは次々と住民を捕らえていく。カイル、フレデリカ、シャオ、晴彦たちが必死に食い止めたと思ったのも束の間、第二星将ジュナスが牙をむく。
 その圧倒的な実力の前に崩れ落ちるシャオ、そして夜科アゲハ。その時、彼らの前に意外な人物が救援に訪れる。

 W.I.S.E.が君臨する未来において残された希望であるルートに訪れる存亡のピンチ。過去からのサイレンドリフトである雨宮桜子やアゲハは、彼らをどこまでサポートすることが出来るか。そして彼ら自身の未来を変えることが出来るか。両者の未来をかけたバトルが繰り広げられる。

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PSYREN−サイレン− (13)

総力戦の始まり
評価:☆☆☆☆☆
 天戯弥勒の暴走を未然に防ぐ作戦は失敗に終わり、彼の下には続々と未来の星将たちが集結していく。現在の弥勒の居所を探るため、夜科アゲハは新たな作戦を提案する。そして再びあのベルの音が鳴り響く。
 訪れた未来の世界では、現代での行動を受けて再び歴史が書き換えられていた。その結果として起きる大きな危機に、アゲハと雨宮桜子、エルモア・ウッズの子どもたちが立ち向かう。

 未来では、お互いがはっきりと敵を認識した状態でガチンコのバトルが始まる。その中で、思うように力を震えない状況を作られてしまったフレデリカたち。
 一方、現代では、未来には渡れない八雲祭と雹堂影虎が何をしようとしているのか。未だ描かれることのないそのことが気になる。

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PSYREN−サイレン− (12)

研究所潜入作戦
評価:☆☆☆☆☆
 グリゴリ実験体の脳内に埋め込まれたナノマシンチップを利用してW.I.S.E.を止めるため、陸上自衛隊が厳重に警備網を敷く研究所へ潜入を試みる八雲祭と夜科アゲハ、バックアップの雨宮桜子。
 通常戦力を一蹴していく二人だが、そこには思わぬ妨害が入る。そして、八雲祭の身に起きることとは。

 雨宮のあれを書いておくことは、今後の展開に必要なのかよく分からなかった。

 ジャンプネクスト掲載の番外編「PSYREN捕物帳」を収録。

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PSYREN−サイレン− (11)

影虎とジュナスの対決
評価:☆☆☆☆☆
 天戯弥勒の痕跡を求めて、彼が幼少期を過ごした児童養護施設を訪れる雹堂影虎と夢路晴彦、東雲嵐の3人だが、既に記録は処分されていた。そして、それをこなしたジュナスの姿が。雹堂とジュナスの対決が始まる。
 一方、天戯弥勒も新たな仲間を求め、闘いを繰り広げていた。

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PSYREN−サイレン− (10)

自分が作り上げたい未来のために
評価:☆☆☆☆☆
 ネメシスQの生みの親グリゴリ07号との接触が夜科アゲハに生み出したものは怒りだった。夜科は優しいが、その優しさは身内にしか向かない。ゆえに、グリゴリ07号の悲惨な生い立ちを知っても、彼の心に浮かぶのは、彼女の自分勝手な理由によって引き起こされた出来事により、身内を傷つけられた怒りしかないのだ。
 それなのに、その怒りが彼の行動を縛ることはなく、きわめて冷静に現実的な行動を選択できることも、彼の大きな特徴のひとつだろう。そしてそれは、身内に向けられる優しさにも例外なく適用される。あるいは、明確に優先順位付けがなされているのかも知れない。もっとも大切なものを守るためならば、その次の何かは捨ててしまっても良いというような…。

 一方で、これまでは冷静さと強さの象徴だった雨宮桜子は、脆さを露呈させ始める。もともと、相手から離れることで傷つく理由も作らない、というような方法で形作られた"強さ"だったので、それはいつ崩れてもおかしくはなかったと思う。だが、強さがなくても良いと彼女が思えるようになったのは、自分が誰かに守ってもらえる、ということを強く感じているからなのかもしれない。

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PSYREN−サイレン− (9)

自分に都合のよい世界
評価:☆☆☆☆★
 ネメシスQからのSOSを受けた夜科と雨宮は、エルモア・ウッドのマリー、フレデリカ、カイルたちの力を借りて救出に向かう。彼らの前に立ちふさがったのは、W.I.S.E.ではない、生き残り集団のサイキッカーたちだった。
 避けられない未来ならば自分の居心地のよい場所を作るためだけに、他の可能性を全て切り捨てたサイキッカーと、希望を取り戻すために日々研鑽を積み続ける若者たち。同じ未来を知ったにも拘らず、異なる方法を選んだ人々の対決と見ることもできるかもしれない。

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PSYREN−サイレン− (8)

揺れる振り子の平衡点
評価:☆☆☆☆☆
 シャイナとドルキの襲撃で壊滅状態に陥ったアゲハたちの前に現れたのは懐かしい人々だった。彼らのおかげで何とか危機を切り抜けたアゲハと雨宮は、彼らの口からリバースデイに起こった出来事を知る。その時、世界に何が起きたのか?
 現代での行動が未来を変え、未来の出来事が現代に影響を及ぼす。何も変えられなかったというアゲハの後悔の念が、希望の兆しに変わるとき。現代と未来から、少しずつ変化の瞬間に迫っていく。

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PSYREN−サイレン− (7)

つながる現在と未来、そして一つの疑問
評価:☆☆☆☆☆
 影虎を救出すべく活動するアゲハの前に姿を現したW.I.S.E.の統率者、天戯弥勒。ついに現代と未来をつなぐキーを見つけたにも拘らず、彼とエルモア・ウッズの子供たちの出会いは、DVDに記された未来を変えてしまう。そして、違った形で現れた最悪の未来を避けるために動き出したアゲハたちの前に現れたのは、ネメシスQだった。

 空きページと巻末のおまけマンガがよい。ストーリーの中では描ききれない人間関係が良く分かる。

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PSYREN−サイレン− (6)

手繰り寄せる糸の先に
評価:☆☆☆☆☆
 エルモア・ウッズの子供たちとW.I.S.E.の関係を知り、現代でPSYRENの世界の始まりを探求し始めた夜科アゲハ。手始めに、子供たちが破滅する未来を回避するため天樹院エルモアの元を訪れるのだが、その試みはネメシスQの登場により妨害される。
 同じ頃、サイキッカー犯罪者を追跡していた雹堂影虎は敵の罠にかかり拘束されていた。そして、彼らのアジトの壁に描かれていたのは、W.I.S.Eの紋章だった。

 八雲祭や望月朧などを介して徐々に広がってきたサイキッカー同士のつながりと、PSYREN世界での情報収集の結果として、現代におけるW.I.S.E.の影がちらついてきた。アゲハの行動によって表舞台に出てきたエルモア・ウッズの子供たちの能力も明らかになりつつある。
 意図的に変化させられている歴史の中で、どこまでが作為でどこからが偶然なのか。人との出会いによって人はどのように変化するのか。そういったところも見ていきたい。

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PSYREN (5)

かつて起こったこと、でも変えられるかもしれないこと
評価:☆☆☆☆☆
 カブトの叔父が残したDVDには、ワイズとの戦いに臨むエルモア・ウッドの子供たちが記録されていた。極めて近い未来に起きる破滅的な事態を回避することを決意する夜科たち。その時、マツリがかつて遭遇したワイズのメンバー、ドルキが禁人種を連れて現れる。夜科&カブト、雨宮、飛龍&朧、それぞれの闘いが繰り広げられる。

 これまでは、夜科がサイレン世界で闘うのは、雨宮を一人にしないという理由が大きかったように思う。しかし、今回、仲良くなったエルモア・ウッドの子供たちが、近い将来、ワイズと関係してくることを知り、その未来を変えるという強い動機が沸き起こったようだ。今後は、現実とサイレン世界のつながりが、より強固になって行くだろう。
 夜科たちのパワー対決、雨宮のトリッキーな対決など、傾向の違う戦闘シーンが満載で、かつ、ワイズの組織構成が垣間見えてきた。

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PSYREN (4)

ストーリーの転換点
評価:☆☆☆☆☆
 何とか未来から生還したアゲハたち。生き残る確率を少しでも上げるために、PSIの能力強化の訓練に明け暮れることとなる。その過程で出会う、PSYRENと係わりのない現代のサイキッカーたち。
 それぞれの訓練の成果を携え、三度、PSYRENへと飛ばされるアゲハ達だが、単独行動をとった霧崎のおかげで、PSYRENの成り立ちの秘密の一端に触れる。彼らは無事に入手した情報を持ち、現代に帰還できるのか。

 3巻まではPSYRENでとにかく生き残ることがメインでしたが、何とか生き残るための力を身につけつつあるいま、PSYRENの謎を解くということに軸足が移って来ました。訓練の過程で知り合った現代のサイキッカーたちは、今後とも物語に絡んできそうな予感。近未来の出来事と現代の出来事の接触点は意外に近そうです。

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PSYREN (3)

真摯な気持ちを感じます
評価:☆☆☆☆★
 夜科と朝河にとっては二度目のサイレンの世界。襲い掛かる蟲と、それをも圧倒するバースト使いの禁人種。しかもどうやら彼は、朝河の幼馴染であるタツオであるらしい。発症した朧と兜を抱えながら、どうすれば意識の無いタツオを救い出すことが出来るのか!
 しかし、前回といい、今回といい、舞台に残ったメンバーでギリギリ生き残れる敵があてがわれているような気がして仕方が無い。一体、ネメシスQの目的とは何なのだろうか。

 派手に暴れて動き回るキャラを動、精神的にキレているキャラを静とすると、静のキャラが多いのがこの作品の特徴だと思う。ジャンプの方向性的にか、激しい戦闘シーンが多いのとは裏腹だ。同様に、キャラは派手に動いているのに、コマ割りはとても綺麗だったりするのも対照的。これらのせいか分からないが、何か違和感を感じるシーンが時々あったりする。
 作者の、真面目に丁寧に描いていこうという姿勢と、ジャンプに求められている王道的な方向性がきっちりと合致したら、おそらく看板作品と呼ばれるポジションにいけるのではないかと思う。

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