岩本直輝作品の書評/レビュー

magico (8)

みんなの願い
評価:☆☆☆☆☆
 黒魔女エキドナの頭部とはじまりの魔術師テューポーン・オズの手下だったアニスは、シオン・エリファス・レヴィや黒魔女の心臓を持つ少女エマ、ルーたちと暮す内に感化され、創造主であるオズを裏切り、彼を倒すために月へと向かった。その情報を知ったシオンはすぐに月へと向かおうとし、エマもそれに同行すると言い張る。
 一方、長年探し求めてきたオズの居場所をようやく探知できた世界賢者機関は、オズを倒すために総力を結集して月へと向かうのだった。

 シリーズ最終巻。読切「カラクリリンク」も収録。こちらは心を持ったからくり少女と繰り手の少年のラブコメ。
 オリジナルストーリーとして、二日間抱き合ったままでいる永遠抱擁儀の様子を描いた短編や、シリーズ完結後のキャラたちのカットもいくつか収録している。

 総括すると、シリーズ前半はドキドキしたが、途中から妙な方向に行っちゃった気もするな。

magico (7)

エマを巡って大激戦
評価:☆☆☆☆☆
 シオン・エリファス・レヴィと黒魔女の心臓を持つ少女エマは、西方三賢者の一人レイヴンから受け取った手紙に導かれ、儀式学校エクノヴィアスへと向かう。レイヴンがくれるという魔女結婚儀に必要なアイテムをもらって帰るだけのつもりだったシオンだったが、レイヴンがエマにプロポーズしたことで、事態は急展開を迎える。
 レイヴンの恋を後押しする儀式学校の生徒たちの熱気に押され、根っからの照れ屋であるシオンは、エマに素直に気持ちを伝えることが出来ない。一方、開き直ったレイヴンは、熱烈な愛をエマに伝えてくるのだった。

 儀式のアイテムである「不死鳥の三本尾」を手に入れるため「魔術王の海上遊園地」へと向かったレイヴンを追いかけるシオンと、それについてきてしまったエマとルー。
 来場者に死をもたらすという危険な遊園地だというにもかかわらず、お目付役のアニスはどこかへと出かけてしまい、しかも味方は分断されて大ピンチ。果たしてシオンはアイテムを手に入れられるのか。そしてエマをレイヴンに寝取られずに済むのか。ドキドキの展開だ。

 最後にレイヴンがエマを見つめるシーンが妙に切ない。そしてエキドナとそれを作った魔術師テューポーン・オズが登場し、なんだか終わりが見えてきた。

magico (6)

潰される逆転の目
評価:☆☆☆☆★
 魔女結婚儀・魔法屋敷儀を行うため、ベストカップル・コンテストに出場したシオン・エリファス・レヴィと黒魔女の心臓を持つ少女エマは、最終決戦のリングバトルの儀において、ジュウベエ&アヤメ夫妻との死闘を制した。しかしそこで、シオンの兄ファウストとその妻役のアインが乱入し、ヨシュア&ロゼッタ以外の参加者たちを死体に変えてしまう。
 ドクロに挟まれれば死に、人間に挟まれれば生き返るという奇妙な魔法を操るファウストたちを前に、生き残った夫婦は共闘を開始した。しかし、敵のコンビネーションは巧みで、ついには、シオンただ一人が生き残ることとなってしまう。

 盤上に残ったのはシオンとファウスト、そして数多くの戦う死体たち。一人だけでは挟むことも出来ない今、逆転は絶望的にしか思えない。だがそれでもシオンは、自身の大切なものを贄として、逆転のための奥の手を繰り出す。

 シオンの代償は、いつまでも新鮮な気持ちでいられるとポジティブに解釈しても、ちょっと解釈しきれないかも。よくルーは一瞬で納得したよ。
 そして新キャラとして、最後の西方三賢者の一人レイヴンが登場する。しかし、魔法屋敷儀編はメチャクチャ長かったな。

magico (5)

ベストカップル誕生となるか?
評価:☆☆☆☆★
 魔女結婚儀・魔法屋敷儀を行うため、ベストカップル・コンテストに出場することになったシオン・エリファス・レヴィと黒魔女の心臓を持つ少女エマ。勝負はついに最終決戦の、結婚指輪を奪い合うリングバトルの儀となった。その舞台には、強敵と思われるジュウベエ&アヤメ、ヨシュア&ロゼッタのカップルも残っている。
 パートナーとして互いに補い合って戦うライバルたちに、シオンとエマは対抗することが出来るのか?そして戦いの結末は、意外な方向へと向かうこととなる。

 シオンとエマのキャラクターがずいぶん仕上がって来たように思う。表面的にはエマをシオンが助けるというのが物語の構造ではあるが、その起源に立ち返れば、シオンをエマが救ったというのが動機にあるわけで、結局、エマがシオンを支えるという展開にならざるを得ないのだろう。

magico (4)

クイズに挑戦!
評価:☆☆☆☆★
 魔女結婚儀・魔法屋敷儀を行うため、ベストカップル・コンテストに出場することになったシオン・エリファス・レヴィと黒魔女の心臓を持つ少女エマ。ライバルたちは、強い絆を誇るカップルたちだ。その中でも、以前に偶然出会った口の悪いヨシュアと美女のロゼッタのカップルは、何故かシオンたちによく絡んでくる。
 順調に試合を勝ち進んでいるように思えたシオンたちだったが、まだ一緒に過ごすようになってわずかの時間しか経っていない二人は、まだまだお互いを理解していないところもある。おかげでお互いの秘密を暴露するクイズでは大苦戦。そして最後のクイズでは、彼らがこのコンテストに参加した理由が問われる。

 バトル展開から移り変わり、同じバトルでも一方的なものではなくなって来る。その分、キャラクターの事情に切り込めるようになった気がする。
 シオンの事情、エマの気持ち、そして彼らと関わることで運命が変わるという人々。シオンとエマだけだった物語も、周囲を巻き込んで進行するようになった。

magico (3)

目的と目的の衝突
評価:☆☆☆☆☆
 魔女結婚儀の魔婚礼服に必要な三神着を犯罪魔術師・常闇の三兄弟に奪われてしまい、彼らが持ちかけた勝負を受けざるを得なくなってしまったシオンとエマ、ルーたちは、三兄弟のアジトへと誘い込まれる。
 互いの命をすり潰しながら後に繋ぎ、目的を遂げようとする三兄弟に対し、シオンはルーの意外な能力の助けを借りつつ、助け合って三兄弟を退けようとする。それにはエマやアニスも例外ではない。そして戦いの結末は…。

 目的自体に善悪がないとすれば、常闇の三兄弟がやろうとしたことも、シオンたちが成し遂げようとしていることも、等しく価値があることになり、その目的が互いに相反するのであれば、衝突は避けようがないことだった。
 しかし、そもそも目的設定が正しかったのか?シオンはガスパにその疑問を呈する。そして戦いの中でリオネルの真意を悟らされたガスパがあの結末に至ったのは、当然だろう。結局彼は、過去の彼ら自身の似姿を前に、負けを認めたのだ。

 でもでもルーの能力はちょっと反則チックだったかも。アレをいつでも使えるならかなりの切り札になるんじゃない?
 番外編として、NEXT!掲載のマンガも収録。

magico (2)

戦いの中で少女が見つけたもの
評価:☆☆☆☆★
 黒魔女の心臓を持つエマを助けるため、西方三賢者にして紫銀の箒使いと呼ばれる魔法使いのシオン・エリファス・レヴィは、魔女結婚儀という複雑で長大な儀式魔法に挑んでいる。次の儀式は神泉ルナで沐浴をしながら呪文を唱えるという儀式だ。
 その神泉ルナがある悪魔の樹海で、シオンとエマ、黒猫のアニスは、ルーという魔法少女と出会い仲良くなる。彼女はたった一人で、この森に住んでいるらしい。

 そしてはじまった聖沐浴儀の最中に、黒魔女の心臓を狙う緋空の皇帝、ゾディア・シンクが現れ、儀式の邪魔をしようとする。しかしシオンは儀式中で動けない。このピンチをどうやって切り抜ける?


 ルーがなぜ悪魔の樹海に暮らすようになったのか、その事情が明らかになる。それは、分別もつかず事情も分からない子どもを言いくるめて犠牲にする、汚いやり方だった。しかし、ルーはシオンやエマと出会うことで、それまで手に入れられなかったものを手に入れ、彼女は新たに戦うための力を手に入れる。
 巻末のつけられたおまけでは、ルーのエピソードに関するプロローグとエピローグが収録されている。特にエピローグのカットがグッド。

magico (1)

私たち結婚します!
評価:☆☆☆☆★
 田舎から上京してきたエマは、いきなり王様に見染められ、結婚式を挙げることになってしまう。そこにドラゴンに乗って現れるのが、魔法使いのシオン。シオンはエマがエキドナという、500年に一度生まれる魔女であり、その心臓を多くの魔法使いたちが狙っていることを教える。王様がエマを見染めたのも、黒魔女の魔力のせいだったのだ。
 ようやく自由な生活ができると思い、喜び勇んで都会に来たにもかかわらず、実は自分が災厄を振りまく存在であると知り落ち込むエマに、シオンはひとつの提案をする。それは、マジコという、エキドナの魔力を抑え込むための儀式を実行すれば、普通に生きられる可能性があるということ。そのためには、シオンと結婚して儀式を行う必要があるらしい。こうして二人の旅が始まった。

 連載時は結構惹きつけられたし、きゅーんとしちゃう感じだったけれど、単行本になったら普通の印象になってしまった。それに、妙に短いサイクルでテコ入れをするので、あんまり落ち着かない。いやいや、ジャンプって厳しいですね。

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