内乃秋也作品の書評/レビュー

なぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか? (4)

恋愛暴走特急
評価:☆☆☆☆★
 東堂院聖也は彼女のいないまま、高校二年生になった。クラス替えになり、ほとんど知らない人ばかりのクラスとなった東堂院聖也は、クラスでの位置取りを失敗し、小学校時代のクラスメイトであり、いまひとつ冴えない岡大地と行動を共にすることになる。
 ところが、良い意味で期待を裏切り、岡大地の行動力が、クラスでも一番可愛い橘静香とカラオケに行けることになった。全ては上手くいっていると思われたのだが…。

 ちょっと大人っぽい先輩の早乙女瑠璃に対してはイタいことをしてしまったり、東堂院聖也の暴走癖は悪化していく。だがそれが良いのか悪いのか…?

なぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか? (3)

素直に言えないお年ごろ
評価:☆☆☆☆★
 一度は振られた林由紀のことが忘れられない。この思いは本物だ。そう感じた東堂院聖也は、再び彼女にアプローチを開始する。そんなとき、実は彼女が野球部にいる中学時代の先輩が好きかも知れないということを察し、その先輩を見習うため、東堂院聖也は野球部に仮入部する。
 ところがそこで、マネージャーをしている中学生の小金井沙緒に興味を抱かれ、兄のグローブを渡すという名目で、東堂院聖也は彼女の家にお邪魔することになってしまう。

 ついついそこで見栄を張って、東堂院聖也は林由紀とつき合っているという嘘をついてしまうのだが、小金井沙緒がそれをぽろりと本人に言ってしまい…。
 菊池沙也加も再登場し、弱っている東堂院聖也の心は揺れ動きます。

なぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか? (2)

そっちじゃないよ、こっちだよ
評価:☆☆☆☆★
 眉目秀麗にして頭脳明晰、運動神経抜群で父親は資産家。天から何物も与えられた少年・東堂院聖也は、なぜか彼女が出来ない。一目惚れしては告白するのだが、あっさり振られてしまう。そんなどん底の学校生活を送っていたある日、友達としか思っていなかった菊池沙也加から突然告白されてしまう。しかし、いま気になっている大堀恵の気持ちを知るまではもうちょっと待って欲しいというのが本音だ。そこで聖也の取った行動は…。
 一度振られた林由紀の再登場、メイドのお姉さん李花の意外な日常の姿を愛でつつ、再び聖也が自己嫌悪のスパイラルに陥っていく。

 今回は「あっ、ここで彼の運命が変わったな…」と感じるポイントが2ヶ所くらいあった気がする。もてるという状態は、ある意味で双方向になれるか否かだから、相手がダメという場合だけじゃなく、こっちが気づかないという場合もあるんだな。そこで気づいていればまた別の展開もあるのに、華やかな方や手に入らない方に気をとられちゃうからダメなのか…。むずかしい。
 さてさて、またダメな方に突っ込んでいこうとする聖也の行く手には、何が待ち構えているのか?

なぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか? (1)

羨ましいのに羨ましくない
評価:☆☆☆☆☆
 東堂院聖也は、眉目秀麗、成績優秀、運動神経抜群、そして実家は金持ちでメイドさんまでいる恵まれた高校生なのだが、本人にはひとつ不満がある。それは今まで一度も彼女がいたことがないことだ。
 モテる要件は備えているはずなのに、何故かモテない。自分より明らかに格下の人間でも、彼女がいるのに、自分にはいない。なぜだ…!高校で彼女を作るという目標を定めた聖也は、ただひとり世界に対して、恋愛戦争を挑む。

 もはや彼の置かれた状況は、恋愛欠乏症と言っても過言ではない。ゆえに、ちょっと二人きりになったり、優しくされたり、普通に会話が出来たりすると、相手に好意を抱いてしまう。そして彼の妄想は暴走し、様々に先走り過ぎてしまう。結果、失敗。というのが王道パターンだ。
 基本的に善人でお人よしの部分があるので、他人の弱みに付け込んだりすることができない。思いっきり揺れ動きながらも、結局は他人のために行動してしまう。彼女がいないという弱点と、そういった善性が、前に述べた様な恵まれた人間でありながら、彼に対して嫉妬を感じさせないことに貢献しているのだろう。

 だがそん彼にも転機が訪れる。思っても見ない方面からの奇襲攻撃に、彼はどのように対処するのだろうか?

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