えすのサカエ作品の書評/レビュー

ビッグオーダー (9)

評価:☆☆☆☆★
DAISY神の物質化

ビッグオーダー (8)

公開される事実
評価:☆☆☆☆★
 瀬奈に巻き込まれてクーデターに参加することになった葉鳥は、首相権限を賭けてダイス勝負をすることになってしまう。ドМを堪能する葉鳥…。
 一方、瀬奈がクーデターを起こし大破壊を再度起こそうとしていることが信じられないエイジは、何とか彼女のやっていることを誤魔化そうとあがくのだった。

ビッグオーダー (7)

真の仲間
評価:☆☆☆☆★
 消えた星宮瀬奈を追おうとする星宮エイジだったが、大宰府政庁が手を引いてしまい、誰も味方がいなくなってしまう。その時、彼の脳裏に浮かんだ味方とは?

ビッグオーダー (6)

真の能力
評価:☆☆☆☆★
 大阪城崩壊の原因を作った星宮源内は星宮瀬奈をさらって逃走し、星宮エイジは大きな傷を負って柊義経大佐ら大宰府政庁に拘束された。
 監視に残された壱与を誑かし脱出した星宮エイジは、妹を救うために動き出す。一方、紅鈴がそばにつく星宮瀬奈は、星宮源内の手により、10年前の記憶を取り戻しつつあった。

 逆五芒星の封印が解かれ、星宮源内の目的が明らかになる。

ビッグオーダー (5)

妹の反撃
評価:☆☆☆☆★
 国連暫定統治機構公安部の葉鳥半蔵や百鬼百太郎に唆されたアブラアン・ルイ・フランによって星宮エイジの妹である星宮瀬奈が拉致された。星宮エイジは柊義経大佐ら大宰府政庁十人衆との契約を打ち切り、壱与が引き留めるのも聞かず、寸断殺人を連れて淡路島へと向かう。
 一方、拉致された側の星宮瀬奈は、葉鳥半蔵に裏切られて始末されかけていたフランを取り込み、紅鈴少尉を従えて、兄の世界に対する罪を取り消すべく、星宮源内と対峙しようとしていた。

ビッグオーダー (4)

壱与の精一杯
評価:☆☆☆☆☆
 紅鈴少尉は国連暫定統治機構公安部の葉鳥半蔵について行ってしまった。さらには、大破壊は星宮エイジの父である星宮源内の意図が密接に関係しているともいう。混乱するエイジだったが、妹の瀬奈を救うため神魂命(カミムスビ)の協力を仰ぐべく、「四の手」壱与と共に出雲へと向かう。たとえ、大宰府政庁十人衆「三の手」柊義経大佐に利用されているのだとしても。

 そうしてやってきた出雲では、壱与の占いによれば、神魂命は洞窟の地下にいるらしい。向かった先には確かに探し人がいたのだが、エイジは女難と水難の相に見舞われることになる。

 壱与の大胆積極アプローチと、エイジに新能力が発現、更にはエイジにラブコメフラグがあった過去が明らかになる。いやいや、そんなことより、柊義経の過去のエピソードの方が衝撃でしょう。

ビッグオーダー (3)

敵味方に別たれ
評価:☆☆☆☆☆
 難病で余命幾ばくもない妹の瀬奈を人質に取られ、大宰府政庁によるクーデターの傀儡となった星宮エイジは、国連を中心に命を狙われながらも、十年前にDAISYに与えられたオーダーを利用しつつ、山口県を領地とすることに成功した。
 大宰府政庁十人衆「三の手」柊義経大佐が次に命じてきたのは、出雲の奪取だ。出雲には神魂命(カミムスビ)という癒やしのオーダーを持つ能力者もいるためエイジも逆らえず、その足がかりとして、国連の統治が及んでいない広島へ紅鈴少尉や「四の手」壱与と共に向かう。

 ところが広島は、極道たちが支配する地域で、しかも、大宰府政庁が咬竜組組長の孫、足玉ヒカリを誘拐した結果、白獅子組との抗争一歩手前の状況に陥っていた。

 なぜ大宰府政庁十人衆はクーデターを起こしたのか。その理由である人物、星宮源内がその姿を現し始める。彼は何をし、何を狙っているのか。その謎を追いかけつつ、妹を助けるために、エイジは動くことになるのだろう。

ビッグオーダー (2)

護る者に狙われる
評価:☆☆☆☆☆
 妹の瀬奈の身柄を盾に、大宰府政庁によるクーデターの傀儡とされてしまった星宮エイジは、10年前に世界の滅亡を引き起こした大悪人として、そして現在、世界に対して反逆しようとしている犯罪者として、国連を中心に命を狙われることになる。
 大宰府政庁の十人衆「三の手」柊義経大佐が星宮エイジに命じてきたのは、“猛々しき石神”が支配する山口に侵攻し、要人を確保することだ。

 一度は政庁により逮捕されたはずの紅鈴少尉もなぜか釈放され、再びエイジは命を狙われることになる。作戦に同行する「四の手」壱与の心中も読めない中、十人衆の思惑を脱し、妹を助け出すことが出来るのか?

 かつて能力の暴走から大罪を犯したエイジではあるが、いまは妹を助けると言う目的を果たしつつも、犠牲者を出さない方法を取りたいと考え、実行している。しかしそんな彼を殺そうとする国連は、大儀のため、無辜の民を犠牲にしてでもエイジを抹殺する作戦を遂行してくるのだ。
 そんな中、表面的にはエイジの味方であるはずの十人衆にも、相反する動きが見え、誰を信じられるか分からない。結局、敵と言う立場がはっきりしている鈴が、最も使いやすい駒となっていることが皮肉ではある。

 このまま、日本を西から塗りつぶしていく戦いを単調に続けるのか、はたまた何か大きなイベントが起きるのか、展開はまだ読みきれない。

ビッグオーダー (1)

世界は滅び、そして再生する
評価:☆☆☆☆☆
 星宮エイジは10年前に世界の滅亡を引き起こした。願いをもとに能力・オーダーを作る存在、DAISYに出会ったエイジは、当時好きだったダークヒーロー・ダイアクジャーの願いに基づき、とある能力を手に入れて暴走させてしまったのだ。
 それから10年、能力を使わず普通の学生として生活して来たのだが、その仮初の平穏は、紅鈴という少女が転校してきたことで崩れてしまう。

 滅亡した世界を侵略して再生させるという設定に基づき、たった一つの能力を持った少年が、自分を殺そうとする少女をそばに置きつつ、彼を傀儡にしようとする大人たちに相対しつつ、戦う物語の様だ。
 一目ぼれした少女が自分を仇と狙って来て、しかもオーダーのせいで自らの側に置かなければならないというのが、いかにもトラブルが起きやすそうな状況。しかも少女は能力で半不死身なので、自分の体を張ったギャグをかましてくるのだ!…本人にはそんなつもりはなかろうが。

 「未来日記」の天野雪輝に比べれば、主人公らしい主人公かもしれない。

未来日記パラドックス

秋瀬或の無敵ぶり
評価:☆☆☆☆☆
 秋瀬或が主人公となって、5th・豊穣礼佑や6th・春日野椿、12th・平坂黄泉などを助けるアナザー・ストーリー。設定的には、ムルムルが因果律を壊して我妻由乃が消え、天野雪輝が3rdに殺されるようになってしまい、慌てたムルムルが、自分を由乃に、雪輝を秋瀬に見立てて急場をしのぎ、元通りに戻そうとする。
 しかし秋瀬或の能力はムルムルの想定をはるかに超えていて、雪輝の辿る予定の道をちっとも通ってくれない。春日野椿が泣いていることを知れば彼女を助け、豊穣礼佑に父母のぬくもりを与え、平坂黄泉には正義の道を指し示す。そして彼らが死なず、笑って過ごせる未来を作り出してしまうのだ。

 だがそれはムルムルにとって望むところではなく、本来の残虐な殺し合いに戻すため、秋瀬或を排除しようとする。それを乗り越えてたどり着いた先で知る、ムルムルの真の狙いとは…?
 二巡目の世界も実は一度やり直していたのだという事実が明らかになる。だから、秋瀬或がデウスの前に現れたとき、ムルムルは“また”といったわけだ。

 もし秋瀬或が主人公だったとしたら、物語はきっともっと簡単にハッピーエンドになってしまったのだろうな。

未来日記モザイク

みねね本
評価:☆☆☆☆☆
 一言でいえば、雨流みねね本だ。みねねと刑事の西島真澄の関係はどこから始まったのかとか、豊穣礼佑とみねねはどこで知り合ったのかとか、みねねが御目方教に監禁された経緯など、本編ではスルーされたエピソードが語られる。
 みねねのお人よしぶりや、彼女がテロのターゲットとしていたのが宗教関係者だったこと、また、彼女がこの未来日記のゲームに参加した動機などが分かるわけだが、ちょっとだけ疑問が残った。

 それは、なぜ彼女は桜見中学校の生徒たちを巻き込んだのか、ということだ。天野雪輝と我妻由乃をターゲットにするのは分かる。彼らは彼女の敵なのだから当たり前だ。しかし、他の生徒たちは全く無関係で、巻き込まれただけにすぎない。
 彼女が、彼女の過去に関係して宗教関係者を狙って来たのならば、そして彼女自身の過去を考えるならば、テロに巻き込まれる子ども、という存在は、あまり発生させたくないと考えるのではないかと思うのだ。

 もしかすると、自分もそんな目にあったのだから他のヤツらも同じ目にあえば良い、という考え方もできるのかもしれないが、豊穣礼佑のエピソードからうかがえる、親のない子供に対する彼女のお人よしぶりから考えると、あまりそうは思えない。
 そんな疑問はあるけれど、みねねの少女っぽい一面も見られる補完エピソード集だ。

未来日記 (12)

過ちを繰り返さない
評価:☆☆☆☆☆
 ついにクライマックス。現在の世界は二巡目の世界だった。一巡目の世界で神となった我妻由乃は、天野雪輝のと蜜月をやり直すため、二巡目の世界の由乃を殺してなり替わったのだ。
 由乃の過ちを繰り返させないため、雨流みねねに引き連れられて三巡目の世界へと渡っていく雪輝。由乃は再び、三巡目の由乃を殺すことで、もう一度、やり直そうというのだが…。

 雪輝にとって由乃がどんな存在かを象徴するラストとなっている。

未来日記 (11)

嘘でも信じたい
評価:☆☆☆☆☆
 秋瀬或の作戦で天野雪輝の前に立ちふさがる、日野日向と野々坂まお、そしてついでに高坂王子。彼らは雪輝に、我妻由乃の言葉は嘘であり、神になっても死んだ人間は生き返らせないという事実を告げる。
 しかし、これまで散々、多くの人を犠牲にし、更に父母も失った雪輝は、由乃の言葉を信じたい。だから雪輝の選んだ道は…。

 ついに由乃の真意が明らかになる。秋瀬或が由乃の未来日記から暴いた真実とは?クライマックスに向けて、まっさかさまに落ちていく感じがする。

未来日記 (10)

未来を取り戻せ
評価:☆☆☆☆☆
 段々と終わりが見えて来た。11thである桜見市長ジョン・パックスを両親の仇と憎む天野雪輝は、我妻由乃を率い、マスコミを動員して市長の立場を捨てられない11thの手を封じつつ、襲撃をかける。途中合流した9th・雨流みねねを味方に引き込もうとするのだが…。
 そして8th・上下かまどを逃がした秋瀬或は、雪輝を救うため、彼とは別行動をとりながら、今回の事件の真相に迫っていく。

 様々な立場の様々な思惑が徐々に明らかになって来た。

未来日記 (9)

雪輝の覚醒
評価:☆☆☆☆☆
 ユッキー、かっこいいよ!天野雪輝が自分の道を自分で選ぶように成長している。その分、虐殺度は上昇。高坂王子が常識論を代弁するという、倒錯的な演出が何ともおかしい。
 そして、雨流みねねは意外に押しに弱いことが発覚。言いくるめられないほど押してくる人間には、そのまま押し切られちゃうんだ…。普通の人は、彼女のバックグラウンドから来る強い言葉に押し負けちゃうんだけどね。おっかねえな、押しの強い人。

 そして未来日記を巡る戦いは、桜見市を巻き込む大規模なものへと発展していく。

未来日記 (8)

由乃の正体
評価:☆☆☆☆☆
 父親により母親を刺し殺された天野雪輝は、母の写真を部屋中に張り引きこもる。そんなとき、父が自宅に帰って来た。雪輝は彼を問い詰めるのだが、証拠がないと言って一蹴する。そこで雪輝は彼を尾行し、証拠をつかもうとするのだが…。

 雪輝の初恋の思い出と絡めつつ、それに由乃の過去を語り、母の写真へとつなげる構成がきれいにはまっていると思う。
 それにしても、秋瀬或という人物は、雪輝にとってどんな人間なのだろうか。彼にとっての初めての友だちという立ち位置なのは間違いないが、これまで雪輝を守ってきた数々の実績がある由乃をもってしても太刀打ちが出来ないとは、彼に対する雪輝の信頼は厚過ぎる。

未来日記 (7)

何をおいても確かな関係
評価:☆☆☆☆☆
 交換日記の所持者、7th・戦場マルコと美神愛に追い詰められた天野雪輝と我妻由乃だったが、再び由乃を雪輝が利用する関係が出来たことで、辛くもピンチを脱出する。しかしその歪な関係性に付け込んだマルコと愛は、二人の日記を奪って脱出することに成功した。
 入院した雪輝のもとに現れる、父・天野九郎。そして、コーチとして現れる9th・雨流みねね。彼らの思惑はどこにあるのか?

 恋愛、肉親、義理、人情、契約、興味、様々な動機に基づく人間関係が描かれ、そして本来無条件で信じても良いはずの関係すら、他の要因が絡めば安泰ではないということがまざまざと示されてしまう。
 未来日記と関わったことで、ちっぽけな、でも大切な幸せを次々と失っていく雪輝。果たして彼に救いは訪れるのか。あるいは掴み取ることが出来るのか。その意志の大切さを、今回彼は学んだはずなのだ。

未来日記 (6)

仲間と敵、誰が誰?
評価:☆☆☆☆☆
 我妻由乃によって天野雪輝が拉致・監禁されているであろうことを、秋瀬或は察知する。しかしそんなことはお構いなく、日野日向と野々坂まお、そしてついでに高坂王子も誘い、食べ放題の料理と温泉を堪能しに出かける旅行を計画する。だが、その先には…。

 結婚披露宴の予行演習をし、由乃が望む一言を与えてしまったばかりに、雪輝はとんでもない目に会うことになった。骨まで愛するとか言う慣用句があるけれど、由乃の場合は本当に雪輝を骨にしかねない危うさがある。
 そして未来日記を使った戦いは、秋瀬の介入によってこれまでの個人戦から集団戦の様相を呈してきた。しかしそれに呼応するように、他の日記所有者も、集団戦で対抗して来ているところがタイミング良過ぎ。ムルムルがなんかしたのか?

未来日記 (5)

理由ある裏切り
評価:☆☆☆☆☆
 秋瀬或にはめられて、我妻由乃と一緒に結婚式場の体験イベントに参加することになった天野雪輝。由乃が感激で涙ぐんでいるのは当然として、雪輝もあの“ふすま”の向こうの光景をうやむやにできるような気分になってしまった。
 だがその頃、秋瀬或は我妻家に乗り込み、ふすまの向こうの光景を見ていた。由乃と共に帰って来た雪輝もそれを再び見ることになるのだが…。

 そして自宅へ帰った雪輝のもとには、4th・来須圭悟から大量の捜査員が差し向けられていた。彼が雪輝と由乃に殺人の嫌疑をかけたのだ。未来日記同盟の仲間である彼がそんなことをした理由とは…?

 これまでは生き残ることが全てだった雪輝だが、少しは周りの人間を気づかえる余裕が出て来たようだ。しかしそれは、また新たな悩みを抱えるきっかけとなることでもあった。
 戦いが進むにつれ、彼は様々なものを背負いこんでいく。そして、どんどんと深みにはまっていくのだ。

未来日記 (4)

新たな仲間?
評価:☆☆☆☆☆
 桜見中学校の閉鎖に伴い、梅里中学校へ通学することになった天野雪輝と我妻由乃。雨流みねねの事件の時に真っ先に雪輝を売った高坂王子も一緒だ。しかしそんな憂鬱を吹き飛ばす様に、日野日向が雪輝に話しかけて来てくれる。
 日向の友人の野々坂まおらとともに、連続殺人事件の現場を見に行くことになった雪輝。友達と一緒に出かけることに浮かれる彼だが、由乃は警戒心を隠さない。そんなとき、彼らの前に妖しいクラスメイト・秋瀬或が現れる。

 希望と現実の落差に絶望はある。その落差が大きければ大きいほど、絶望は大きい。これまで散々、様々な希望を見て、そして現実に突き落とされてきた雪輝だったが、ここでもまた、大きな希望の後に深き絶望を知ることとなる。
 しかしここにまだ救いはある。絶望を与える人間も、また絶望を知る人間であるという事実だ。そこに、雪輝が生き残るための隙はある。そう、人間は騙すし、騙されるのだ。

未来日記 (3)

安らげる場所はもはやない
評価:☆☆☆☆☆
 御目方教団の巫女・春日野椿により、絶体絶命にピンチに陥った天野雪輝を、我妻由乃は我が身を盾にして逃がす。自分の未来日記を彼に預けて。未来日記を使って敷地内を逃げ切った雪輝は、本堂の地下へと逃げ込む。その上では、捕まった由乃が、椿と信者たちからむごい仕打ちを受けようとしていた。どうする、ユッキー?

 そして事件が終わり、雪輝は家へと帰って来た。今日は母の礼亜が、子どもを預かってくるらしい。その子どもは豊穣礼佑という名の、御目方教団の犠牲者の子どもであり、そして、5thだった。礼亜に挨拶すべく不法侵入していた由乃と合わせ、家の中での戦いが始まる。

 完全にターゲットとされてしまった1stには、もはや安らぎの場所は無くなってしまった。かつては空想にふける、安全な場所だった家も、もはや戦闘地帯になってしまったという悲しさ。こうして雪輝の日常は、どんどん非日常に侵食されている。
 その中でも、彼がこれは確かだと掴み取ったもの。それは由乃の雪輝に対する愛情だ。しかしこのデスゲームは、その感情すら、疑心暗鬼を生む糧として利用していくのだ。

未来日記 (2)

信頼、狂気、そして拒絶
評価:☆☆☆☆☆
 9th・雨流みねねによる桜見中学校襲撃を辛くも切り抜け、何とか生き残った1st・天野雪輝は、2nd・我妻由乃の献身によって2度目のDEAD ENDの危機を乗り越えた。そしてその事実は、雪輝の由乃に対する心情にも変化をもたらし、由乃の未来日記にHAPPY ENDのフラグが立つことになる。
 そんなとき、協力関係を結んだ刑事の4th・来須圭悟から、宗教団体・御目方教団が雨流みねねを拘束したという情報を得る。それを受けて出かけた彼らが遭遇した巫女の春日野椿は6thであり、彼女にDEAD ENDフラグが立っているという。

 雨流みねねの身柄を渡す代わりにフラグ回避の協力を要請された彼らだったが、妙に雪輝に近づく春日野椿に敵愾心を燃やす由乃は、雪輝から見て狂気の行動を取ることになる。そして、雨流みねねの側にはもうひとりの未来日記保有者、12th・平坂黄泉の影が…。

 由乃の家に招かれた雪輝が開いてしまった、閉ざされたふすま。その奥に見たものは、彼の彼女に対する、一瞬芽生えかけた信頼を吹き飛ばし、彼女に恐怖を抱かせるのにふさわしい光景だった。
 果たしてなぜデウスはこの12人を選んだのか。そしてこのサバイバルゲームにどんな意味があるのか?しかし渦中にいる彼らは、そんなことを考える暇もなく、ただ生き残ることに専念しなければならない。

未来日記 (1)

神様の気まぐれは天災
評価:☆☆☆☆☆
 天野雪輝は携帯電話で日記をつけている。その日あったことを細大漏らさず事細かにつける日記。それは、毎朝、ダーツをすることと、空想することと同じく、彼の日課だ。
 彼の空想には、時空王デウス・エクス・マキナと彼の小間使い・ムルムルが現れる。デウスは世界中の因果を操り、何か事件を起こす。そんな彼が彼の携帯に細工をしたのが全ての始まりだった。
 彼が書いていた日記が、未来の出来事を示す様になったのだ。空想だったはずのデウスは本当に存在していて、時空王の名にふさわしい力を持った神だったのだ。
 未来が分かるようになった天野雪輝は、調子に乗ってその日記の内容を利用する。テストの答えも分かっているのだから、学校生活は快適だ。
 しかしある日、テスト中に、学校でも美少女で通っている我妻由乃と目があってしまう。そして彼女がテスト中につくっていた粘土細工は、ムルムルを模ったものだったのだ。

 神様が暇つぶしに人間をおもちゃにするために、未来を予知できる日記を与え、殺し合いをさせる。ここでポイントになるのが、情報量が元々の日記の内容・頻度に依存することだろう。無差別に周囲のことを書き連ねていた日記では自分の運命は分からないし、他人のことしか見ていない場合にも自分のことは分からない。神様が与えた能力なのに、ベースとなる人間の性格・気質に依存してしまうところが面白い。
 そんな不完全な、しかし神のごとき力を駆使して、人間人間した望みを叶えるためにその能力を乱用する浅ましさや、自分や他人を犠牲にしてでも雪輝を守ろうとする盲目的で病的な献身などという、人間の本質に迫る様な作品だと思う。

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