大河原遁作品の書評/レビュー

王様の仕立て屋 ~フィオリ・ディ・ジラソーレ~ (4)

評価:☆☆☆☆★


東坡食譜

評価:☆☆☆☆★


王様の仕立て屋 〜フィオリ・ディ・ジラソーレ〜 (3)(原案:片瀬平太)

評価:☆☆☆☆★


王様の仕立て屋 〜フィオリ・ディ・ジラソーレ〜 (2)(原案:片瀬平太)

評価:☆☆☆☆★


王様の仕立て屋 〜フィオリ・ディ・ジラソーレ〜 (1)(原案:片瀬平太)

評価:☆☆☆☆★


王様の仕立て屋 〜サルトリア・ナポレターナ〜 (13)(原案:片瀬平太)

評価:☆☆☆☆★
第2部完 スコットランド貴族のラムゼイが持ち込んだジラソーレ新製品のタータンに関する騒動 アンナが新店長?そこに横やりが ゾーエ・シャッカルーガが所属するサービスジャングルのナルチーゾ

王様の仕立て屋 〜サルトリア・ナポレターナ〜 (12)(原案:片瀬平太)

評価:☆☆☆☆★
カプリ島雑貨商の井ノ原

王様の仕立て屋 〜サルトリア・ナポレターナ〜 (11)(原案:片瀬平太)

モノトーンの彩
評価:☆☆☆☆★
 ライダー姿で旅をしルポを書くフリーライターのチェレスティアーノが織部悠の許へとやってくる。彼は黒ずくめの服装でないと他人に自分の意見を言えない気の弱さがあるのだが、彼の祖父であり北部財界の重鎮であるバルツァーギ家のご隠居ジャンパオロは大の黒服嫌い。そんな恰好は認めないと仕事の妨害をしてくるようになった。そこで悠は、モノトーンで様々なシチュエーションになじむコーディネートを考える。
 フリーアナウンサーのサブリナ・ダッラリーヨがヒロイン役。マダム・ロスタンも再登場する。

王様の仕立て屋 〜サルトリア・ナポレターナ〜 (10)(原案:片瀬平太)

ジーンズの可能性
評価:☆☆☆☆★
 年代物のジーンズを巡り、どちらがジーンズの可能性を見せられるかを競うことになった芸人のアボガドロとベッタリーニ。そこに、風来坊のリッカルドと、ユウが関わることになっていく。

王様の仕立て屋 〜サルトリア・ナポレターナ〜 (9)(原案:片瀬平太)

コート編
評価:☆☆☆☆★
 高級ホテルのクローク係のニナがバーテンダーのイレーネの紹介で織部悠のもとへとやってきた。顧客から預かった伝来のコートを安物のコートと取り違えてしまい、訴訟沙汰になりそうだというのだ。
 それをきかっけに、何故かサルトにはコートの特急仕事が次々と。ポロ、バルマカーン、ダッフル、チェスター等、様々なコートが登場する。

王様の仕立て屋 〜サルトリア・ナポレターナ〜 (8)(原案:片瀬平太)

モードとは何か
評価:☆☆☆☆★
 スタンド使いの様な外見の若手仕立て職人ジョナタ・ジャイオッティの再登場。モードの世界へ行くと言い出し、騒動を巻き起こす。

王様の仕立て屋 〜サルトリア・ナポレターナ〜 (7)(原案:片瀬平太)

シャツのバリエーション
評価:☆☆☆☆★
 ジラソーレ・アメリカを仕切るフェデリカ・テッサリーニの紹介で、ステーキチェーンの社長が織部悠のサルトを訪れる。シャツについてのアドバイスが欲しいという。イタリアに進出し地歩を固めようとする彼に対し、オリベはシャツの仕立てでサポートしようとするのだが、その社長にはある目論見があった。
 今回はシャツのバリエーションについて1冊丸々あてています。

王様の仕立て屋 〜サルトリア・ナポレターナ〜 (6)(原案:片瀬平太)

奇妙な逃避行
評価:☆☆☆☆★
 織部悠のもとに、サヴィル・ロウの有名職人、パウエル親方がやってくる。某国の成金から金にあかせた注文を押しつけられそうになり、サヴィル・ロウのプライドと秩序を守るために身を隠して逃げ切ろうとしているらしい。
 ナポリの有力者であるベリーニ伯爵を頼りたいところだが、着道楽の彼を噛ませれば、ますます問題はこじれてくる。逃げ隠れしながら腕を鈍らせないための注文を受け続けるのだが…。

王様の仕立て屋 (5) 〜サルトリア・ナポレターナ〜(原案:片瀬平太)

隠居の暇つぶし
評価:☆☆☆☆★
 ベリーニ伯爵との席上、師匠であったマリオ親方の知人である隠居した鞄商人のクッカリーニと出会った織部悠は、最近、サルトに置き始めた信玄袋が原因で、クッカリーニから因縁をつけられてしまう。
 ピッツェリアでクッカリーニと再会した織部悠は、彼から自分の仕事の不明を指摘され、それが切っ掛けとなって、鞄に会う装いを特急仕事で仕立てるという勝負に駆り出されることになってしまった。隠居爺の暇つぶしに付き合う事になった若者の悲哀とは?

王様の仕立て屋 (4) 〜サルトリア・ナポレターナ〜(原案:片瀬平太)

スーツ嫌いの御仁たち
評価:☆☆☆☆☆
 ジラソーレ社を舞台としたナポリ仕立て屋の新旧対立も一段落し、織部悠の立ち上げたサルトにも静けさが戻った…というか、閑古鳥が鳴く状況になってしまった。この状態を歎くセルジュは、のんびり屋の二人を置いて、ジラソーレ社に営業をかけに行く。

 ちょうどそのタイミングで、ソフィア・ドルチーノを訪ねてきたのは、かつての恩師であるカサピエトラ神父だった。強面の彼は長年エクソシストとして活動し、最近、引退して隠棲するようになったのだという。
 ところがこの神父、自分で見たこともない悪魔を祓っていたことを虚言と捉えてしまっており、鬱々として人生を楽しめない。それを聞いた織部の返す答えとは?

 人付き合いが嫌いな研究者、殻を破れない宝石デザイナー志望者、ベテラン政治記者、アメリカ人のクラシックカー営業、仕立て中に体型が変わった客、猫背の証券マンと、スーツを着るのに悩みがある御仁が並びます。
 フェデリカが登場すると、一気に陽気であけすけな展開になるな〜。

王様の仕立て屋 (3) 〜サルトリア・ナポレターナ〜(原案:片瀬平太)

対立の落とし所
評価:☆☆☆☆☆
 ナポリ仕立て屋協会でこだわり抜いて地道に仕事をしようという守旧派と、世界の流行を追いかけて既製服を作っていこうという革新派の対立が発生した。ナポリにサルトを開いた織部悠は守旧派ということになり、ジラソーレは改革派を取り込んで、ミケランジェロ・マリオの実の息子リッカルド・サントリヨをモデリストとしてデビューさせる。
 働くのが大嫌いなリッカルドだが、その腕は確かで、社交界の評判となり、新たな難儀な客を呼び寄せる。そしてそれは守旧派と改革派のさらなる対立の火種となり、カモッラに騒動を嗅ぎつけさせることになるのだった。

 ジョナタ・ジャイオッティという若手職人が登場する。彼の使うスタンドとは?という感じな出で立ちで、ジョジョなセリフを好んで使う。…遊びすぎだろ。

王様の仕立て屋 (2) 〜サルトリア・ナポレターナ〜(原案:片瀬平太)

驚きの隠し球
評価:☆☆☆☆☆
 ナポリ仕立て屋協会で内部対立が発生した。これまでの伝統を守り、こだわり抜いて地道に仕事をしようという守旧派と、世界の流行を追いかけて既製服を作っていこうという革新派の対立だ。それはナポリにサルトを開いた織部悠や、ジラソーレやペッツォーリなどのブランドのナポリ支店も巻き込み、大騒動に発展していく。
 ベリーニ伯が守旧派に与し、多くのブランドも守旧派についてやり過ごそうとしたため、勝負は早期に決するかと思われたが、ジラソーレの一部が革新派の立場に立ち、守旧派の面目を潰すような仕事をしてしまったため、流れは革新派に傾いてしまう。

 そして革新派が隠し球のモデリストとして持ち出してきたのが、リッカルド・サントリヨ、ミケランジェロ・マリオの実の息子だった。
 各回をつなぐストーリー性が生まれ、ちょっと盛り上がってきた感じがする。でも、リッカルドの駄目さが想像以上で、どこに着地するかが全く分からない、妙なドキドキ感も生まれている。果たしてこの騒動、どうなるのか?

王様の仕立て屋 (1) 〜サルトリア・ナポレターナ〜(原案:片瀬平太)

自分の城の重み
評価:☆☆☆☆☆
 ベリーニ伯の尽力でカモッラからの借金を肩代わりしてもらい、ナポリにサルトを開いた織部悠だったが、あまりの閑古鳥に、マルコとセルジュの苦労は絶えない。そんなところに久しぶりにやってきた特急の客は、あまり服飾に興味がなさそうに見えるにもかかわらず、特急料金をポンと払っていく日本人だった。
 これまでの雇い職人から自分のブランドとも言うべき店を持ったユウは、特急料金に見合う仕事をするため、客の事情に探りを入れる。その結果に基づきユウが仕上げた仕事は、日本人客の心に変化をもたらすことが出来るのか?

 いつものようにジラソーレの幹部社員たちは入り浸ってこき使おうとし、財界方面からは無理難題を課せられる。でもそここそが、ユウの職人芸の見せどころでもあるのだ。
 今回のワンポイントは、パッチポケットと靴。

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (32) (原案:片瀬平太)

積み上げた信頼がもたらす好機
評価:☆☆☆☆☆
 今回のテーマはエスコートということで、同伴する女性の装いを引き立て支える男性の服装を考えている。このテーマの性質上なのかは分からないが、オープニングはTVバラエティ「恋のから騒ぎ」のオープニングの様な演出がなされている。

 織部悠やラウラのところに仕事が回ってくるわけだが、彼らのところに仕事が回ってくるのは何か問題があったとき。しかも今回はエスコートがテーマなので、恋人や夫婦、親子などの関係が悪化の兆しを見せている状況だ。
 知人からのツテで次々とまわっていくオムニバス形式で構成されており、それをひとつずつ解決していくことで信頼が積みあがっていく。そうして織部にも新たな転機が訪れるのだ。

 集英社の雑誌改編により、別雑誌で連載が継続される模様。

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (31) (原案:片瀬平太)

一生を賭ける価値がある
評価:☆☆☆☆☆
 モデル時代の友人にパリで再開したセルジュは、彼らが新しいブランドを立ち上げようとしているのを知る。その彼らに、覚悟の甘さを指摘されたセルジュは見栄を張り、一流の職人を満足させる仕事が自分にもできるといってしまう。
 ドラえもんじゃなくて織部悠に泣きついたセルジュは、換金可能な状況下で無料配布の帽子を家に持ち帰ってもらうという修業をさせられることになるのだが…。そしてセルジュは、職人としてのスタート地点に立つことができるのか?

 仕立て職人に対する敬意と、服飾という者の奥深さを感じさせてくれるシリーズ。一朝一夕には身につかない技術を身につけようとするセルジュも頑張るが、やはりそれでも及ばない部分があるからこそ、一生を賭ける価値がある。
 それは、スーパーマンの様に見える織部悠でも変わらないのだ。

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (30) (原案:片瀬平太)

認め合う職人たち
評価:☆☆☆☆☆
 スイス・ジュウ渓谷の独立時計師の卵、ハンネスのもとに押しかけ女房に来た、パトロンの箱入り娘フランシーヌ。彼女との結婚を認めてもらうため、彼女の父親ジェロームからの、機械式時計の注文に応えることになる。そこに関わったのがジラソーレと、巻き込まれた織部悠。紳士服と時計のトータルコーディネートという課題に挑むことになる。
 ジェロームからの、自動巻き、クロノグラフ、ムーンフェイズという初級課題を順調にこなし、今巻では中上級課題の、ワールドタイマー、トゥールビヨン、そしてマリー・アントワネット越えに挑む。

 それぞれの課題でのイベントも楽しみつつ、最後に同じ職人として互いに認め合う、ハンネスとユウのやり取りがとても良いと思った。

   bk1
   
   amazon
   

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (29) (原案:片瀬平太)

機械式時計と仕立て服
評価:☆☆☆☆☆
 今度は紳士服とセットになる機械式時計をテーマに据えた一連の物語になっている。
 スイスの独立時計師にほれ込んでしまった、パトロンのお嬢さん。その仲を取り持つため、ジラソーレのコンスタンツェは、時計師の商才と実力を試すため、紳士服と機械式時計のコーディネイトで評価してもらえるように交渉する。ところが、そのテーマにフランスのブランド・リヴァルが食いついてきて、ブランド全体とスイス・ジュウ渓谷を巻き込んだ大騒動になってしまうのだ。
 クォーツ式時計に時代を明け渡し、そもそも携帯電話に役割をとられつつある時代背景の中、機械式時計は存在感を放つことが出来るか。自動巻き、クロノグラフ、ムーンフェイズという、それぞれに絞ったテーマの中で、仕立て服が作られます。完結は次巻。

   bk1
   
   amazon
   

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (28) (原案:片瀬平太)

シチリアの男を象徴するジャケット
評価:☆☆☆☆☆
 ここのところ、ジラソーレ関係で織部悠が女の子に囲まれている展開が多かったので、全く違った設定でビックリした。ユウがナポリにサルトを開いたばかりの頃、シチリア・マフィアのゴッドマザーからの依頼で仕立てたツイードのジャケットにまつわるストーリーだった。

 先代ドン・トトの死後、その長男の遺児ピエルを後継に立てることは遺言で決まっているものの、本人にやる気がなく、次男のバルトロメオの子でシチリアから追放されたファウストが乗っ取りを企てる。
 そんな状況の中で、何とかピエルに貫禄をつけるため、先代がマリオ親方に仕立ててもらったジャケットを再現するのがユウの仕事だ。しかし現物もなく仕事が難航する中、シチリアは緊張の度合いを高めていく。

 一着のジャケットを象徴として、シチリアのゴッドファザーとして慕われた先代の威令の強力さが描かれる。その権威を引き継ぐための切っ掛けとなる仕事をユウは成し遂げることが出来るのか?
 たまには渋いお話も締まって良い。

   bk1
   
   amazon
   

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (27) (原案:片瀬平太)

シチュエーションに合わせた生地選び
評価:☆☆☆☆★
 クラリッサの生地探しも終盤に入る。彼女の修業につき合っているうちに、ラウラのユウに対するライバル魂が再燃し、高級生地を使って自分の腕を見せつけようとするのだが、それがジラソーレに思わぬピンチを招いてしまう。

 単に高ければ良いという訳ではなく、シチュエーションに合わせた生地選びが重要だということが今回の教訓だろうか。
 クラリッサの職人らしい置き土産により、また変なフラグがユウに立ってしまったみたい。

   bk1
   
   amazon
   

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (26) (原案:片瀬平太)

様々な紳士服地
評価:☆☆☆☆★
 不況の影響で高級生地が売れなくなったロンドンのクラリッサが、新たな生地を探しにナポリを来訪する。そこで織部の仕事ぶりを見た彼女は彼に内弟子入りを志願、それを知ったラウラやパリのエレナが乱入してちょっとした騒動に発展する。
 ラウラやセルジュの親からの試練としてのオーダーも絡め、様々な生地が紹介される。日本特有の紳士服事情でも初めて知ることがあり、勉強になることもしばしば。

   bk1
   
   amazon
   

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (25) (原案:片瀬平太)

縁の下ならぬ足のもと
評価:☆☆☆☆★
 紳士靴編ということで、足もとの常識・非常識が今回のテーマになっている。
 しかし、テーマを変えたからまるで違うストーリーになるかというと、そういうわけではなく、これまでと注目するポイントを変えただけという感じのものになっている。これまでも当然注意を払っていた部分だけれど、それを改めて協調してみました、というような。

 おそらく、このシリーズを継続して購入する人よりも、テーマをピンポイントで購入する人の方が多いという、マーケティングの結果に依存した編集方針なのではなかろうか。

   bk1
   
   amazon
   

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (24) (原案:片瀬平太)

敵愾心から向上心への変換
評価:☆☆☆☆★
 ジラソーレのブランドとしての価値を確立する分岐点という事で、まるごとジラソーレのお話。幹部十二人が揃い踏みです。だから悠は今日も裏方さん。
 個人的に興味深いのは、古美術商が掘り出し物の骨董品を売るためにコートを仕立てるお話。良い品だと認めさせるには、扱っている人間を信用させること。身だしなみはそれを計る一つのツール。悠の言い分も理解できるけれど、自分はファッションに興味がない方なので、着られればいいじゃん的な客の言い分はもっと理解できる。でも、そうじゃない世界に住んでいる人々が上客なんだから、そういう身だしなみのお約束に従うのも必要なのかなぁと思ったり思わなかったりの一話。

   bk1
   
   amazon
   

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (23) (原案:片瀬平太)

沈んだ時にこそ力強く花開く文化
評価:☆☆☆☆★
 織部ご一行の世界周遊もついに終わり次巻からは再びナポリが舞台になりそうですが、その前にアメリカはハリウッドでひと騒動が巻き起こります。
 悠の友人であるパンツ職人ロドリーゴが主役として抜擢された映画は、第二次世界大戦前夜のアメリカを描いたもの。当時の雰囲気を再現する衣装のコーディネートを依頼された悠の仕事に導かれるように、紳士服の歴史が紐解かれます。折よくというべきか悪しくというべきか、当時の経済情勢と現在には似通ったところもあり、紳士服の話題だけではなく、色々と示唆的なストーリーもあります。(a)ナチス(b)ヒトラーというところでしょう。
 あまり重たい話ばかりでも良くないと思ったのか、撮影中断のタイミングを利用して、サイドストーリーも繰り広げられます。絵柄も少し軽くギャグ要素も満載。でも今回は、完全に悠は脇役の扱いでしたね。

   bk1
   
   amazon
   

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (22) (原案:片瀬平太)

成長した鮭は生まれ故郷の河へと帰る
評価:☆☆☆☆★
 今回は日本に根付いた洋装の技術の取材記が半ばを占めている。でも、単なる紹介記事にとどまらない統一感があるのは、ジャコモ・ペッツオーリのスランプ脱出の旅という枠があり、取材結果が一つの作品としてまとめられているからだろう。
 次巻は再びアメリカに場を移すようだ。

   bk1
   
   amazon
   

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (21) (原案:片瀬平太)

伝統と新しさを融合して何かを目指す
評価:☆☆☆☆☆
 ジラソーレ社のNY支店長フェデリカの計略によりニューヨークに連れて来られた織部悠だが、実用主義のアメリカでクラッシックの伝統を追求することの無意味さを想い、ちょっとふてくされ気味。それでもアメリカの文化に触れて行くうちに、そのエネルギッシュさに刺激され少しやる気が出てきたようで、(実家が自転車屋なので)長年の懸案だった自転車に乗ってもしわの寄らないパンツを求めて研究を開始する。

 ロドリーゴの加入によって悠が絶対者ではなく優秀な職人の一人になった事で、これまで築いてきた路線を踏襲しながらも、新しいことを求めて挑戦する姿を描けるようになった気がする。おかげで水戸黄門のようなマンネリさが解消されて、より面白くなったと思う。マンネリにはマンネリの良さもありますが、やっぱりワクワクする展開の方が好き。

 リストラされたおじさんが新しい夢を目指す姿を描く「三丁目の夕日」や、ウォール街の証券マンがダンサーを夢見る「時計じかけのオレンジ」などを収録。あれ、そういえばタイトルが映画の名前になっている様な気が…

   bk1
   
   amazon
   

王様の仕立て屋―サルト・フィニート (11) (原案:片瀬平太)

自分にできる最高のものを
評価:☆☆☆☆★
 この巻を通してのタイトルをつけるとするならば、自分の仕事には誠実に、というところでしょうか。
 たとえどんな舞台が与えられても、そこで最善を尽くすのが一流というものだろうし、たとえ言われていなくとも、相手が望むであろう状態を実現することが最高の仕事というものだろう。
 ファーストフードに来る客にスローフードを説くのはナンセンスだが、ある一定以上の値段を取る店に来る客ならば、品質は当然最高で、かつ、サービスも最高でなければならない。
 問題は、サービスは客との合意の上で成り立つということ。たとえお金が有り余っていても、早く食事をしたいのならば、高級料亭になどいかないのが賢明と言うもの。店とお客、どちらか一方では、最高のサービスは提供できないのだ。

   bk1
   
   amazon
   

王様の仕立て屋―サルト・フィニート (10) (原案:片瀬平太)

誤解と和解
評価:☆☆☆☆★
ナポリ仕立ての職人織部悠が依頼人と織り成す人情話第10冊。今回は誤解から生じた数々の対立を、職人としての手腕を通して解決へと導いていきます。
でも、主題の一つとなっているデザイン界の巨匠ペッツオーリとその娘であり、対立するジラソーレ社社長でもあるユーリアの誤解はまだ解けぬまま。ようやく向き合い始めた二人の今後は…?

   bk1
   
   amazon
   
ホーム
inserted by FC2 system