桂明日香作品の書評/レビュー

ビリオネアガール (3)(原作:支倉凍砂)

手放せないもの
評価:☆☆☆☆★
 デイトレーダーの藤岡紫は、高遠恵に促されて彼の友人である白川弼や永田美弥、中谷公雄と交流するようになった。
 藤岡紫と知り合って彼女をよく知るようになってきた高遠恵は、彼女に対して特別な気持ちを抱くようになってくるが、白川弼に先を越され、藤岡紫は白川弼と付き合うようになってしまう。

 二人の付き合いを横目に見ながら悶々とする高遠恵だったが…。シリーズ最終巻。

ビリオネアガール (2)(原作:支倉凍砂)

普通の少女の一側面
評価:☆☆☆☆★
 大学生の高遠恵は、大叔父の大貫教授の紹介で、18歳の少女、藤岡紫の家庭教師を務めることになった。だがその少女は、資産170億円を築いたデイトレーダーでもある。そんな彼女に教えることは、当たり前の学生生活だ。
 友人の白川弼や永田美弥、中谷公雄と共に、紫をバーベキューに連れ出すことにした恵は、意外にも初対面の人物と馴染むことができている姿を見て嫉妬を覚えてしまう。

 すこしでも紫との会話の接点を増やすべく、株取引を始めようと思い立つ恵だったが、意外にも紫の言葉は厳しく…。

 銀座でセレブデートをしてみたり、庶民的なデートを模索したり、市場の動きに左右されない生活を楽しみ始めた紫。一方で、就職を控えた恵は、社会の現実に直面していく。

 てっきり打ち切りになったものと思っていたが、まだ続いていたとは。続巻は2014年発売予定らしい。今回も弼のセリフが良かった。

ビリオネアガール (1)(原作:支倉凍砂)

一人にしないで。お金ならあるの
評価:☆☆☆☆★
 大学生の高遠恵は、大叔父の大貫教授から割りの良いバイトの斡旋を受ける。仕事内容は、数学の家庭教師。相手は教授の姪で18歳の少女、藤岡紫。しかし彼女はただの少女ではない。資産170億円を築いたデイトレーダーなのだ。
 住んでいるところは夜景の綺麗な超高級マンション。一取引で億単位の儲けを出すすごい面を持っている一方で、人との付き合い方に戸惑い揺れる少女の一面も持つ。そんな彼女に寂しさを感じた恵は、自分の行動としては珍しく、彼女を積極的に外へ連れ出そうとする。

 「狼と香辛料」の支倉凍砂氏が原作の漫画。本人もデイトレードをやられている様なので、その経験も生かされているのかも知れない。
 普通のサラリーマンの生涯収入すら彼女の譲渡益税に及ばないという、嘘の様な現実は、彼女の家庭にひびを入れ、彼女を一人ぼっちにする。お金だけあっても使い道がなければ何の意味も無い。しかし全くお金がなくても何もできない。バランスがとても大事なのだと思う。

 かなり響いたのは、恵の友人の弼が、自分のFX失敗談として語ったセリフ。「僕はお金を失っても冷静でいられるほど強くなかった」行動経済学などで語られることの一つだけれど、非常に実感のこもったセリフに感じられた。冷静に損を切り捨てられなければ、株取引で儲けることはできない。

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