こざき亜衣作品の書評/レビュー

あさひなぐ (18)

評価:☆☆☆☆★


あさひなぐ (17)

プライドを賭けた戦い
評価:☆☆☆☆★
 二ツ坂高校部内戦最終試合は、旭vs将子の激しい戦いになった。互いのプライドを賭けた戦いの結末は?
 そしてインターハイ予選が始まる。

あさひなぐ (16)

下剋上
評価:☆☆☆☆★
 薙の提案で始まった、部員総当たりによるインターハイ出場権獲得戦は、これまでのぬるま湯の様な関係を一変させていく。

あさひなぐ (15)

戦国時代の幕開け
評価:☆☆☆☆★
 関東大会東京都予選会個人戦の意外な幕切れ。そして団体戦も…。二ツ坂高校薙刀部は戦国時代に入ります。

あさひなぐ (14)

踏み出す勇気
評価:☆☆☆☆★
 新入部員からもうドロップアウトしそうな大工原唯に対し、東島旭のとる行動とは?そして、関東大会東京都予選会が始まる。

あさひなぐ (13)

後輩
評価:☆☆☆☆★
 シンスプリントになっても練習を止められない東島旭の熱意に当てられた宮路夏之は、薙刀への悔いを未だ抱えていることを自覚する。
 宮路真春の全国大会の応援を経て、二ツ坂高校薙刀部には新入生勧誘の時期がやってきた。そして武道場に現れたのは、愛知薙、等々力香代子、だいくばらゆいという3人の少女だった。

あさひなぐ (12)

定番の展開
評価:☆☆☆☆★
 熊本東高校の主将である戸井田奈歩の実力の前には、二ツ坂高校のエース、宮路真春も未だ及ばない。トップの壁を感じて合宿を終えた薙刀部は、公式戦に臨む。
 身体を作って復帰した福留やす子が掲げる日本一の目標に対し、前向きな発言をする東島旭だったが、紺野さくらはそれが現実的な目標とは思えない。さらには部活のしごきとは無関係に女子高生をするクラスメイトを見て、心が揺れ動くのだった。

あさひなぐ (11)

実力の片鱗
評価:☆☆☆☆☆
 戸井田奈歩率いる熊本東高校に袖にされた一堂寧々が愛憎混じる試合を繰り広げたり、愛山高校の一年生、久保と対戦した二ツ坂高校の東島旭が、福留やす子も思いもしなかった実力の片鱗を見せたりする。

あさひなぐ (10)

未来の勝利のために
評価:☆☆☆☆☆
 和歌山の愛山高校の合宿へ國陵高校と共に参加した二ツ坂高校薙刀部は、監督の福留やす子の指導により基礎力を向上させつつあった。その成果を試す合宿最後の対抗戦に、常勝軍団である熊本東高校が参戦することになる。
 熊本東高校は一堂寧々の憧れである戸井田奈歩が所属する学校だ。しかしもはや彼女の傍に自分の居場所がないと悟った一堂寧々は、全てのよりどころを失った状態で戦いに挑む。一方、今後の勝利のために部員の新たな可能性を見出したいと考える福留やす子は、これまでにないオーダーで試合に臨ませるのだった。

あさひなぐ (9)

結果が出なけりゃ意味がない
評価:☆☆☆☆☆
 白滝院の寿慶尼の紹介で二ツ坂高校薙刀部にやってきた監督の福留やす子は、顧問の小林に色目を使うビッチだった。反発する一同だったが、実力者である宮路真春があっさりと負けたことで、ひとまず指導に従うことにする。
 ところがその指導といえば、口にガムテープを張ってプールを泳がされたり、ピンポン球を転がした床で稽古をさせられたり、意味不明なことばかり。しかし、それに意味があると思ってみ始めると、確かに意味があることが分かってきた。

 冬の実力アップのイベントとして、和歌山へ合宿に行くことになる一同だったが、その合宿先に待っていたのは、一堂寧々を擁する國陵高校だった。

あさひなぐ (8)

理解できない方法論
評価:☆☆☆☆☆
 東京武道館第二武道場で開催の新人戦で、二ツ坂高校薙刀部はインターハイ出場を逃した。敗れた宮路真春は責任を感じ、更なる強さを求めて部活の外で練習をしようとする。
 一方、部長の野上えりは、宮路真春に責任を負わせる必要がなくなるよう、部員強化のために厳しい練習を提案する。東島旭や八十村将子はその効果に疑問を感じつつも強さを求めて受け入れるのだが、紺野さくらは無謀さに反発するのだった。

 顧問の小林の行動が切っ掛けで、薙刀経験者を監督に迎えなければ活動が許可されなくなった二ツ坂高校薙刀部は、白滝院の寿慶尼の紹介で、福留やす子という若い女性を迎えることになる。ところが彼女は、一見すると薙刀に対する意欲がなく、男漁りに精を出す女性だったのだ。

あさひなぐ (7)

敗北の苦み
評価:☆☆☆☆☆
 東京武道館第二武道場で開催の新人戦で、二ツ坂高校薙刀部は2チーム出場し、どちらも準決勝に進出することができた。ここで勝ち上がれば、決勝は同校同士の対戦となる。しかし、二年生チームの対戦相手は一堂寧々擁する国陵高校、一年生チームの対戦相手は薬師丸ひろ美擁する聖泉学院、どちらも強敵だ。

 今巻で新人戦編は終了となるわけだが、東島旭視点の展開のためか、自分たちの団体戦準決勝はみっちりとしっかりと描かれ、それぞれの対戦に見どころが用意されているが、意外にも決勝と個人戦はあっさりと終わってしまった。それには、二ツ坂高校薙刀部が抱える課題が関係している。
 これが武術であれば敗北は死と同義だが、武道であれば、どれほどの強者であっても敗北の瞬間は必ずやってくる。そしてその瞬間は、どれほどつながった仲間がいたとしても、ただ一人で受け止めなければならない。それを笑ってやり過ごせば簡単かも知れないが、それでは負ける意味がないのだ。

 そんなわけで、新人戦を通じて敗北の苦みを知ることになる旭だが、それはさらなる強さへの一歩となるのか、あるいは負の連鎖への一歩となるのか。その岐路がやってきた。

あさひなぐ (6)

初めての公式戦
評価:☆☆☆☆☆
 東京武道館第二武道場で開催される新人戦に向けて3人チームの編成にもめる二ツ坂高校薙刀部は、壊れてしまった東島旭の小手を修理するための近くの武具屋へと向かう。そこは、国陵高校薙刀部の的林つぐみの実家だった。そこで一堂寧々が孤立している現状を知り、物思う東島旭。
 修理もままならず追い出されてしまったため、修理のために訪れた宮路真春の家で、気になる宮路夏之と再会した東島旭は、彼からかつて使っていた小手を託されるのだった。

 顧問が勝手に提出したメンバー表で二年組と一年組に分かれてしまった二ツ坂高校薙刀部は、決勝での最下位を目指して大会に臨む。聖泉学院の薬師丸ひろ美と再会した東島旭が、八十村将子、紺野さくらと共に初戦で対戦するのは、まるで軍隊のような規律を強いられる桜秀館大附属高校Aチームだった。
 初めての公式戦に希望と不安、緊張を携えて臨む彼女たちは、初めての勝利を手にすることが出来るのか?

 新人戦は男子選手も混合の大会なんだなあ。マイナーな存在ゆえにあがく男子の姿を描くのも面白いのかも。まあでもとりあえずは、女同士の意地の張り合いです。

あさひなぐ (5)

誰がために勝利を目指す?
評価:☆☆☆☆☆
 白滝院で尼僧の寿慶に鍛えられた二ツ坂高校薙刀部は、昇級昇段を目指して、東京武道館第二武道場へとやって来た。初めての昇級試験にやる気に燃える東島旭は、聖泉学院の薬師丸ひろ美と知り合いになる。彼女は、その巨大な見かけに似合わず、気の小さい少女だった。
 やることなすことおどおどする彼女に、少し前の自分の姿を見た旭は、彼女に対して何くれとなく世話を焼く。そして彼女と二人一組になり昇級試験に臨むことになるのだが、ひろ美は気は小さくても力持ちの、とんでもない選手だったのだ!

 そんな昇級昇段試験も終わり、新人戦の時期が近づいて来た。今回は3人1チームなので、部員全員が試合に参加することが出来る。そんな中、紺野さくらに請われ、部長の野上えりが上手く引き分けに持っていくコツを教えていたところ、突然、八十村将子が食ってかかり、引き分けを狙うのは卑怯だと言い始める。
 その事件以後、何故か将子は終止不機嫌。旭は、勝利を目指して努力を続けつつ、チームでの存在感を出すために引き分けの練習も始めるのだが…。

 剣道でかなり良いところにいたはずの八十村将子がなぜ薙刀を始めたのか。そのエピソードが語られる。団体戦は勝てば喜びを分かち合うことが出来るものの、自分一人の失敗で全体に迷惑をかけることもある性質のもの。それが面白みでもあるのだろうが、ひどく重く感じる人もある。
 だけど、剣にしろ薙刀にしろ、一人で山にこもって強くなったところで、それを試す相手がいなければ意味がない。個人で強くなるように見せて、相手がいるからこそ意味のある競技でもある。そして団体戦とは、そんな常に敵を求める中にあって、唯一、背中を任せられる仲間がいる種目でもあるのだ。

 そんなことに気づけば、また一歩、昨日とは違う自分に踏み出せるのかもしれない。

あさひなぐ (4)

待ちの姿勢だけでは勝てない
評価:☆☆☆☆★
 尼寺・白滝院に合宿にやってきた二ツ坂高校薙刀部は、教士である尼僧の寿慶にビシビシとしごかれる。あまりのハードな練習に文句を言いたいところだが、宮路真春すらも子供扱いする寿慶には、黙って従うしかない。
 しかし、彼女たちも育ち盛りの女子高生だ。いかに尼寺とはいえ、精進料理ばかりで動物性タンパク質が取れないのでは、力も入らない。必死の抗議と郁林の取りなしで、自分で捕まえたら食べても良いと言うことになった。そういうわけで、せっかく持ってきた水着を装備して、魚を捕りに川へと向かう。

 久しぶりの肉を求め、岩陰に潜む魚が動き出すのをじっと待つ東島旭だったが、その魚は紺野さくらに横取りされてしまい食べられない。その恨み言をつらつら述べる旭に対し、真春が告げたのは「それのどこが悪い?」と言う一言だった。尊敬する先輩の言葉に、あさひはこれまでの自分に足りないものに気づいていく。

 あちこち痣だらけに成りながらも、会心の一撃を決めるために青春を注ぎ込む少女たちの姿と、そこに繰り広げられる当たり前の人間関係を描いていく作品となっている。もっとも格好良く描かれても良い存在である真春すら、子供っぽい行動と勉強嫌いという数多の弱点を抱えているという、ヒロインらしいヒロインがいないことも特徴と言えるかもしれない。
 このことは、スポーツ少女ものから幻想を排除し、現代の女性に対するイメージを射影させるという、等身大の少女を描こうという試みと言えよう。ゆえに、おそらくは、男性よりも女性の共感を得やすいのではないかな?

あさひなぐ (3)

地獄の夏合宿
評価:☆☆☆☆☆
 二ツ坂高校薙刀部の夏のメインイベントは合宿だ。いつもは校内の合宿所を使うのだが、今年は剣道部の都合で使えず、郊外の尼寺・白滝院を合宿所として使わせてもらうことになる。
 半ば遊び気分でやって来たメンバーもいる中、彼女たちを出迎えたのはサングラスの尼僧・寿慶だ。彼女は荷物を載せたワゴンを奪い、部員たちを寺まで走らせると、いきなり地稽古をつけてきた。その圧倒的な実力の前に、宮路真春ですら子ども扱い。ただの尼寺だと思っていたここは、実は薙刀専用の合宿所で、寿慶は教士だったのだ。

 みんな、肉体の極限目指して痛めつけられる中、東島旭に課せられたのは、水汲みと掃除。他の部員が練習をしているときも、薙刀すら持たせてもらえない。特に一年生は、彼女らの弱点を突く指導に嫌気がさし、逃げ出しそうになるのだが…。

 紺野さくらというキャラクターがあって初めて、東島旭の努力が引き立つ演出になっている気がする。女子高生らしく、いや、女の負の側面を前面に出し、見た目は可愛くも心はどす黒く動くさくらがあさひを無意識に見下しているから、そこから這い上がろうともがくあさひの汗に高い価値が生まれるのだ。
 そんな地獄の夏合宿はまだまだ続く。

あさひなぐ (2)

女は度胸!
評価:☆☆☆☆★
 基本打突を一通り覚え、ついに薙刀用の防具を手に入れた東島旭が次に挑戦するのは、先輩と二人一組になっての掛かり稽古だ。
 剣道経験者の八十村や、身長のある紺野と違って、あさひは体力もないし小さいし、まともに打つこともできず、受けるのも精一杯。そんな旭に、先輩の宮路真春は、アドバイスと共にひとつの技を授ける。

 そして巡って来る、一堂寧々擁する国陵高校との練習試合。一番へたっぴな旭は、当然練習試合のメンバーには選ばれなかったのだが、部長の策略のおかげもあり、やる気だけは人一倍。そんな彼女には、あるチャンスが回ってくる。

 少しずつ体づくりもできて来たけれど、旭にいま決定的に足りないのは、恐怖を押し殺して前に出る精神力だ。それをどうやって身につけるのか。周りも色々とサポートしてくれるけれど、最後に必要なのは、本人の一歩前へと出る勇気なのです。
 そして一歩前に出たら出たで、意外に出過ぎじゃないのかな?ってくらいの方が、実は強くなる余地を秘めているのかもしれません。

あさひなぐ (1)

努力と根性で這い上がる
評価:☆☆☆☆★
 東島旭が入学した二ツ坂高校は元々女子高だったため、女子の部活動が盛んだ。運動が苦手な旭も、高校入学を期に変わろうと思うものの、中学までの経験がモノを言う運動部には入りづらい。そんな懊悩を抱えていた彼女だが、部活動紹介に仕込まれた策略により、薙刀部に体験入部することになってしまう。
 とりあえず袴に着替えさせられ、薙刀を持たされた旭は、先輩の野上エリに言われるままに薙刀で先輩のすねを打つ。その爽快感と、初めて運動をほめられた喜び、そして憧れの対象となる宮路真春との出会いが、彼女を薙刀部へといざなう。

 しかしやはり実体は甘くはない。結局運動ができない旭は、練習にも苦労の連続。それでも根性で続けていく旭は、先輩たちのインターハイで、初めて薙刀がどういう競技なのか、その美しさを知るのだった。
 運動ダメダメな女の子が、努力と根性で這い上がっていく系のスポーツものです。

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