才谷ウメタロウ作品の書評/レビュー

ガズリング (4)

一生懸命の情熱
評価:☆☆☆☆★
 松葉高校女子バドミントン部は、絶対的エースの野地マリエが引退し、新たな世代に移った。

 そして始まる新人戦。坂本つばさ・武智紗羽ペアは一回戦を勝ち抜き、二回戦で常勝・麗煌女子の服部朝子と対戦することになる。しかし、服部はあからさまにダブルスに対してやる気がなかった。

 残念ながらの最終巻。後日談として、岡田カンナという新一年生が入部してくるエピソードが描かれている。それにしても、シングルスの戦いがないのはなぜなの?

ガズリング (3)

越しても越しても遮る強敵たち
評価:☆☆☆☆★
 松葉高校女子バドミントン部は、笹久保高校を下してインターハイ県大会進出を決めた。そしてその過程で、野地マリエによって坂本つばさとダブルスを組まされ出場した武智紗羽には達成感を、彼女の活躍を見守るしかなかった他の一年生部員には、悔しさと不甲斐なさを努力に変える気持ちが宿された。
 次なる戦いの場は、県大会へと移された。県大会に出場する常連校は、いずれも強豪ぞろい。守備に重きを置く高校もあれば、苛烈な攻めを得意とする高校もある。各校の特色を頭に入れ、それぞれへの対策を考慮して特訓に励む松葉高校女子バドミントン部だったが、強豪チームはそれほど甘いものではなかった。

 初代コーチ沢村タエ子の正体が明かされる。そして、県強豪の麗煌女子の服部朝子というライバルキャラも登場する。しかし今ひとつ、中心は二・三年生に置かれているためか、燃えるものが少なかった。

ガズリング (2)

相手を下す面白さ
評価:☆☆☆☆☆
 松葉高校女子バドミントン部主将の野地マリエの兄である野地ルイは、単なるセクハラ青年ではなく、オリンピック代表候補にも挙げられるような選手だった。
 彼の舐めるような視線に絡めとられた武智紗羽や一ノ瀬涼子、近藤七海ら一年生部員だったが、その上で出してくる指摘は的確で、少なくともバドミントンについては信用できる人物に思える。

 適切な指導により、ゲームとしてのバドミントンの面白さを感じ始めた武智紗羽の姿を見て、主将の野地マリエは、来年以降の坂本つばさの活かし方を考えて、過激な起用策を披露するのだった。

 女子選手たちに対してスカートタイプのユニフォームを着せるという演出的なサービスもからめつつ、汗が飛び散る激しいゲームと、それにかける情熱がたぎってくる作品だと思う。

ガズリング (1)

天才型の主人公
評価:☆☆☆☆☆
 松葉高校に入学した武智紗羽は、放置してあったバドミントンの道具を使って遊んでいた友人の一ノ瀬涼子と近藤七海のとばっちりを受けて、持ち主である坂本つばさに罰ゲームを課されることになった。3人がかりで1ポイントも取れなければ、勝手に使った道具を買い取らなければならない。
 お値段は3本で6万円超なので、負けたら大変なことになる。初めは意気込むものの、一ノ瀬涼子と近藤七海は早々に脱落。全ては武智紗羽に託されることになる。

 バドミントン初心者の武智紗羽だが、実力者の坂本つばさの攻撃を何とか返しつつ、ラリーは続いていく。結局は負けてしまうものの、武智紗羽のセンスを感じた坂本つばさは、代わりの罰として、彼女たちを女子バドミントン部へ入部させてしまう。そこは、インターハイ覇者の野地マリエを擁する、厳しい練習で有名な部活だった。

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