前鳥八代作品の書評/レビュー

PRICE 女流棋士飛翔伝 (3)

因縁
評価:☆☆☆☆★
 女性の棋士の頂点を決めるために新設された女流鳳凰戦は、楓、香織のプロ棋士、連盟所属の女流棋士だけでなく、将棋連盟以外の団体の女流棋士にも参加資格が与えられることになった。
 我妻あざみ女流五段に憧れる少女・渡瀬晴や、香織に番外戦術を仕掛ける貝原美玲奨励会初段など、新たな女性たちが登場する。

PRICE 女流棋士飛翔伝 (2)

なりふり構わず
評価:☆☆☆☆★
 広瀬章人飛王への挑戦権を獲得した黒川楓五段は、初の女性プロ棋士としてだけでなく、プロ棋士としてのスターダムをのし上がっていく。それに嫉妬の炎を燃やす新羅香織四段は、楓を翻弄した菅野重信六段に近づき、自分の肉体を武器に、その棋風を自分のものにしようとするのだった。
 そして現れる、棋界の頂点・大岩礼二名人の怪しさ…。

PRICE 女流棋士飛翔伝 (1)

ザコ臭漂う主人公
評価:☆☆☆★★
 女流タイトルを総なめにして新進棋士奨励会の三段リーグ抜けに王手をかける新羅香織と、ビジュアルに難があるために同じく王手をかけているのに話題にならない黒川楓。自力昇段はこの一戦に賭っている。
 周囲の期待は全て新羅香織に集まるものの、対局の結果は黒川楓の完勝。プレッシャーに負ける新羅香織だったが、他の対局者が負けたため、他力で昇段が決まる。

 四段昇段の贈呈式。心機一転、活躍を誓う新羅香織だったが、そこに現れたのはスタイル抜群の美女となった黒川楓だった。

 未だ存在しない女性プロ棋士を主人公とする話。ダブル主人公なのだが、最初から持ち上げられる割に、新羅香織のザコ臭が凄まじい。つまりこれから盛り返すはずなのだが、未だキャラクターも固まらず、読者も移入できないような状態で、何故こんな転倒した構成にしたのかよく分からない。
 タイムリーにも対コンピューターの棋戦もテーマとして扱っている。

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