城アラキ作品の書評/レビュー

バーテンダー (17) 明日への扉(画:長友健篩)

旅立ちのストーリー
評価:☆☆☆☆★
 この本には、様々な形の旅立ちのストーリーが収められている。
 生まれたときから予定されていたもの、突然訪れるもの。転機はそれぞれだけれど、一つの終わりであり何かの始まりであることは変わらない。

 そしてこの作品も、次巻からは新しい展開に突入するようです。

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ソムリエール (14) 本物の命(画:松井勝法/監修:堀賢一)

お客を呼ぶ人のつながり
評価:☆☆☆☆★
 お客を呼ぶ人のつながりが裏のキーワードになっているように感じる。
 その連鎖は良い客も呼べば、あまり好ましくない客も呼ぶ。しかし、どんな客にもふさわしいサービスはあるはず、と思い見つけようとする姿勢が必要なのだろう。

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ソムリエール (13) (画:松井勝法/監修:堀賢一)

良い仲間、良いサービス
評価:☆☆☆☆★
 周囲の人の協力や良い仲間が見つかったことで、順調に営業するカナのワイン・バー。でも、時々はトラブルも起きる。
 良いお客さんに良いサービスを提供するのは当たり前、嫌なお客さんにどんなサービスを提供するのか。そこが腕の見せ所かもしれない。

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バーテンダー (16)(画:長友健篩)

ウイスキーと人生
評価:☆☆☆☆★
 休暇を取った佐々倉溜は北海道へと旅立つ。札幌、小樽と来て余市へ。そこで語られるのは、日本にウイスキーを根付かせた竹鶴政孝とリタの物語。

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ソムリエール (12) (画:松井勝法/監修:堀賢一)

仲間を見つける修行
評価:☆☆☆☆★
 ヴァン・ブルーを任されて1ヶ月が過ぎた樹カナは、陣のアドバイスもあり、料理のサービスも開始することになる。祥という若手の料理人を雇い、順調に営業を続けていた矢先、カナが始めたお客さまアンケートをきっかけとして、その和が崩れてしまう。
 これまでは先達に導かれることの方が多かったカナが、自分と同じ立場に立つ仲間を見つけて、大きく飛び立つための第一歩を刻もうとしている。

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バーテンダー (15)(画:長友健篩)

政治家の執念深さと禅僧の話
評価:☆☆☆★★
 見習いバーテンダーがウロウロしているうちに、師匠の過去を知るというお話。でも、一話一話を引っ張りすぎて間延びし、話のキレが薄れてきている気がする。あんまりのんびり展開になると、グラスの絵の線のシャープさとのギャップを感じるようになってしまう。
 それに、酒の話よりも人情話に重点が置かれるてくるならば、バーテンダーというこの作品と、他の人情話作品との差別化が図れなくなってしまう気がするのだが…どうでしょう?

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ソムリエール (11) (画:松井勝法/監修:堀賢一)

カナの武者修行
評価:☆☆☆☆★
 「お前はワインしか見ていない」そう言われて店をクビになったカナは、偶然の出会いという幸運によって、銀座のワインバーをまかされることになる。
 1か月以内に黒字にできなければクビ。無茶とも思える条件を出されたカナの前に現われる、年下のギャルソン、会計士などなど。未だワインを語るしかできない彼女だが、あまりにも強力になりすぎた片瀬というキャラクターの呪縛から放たれた今、多くの客とその人生との出会いにより、一人のソムリエールが磨かれていく…のだろうか?それはまだこれからのお話。

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バーテンダー (14)(画:長友健篩)

機械が役務を提供することをサービスとはよばない、のかも知れない
評価:☆☆☆☆★
 スイカを買う時はスイカという物にお金を払うことが明らかだ。そしてその値段は青果市場の相場という裏付けがある。じゃあ、サービスはどうだろう。ボクらは何に対してお金を払うのだろうか?そして、サービスを提供する側は何に対してお金を申し受けるのだろうか?
 物語の主役は見習いバーテンダーたちにシフトした。サービスは何かというものを基本から学び直す、そんな筋立てになってきている。同じような、ホテルのサービスパーソンを描いた作品でも、主役が若手になっていることを考え合わせると、スーパーマンが活躍する物語よりも、出来ない子が頑張っていくという物語が好まれるようになっているのかも知れない。この傾向は、いったい何を反映しているのだろう?

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ソムリエール (10) (画:松井勝法/監修:堀賢一)

あくまでも主役は人間
評価:☆☆☆☆☆
 ワイン愛好家は強硬に否定するかもしれないが、本来ワインはそれ自体が主役ではないはずだ。料理の味を引き出したり、楽しい雰囲気を作り上げたり、何かのきっかけになったりする、縁の下の力持ちが本来の姿だと思う。それを無視して主役に祀り上げようとすれば、エゴイスティックで鼻もちならないものになってしまう。
 この作品の良いところは、ワインを中心に置きながらも、ワインを作品の主役にしていない点だ。あくまで主役は人間である。ワインはその人間を彩るための道具に過ぎない。沈黙はしない、でも、語りすぎもしない。そんなさじ加減がちょうど良い。
 そして、若きソムリエールである樹カナの、大胆ではあるが未だ未熟な対応も、本来の主役を引き立てる効果を生み出していると思う。

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ソムリエール (9) (画:松井勝法/監修:堀賢一)

年を重ねる、ワインを寝かせる
評価:☆☆☆☆★
 樹カナのライバル的な女性、レストラン・プロデューサーの観月樹理が登場する。樹理がカナを意識する理由は作中で示唆される。まだまだ登場する様だ。
 長期保存が可能なワインは時代を超えて様々な人の想いを運ぶ。今回伝えられるのは、親から子供への想い、平和への想い、愛情など色々だ。しかし、その想いが本物であれば、例えワインが熟成に失敗していたとしても、伝えられるべきことは伝わるはずだ。そういった想いの媒介者として、ソムリエ/ソムリエールが描かれている。
 また、古来からのワインの生産地が戦乱の多いヨーロッパだったこともあり、ワインにまつわる戦争の記憶も多いようだ。そしてこれは現代でも新たに付け加えられ続けている。この想いは非常に重いと感じた。

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バーテンダー (13) (画:長友健篩)

自分が認識できない所には何も無い訳ではない
評価:☆☆☆☆☆
 イーデンホールに新人の和久井翼が配属になり、佐々倉溜も弟子を持つことになった。佐々倉が和久井に告げる初めての仕事は「何もしないこと」。幹部候補生として会社から期待の声をかけられ、やる気マンマンの和久井はその指示に不満タラタラ。しかし、毎日カウンターに入っていると理解できてくることもあって…

 最後に佐々倉の師匠である加瀬五郎が登場することもあり、師匠から弟子へ変わらずに伝えられていくことを象徴的に表現していることも間違いないが、同時に和久井という何もできない新人をカウンターに入れることによって、佐々倉の見えないサービスが見えるようになり、作者が表現したいことが分かりやすい形で読者に見えるようになった、ということも言える気がする。おかげ様でより楽しくなってきました。

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ソムリエール (8) (画:松井勝法/監修:堀賢一)

偉大な先人と同じくらい偉大な現代人はいる
評価:☆☆☆☆☆
 正直、惰性で購入したのだが、今回はいつもより良かった。エピソード的には、開国期にカリフォルニアでワイナリーを経営した長沢鼎の逸話を知れたのは収穫だった。おそらく現代にも、世界のどこかで、日本では話題になることもなく頑張っている日本人が多くいるのだろう。
 今回は、片瀬支配人がメインのストーリーがいくつかあり、それが光っていたように思う。カナが若さでズカズカと踏み入って壁を壊す話も悪くはないのだけれど、時を経たワインに重ねて何かを語るような格好良さは、片瀬支配人の様な深みのある大人に言われた方がしっくり来る気がする。
 個々のストーリーはともかく、全体的な流れとして、カナの恋愛話にシフトして来たようだ。どのようにしてワインと絡めて物語を構築していくのか楽しみ。

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