島田ちえ作品の書評/レビュー

サクラ大戦 奏組 (4)

哀しい音色を癒やせない
評価:☆☆☆☆★
 帝国華撃団魔障隠滅部隊奏組隊長の雅音子は、桐朋源二・源三郎兄弟と共に聖アポロニア学園へ潜入捜査することになった。ちなみに聖アポロニア学園は男子校だ。当然、音子も男装することになる。
 魔音/デノンの吹きだまりを探して学園中を探し回る音子たちだったが、吹きだまりは一向に見つからない。代わりに、彼女たちと同様に怪しい行動をしている十河春宗と十河秋宗という双子の兄弟と遭遇する。

 十河秋宗が持っていた小さな観音像を偶然拾った雅音子は、十河秋宗に興味を持ち始める。そしてその様子を見た桐朋源二は、動揺を隠せなくなるのだった。
 だが、そんな嬉し恥ずかしな学園生活も長くは続かない。デノンマンサーのロレンツォやアンヘルの陰謀は、着実に進行していた。そして学園を舞台として、霊音/レノンと魔音/デノンの衝突が起きることになる。

 シリーズ最終巻。試みは上手くいったのかいかなかったのか?

サクラ大戦 奏組 (3)

戦う理由
評価:☆☆☆☆☆
 帝国歌劇団奏組に指揮者見習いとして入団した雅音子は、奏組の楽団服を手に入れ、楽団の一員としての地位は築き始めていた。しかし、帝国華撃団魔障隠滅部隊奏組隊長として、フランシスコ・ルイス・アストルガ、ヒューゴ・ジュリアード、G・O・バッハ、桐朋源二・源三郎兄弟と共に戦場に赴く際には、戦うことが出来ずに心苦しい思いを感じていた。
 そんなとき、ルイスを訪ねてアンヘルという人物が帝国歌劇場を訪ねてくる。ルイスとアンヘルの因縁を通じて、音子は自らの戦う理由を見つけ、奏組の戦闘服を手に入れるのだった。

 ヒューゴの過去にまつわるロレンツォという人物も登場し、デノンマンサーという存在が明らかになる。華撃団側では月組副隊長の宍戸光星が登場する。

サクラ大戦 奏組 (2)

踏み込む意味
評価:☆☆☆☆★
 帝国歌劇団奏組に指揮者見習いとして入団した雅音子は、未だ実力不足ゆえ、フルート奏者としてオーケストラピットに入っていた。奏組総楽団長ヨハン・シベリウスの計らいでG・O・バッハが手配し、奏組の楽団服を手に入れた雅音子は、見た目も楽団員として正式に仲間になることが出来た。
 ストリングス隊以外の奏組メンバーたちとも仲良くなり、帝国華撃団魔障隠滅部隊奏組としての活動を通じて、G・O・バッハや桐朋源二・源三郎兄弟との交流も深めていく。

 だが最近の音子の不満は、憧れの帝国歌劇団花組メンバーと一度も出会えていないことだ。帝劇三人娘の計らいで何度もチャンスを与えてもらうのだが、不幸の招き音子の本領を発揮し、そのチャンスをことごとく潰してしまう。果たして彼女は花組メンバーに会うことができるのか?

サクラ大戦 奏組 (1)

逆ハーレムに戸惑う少女
評価:☆☆☆☆★
 出雲の地で帝国歌劇団花組に憧れる少女の雅音子は、上京して帝国歌劇団に入団出来ることになった。ところが彼女を迎えたのは、奏組総楽団長ヨハン・シベリウス。そう、彼女は花組としてではなく、オーケストラの指揮者見習いとして採用されていたのだ。
 女優をやる気満々だっただけに意気消沈し、かつ、帝都の人間の冷たさに不安になる音子だったが、その不安は悪い意味で的中してしまう。帝都の街を出歩いた彼女が見た不吉な音は、降魔という人に徒なす存在を示す前奏曲であり、彼女はそれに襲われてしまったのだ。

 だがその度に、フランシスコ・ルイス・アストルガ、G・O・バッハ、桐朋源二桐、朋源三郎、ヒューゴ・ジュリアードという男性たちが現れ、彼女を救ってくれる。彼らは帝国華撃団魔障隠滅部隊奏組の隊員であり、彼女は音が見えるという特質を買われて、その部隊の隊長を務めることにもなっていたのだ。
 そんな彼女が暮らすことになった寮は、奏組が男性隊員ばかりであるため、女性は音子ひとりきり。案内してくれた御伽丸伊玖は問題ないというが、年頃の乙女としては色々と気になるところだ。そして当然のように、寮内でも様々なイベントが起きることになる。

 真宮寺さくらたち帝国華撃団花組の陰で、彼女たちが登場するまでもない規模の降魔を倒すことを任務にする男性たちと、彼らの隊長をすることになってしまった少女の交流を描いている。楽器を弾ける人が居ないせいかどうかは知らないが、日本の劇団のオケなのに外国人が圧倒的に多いという。
 イケメン揃いの逆ハーレムに放り込まれた少女の運命やいかに?

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