田中ほさな(保左奈)作品の書評/レビュー

聖骸の魔女 (2)

不遇のウプスラ
評価:☆☆☆★★
 最初(はじまり)の魔女エゼルバルドとウプスラとの契約をし、浄皇庁から名目上追放されたニコラ・エスカリバはは、裏切り者の魔女アダンテの手掛かりを探すべく、憤怒の魔女シビラに支配された領地を訪れる。

聖骸の魔女 (1)

魔女戦争
評価:☆☆☆★★
 魔女との戦争を戦うクレド教会の浄皇は、子飼いの修道士ニコラ・エスカリバに命じて最初(はじまり)の魔女を復活させる。欠けた左手の薬指を戻されて復活した魔女エゼルバルドは、ニコラを背の君と呼び、彼を慕う。だがその力は、はじまりの魔女と呼ばれるにふさわしいものだった。

時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。 (4)

破局の回避
評価:☆☆☆★★
 同じ未来から訪れた存在ながら、環境破壊を推進する時坂暦と環境保護を進める生徒会副会長の夢原逸花の対立は、空木宗也だけでなく、彼の周囲の人物も巻き込む事態となってきた。
 追い込まれた時坂暦が目前から姿を消し、環境破壊の推進者を失ってしまう空木宗也のグループだったが、空木宗也は時坂暦の意志を継ぎ、学校の校舎の壁を真っ黒に塗る活動を開始する。

 それを妨害すべく、副会長一派は生徒会長の渡辺りょうを拉致し、下着姿にして監禁するのだが…。

 シリーズ最終巻。

時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。 (3)

未来からの仲間探し
評価:☆☆☆★★
 環境保護が行き過ぎて、人間が生きられないほど綺麗になった地上に夏を取り戻すため、未来からやってきて環境破壊を推進する時坂暦だったが、環境保護を進める生徒会副会長の夢原逸花と対立し、空木宗也に近づかないことを条件に、一時、環境破壊の休止を宣言する。
 とたんに急接近し始めた夢原逸花と空木宗也に危機感を抱く幼馴染の甲斐庄月音は、なるべく空木宗也にくっついて離れないようになるが、空木宗也は時坂暦に対する夢原逸花の警戒を解くために、あえて敵の懐に飛び込んで行く。

 その様を見て、再び環境破壊活動に精を出そうとする時坂暦だったが、彼女の前に生徒会長の渡辺りょうが現れ、二人っきりの環境破壊活動は、多くの生徒たちを巻き込んだ作戦へと発展していくのだった。

 未来にいたときの時坂さんや、メイド姿の時坂さんなどが描かれる。漫画的には、場面転換時のコマ割りなどが分かりにくく、唐突に物語が展開する部分が散見される。

時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。 (2)

綱引きの真ん中で
評価:☆☆☆☆★
 いきすぎた環境保護のせいで破滅を迎える未来を変えるため、未来からやって来た時坂暦と一緒に暮すことになった空木宗也は、幼馴染の甲斐庄月音からの同棲疑惑を穏便に処理することに成功した。しかし、環境保護を推進する生徒会副会長の夢原逸花の登場で、再び宗也の周囲は騒がしくなる。
 環境破壊をすることで未来を変えたい時坂暦にとっては、環境保護を推進する夢原逸花はまさに怨敵だ。加えて、時坂暦が執着する空木宗也にちょっかいを出してくるとあっては、心穏やかにはいられない。

 時坂暦のやり過ぎな行動を和らげるために空木宗也が奮闘し、結局はボロを出してしまうという展開が続く。また今回は、母方の叔父の藤堂虎也が登場し、甲斐庄月音と共に、口先で丸め込まれて環境破壊に協力することになる。

 もっとも環境破壊と言っても、人的物的被害を出すような破壊ではなく、Reduce(リデュース:減らす)、Reuse(リユース:繰り返し使う)、Recycle(リサイクル:再資源化)を阻止するようなものであり、テロリズム的な要素は薄い。
 結局、空木宗也を中心として、時坂暦と夢原逸花が綱引きをするというのが今回の主眼であり、その過程で生じる思春期的な誘惑を描いたりもするわけなのだが、それが成功しているかどうかは微妙な部分もある。それは、ヒロインたちに自覚的な行動が少ないからだろう。

 最後に時坂暦が思い切った行動を取り、空木宗也に関する秘密が仄めかされる。次巻はどうやって盛り上げるのか、抜本的な見直しが必要なのかも知れない。

時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。 (1)

未来のための環境破壊!
評価:☆☆☆☆★
 親元から離れ伊間市で一人暮らしをする空木宗也は、ゴミの分別に気を配る高校生だ。幼なじみの甲斐庄月音が混在ゴミを出そうとしようものなら、たとえ遅刻しそうな朝の時間でも再分別をしてしまうほどの気合の入れようだ。
 だがある日を境に、彼の出した分別ごみは逆分別され、ゴミを回収してもらえない様な状況になってしまう。その犯人を捕まえるため、ゴミステーションで張り込みをする空木宗也の前に現れたのは、転校生の時坂暦だった。

 逃げ出す時坂暦を追いかけて飛び出した道路で自動車に轢かれそうになった空木宗也を助けたのは、分子間力制御という技術を操る暦だった。彼女は未来から来たエージェントだったのだ。
 そんな彼女の役割は、環境保護時代の現代において環境破壊をすること!それが行き過ぎた環境保護の結果訪れた未来を救うことになると主張する。

 空木宗也に正体がばれた時坂暦は即刻未来に帰還しようとするのだが、時間転位服を壊してしまい、新たな時間転位服を未来から送ってもらうためのお金を稼ぐために、環境破壊をすれば貯まるエコポジットを稼ぐことになる。
 その手伝いを申しつけられたのは、当然、空木宗也だ。一人暮らしの彼の家に転がり込むことにした時坂暦であったが、田舎の口さがない近所のおばさんたちに怪しまれないため、隠密暮らしを強いられることになる。

 しかし、人の口に戸は立てられず、壁に耳あり障子に目ありの田舎においてやはり秘密はばれてしまう時が来る。高校生の男女が同棲しているらしいという噂が甲斐庄月音の耳にも入り、空木宗也はピンチを迎えてしまうのだった。

 環境破壊をするために何をすれば環境破壊になるのかを学んで行くというプロセスで、実はこんなことも環境破壊になるんだ!と気づく構成になっているのは、果たしてどちらの立場に立って作られているのだろう?
 そして、普通の学生に見える空木宗也にも、何やら秘密があるらしい。それに気づいた様な生徒会の少女といい、田中保左奈「暗号名はBF」の様な秘密結社っぽい展開になるのかもしれない。

乱飛乱外 (7)

悪魔の化身か神のみわざか
評価:☆☆☆★★
 お家再興のために主君を逆玉に乗せようとして奮闘するお色気女忍者たちの活躍を描く。その主君が負け犬根性にまみれており、必ずお姫さまたちから好意を抱かれるにも拘らず土壇場で逃げ出すというのがお決まりのパターンになっている。
 今回は、ポルトガルのお姫さまだけど日本で修道女をしているエズミのお話の完結編と、女忍者たちの次期里長であるおろちのお話。後者では、女忍者のひとりであるかがりが使う忍法神体合の秘密が明らかになる。

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乱飛乱外 (6)

今回のお相手は異国のお姫様
評価:☆☆☆☆★
 九鬼つなみとシウバの因縁に決着をつけ、ついにお姫様と…と思いきや、今頃になって誤解に気づいた刀雷蔵が勝手に結論を出してまたお別れするはめに。
 ふられた(と思い込んでいる)雷蔵が傷心を酒で癒していると、現れたのが宣教師のエズミ。雷蔵とエズミをくっつけようとする策略に、冠木星眼に仕える明智十兵衛たちが協力する姿勢を見せたりして、何やら隠された事情がある模様。今回のヒロインはこれまでとはちょっと方向性が違います。

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暗号名はBF (1)

変身だー
評価:☆☆☆☆★
 普段はちょっとおっちょこちょいの小学生。しかし、ソーマを打てば一流の工作員に早変わり。そんな七海団の活躍を描いた作品です。
 線が丸めでやわらかく一種独特の絵柄なので慣れるまでが大変かもしれませんが、慣れてしまえばそれも魅力!全体に漂うやさしい雰囲気が気持ちよく読ませてくれると思います。

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