たかしげ宙作品の書評/レビュー

死がふたりを分かつまで (19)(画:DOUBLE-S)

刑事たちの戦い
評価:☆☆☆☆☆
 トゥルスの弟ジーニが率いるデュハナ準国の漆黒部隊の精鋭七人衆「トランプ」の殺人教官ゼルムを下し、遠山遙と土方護にはいつも通りの日々が訪れたかに見えた。
 しかし、遙が攫われた過程で土方が告げた求婚に近い言葉が遙の中に残り、いたたまれない空気を作り出してしまう。だがもちろん、土方はほとんど気にしない。

 一方、イージスは源田刑事と共に病院で療養中のトゥルスを確保するために、闇病院へと向かう。両手両足を失い身動きが出来ないはずのトゥルスだったが、意外な戦いが起きることになるのだった。

死がふたりを分かつまで (18)(画:DOUBLE-S)

剣鬼の実力
評価:☆☆☆☆☆
 トゥルスの弟ジーニが率いるデュハナ準国の漆黒部隊の精鋭七人衆「トランプ」の殺人教官ゼルムにより、遠山遙とアナ・リドルは拉致されてしまった。遠山遙には爆弾がくくりつけられて天上から吊り下げられ、土方護、ジーザス、イージスの三つどもえでの殺しあいを強要される。
 事態に悲観した遙はあきらめの言葉を吐くのだが、それに対して護は、なぜ彼女が自分を選んだのか、未来予知に隠された推測を披露し、彼女が望む言葉を継げることで遙に落ち着きを取り戻させるのだった。

 今回は護の独壇場と言っても過言ではないだろう。ジーザスも新必殺技を披露するのだが、護の派手さには敵わない。敵味方入り乱れてのバトル大会も、ようやく出口が見えてきたようだ。

死がふたりを分かつまで (17)(画:DOUBLE-S)

攻守二転三転
評価:☆☆☆☆☆
 トゥルスの弟ジーニが率いるデュハナ準国の漆黒部隊の精鋭七人衆「トランプ」に狙われることになった遠山遙は、アナ・リドルと共に殺人教官ゼルムを退け、一時的に自由を奪うことに成功した。しかし一方で、精鋭三人を迎え撃つことになってしまった土方護は、敵の手に落ちてしまう。
 そんな土方を助けるために、彼らがいる倉庫へと向かった遥たちだったが、彼女の予知の隙を突いてゼルムが縛を逃れ、逆に遥とアナが捕まることになってしまった。そしてその助命の交換条件に、護は全ての精鋭と、彼らを助けに来るジーザスやイージス、全てを倒さなければならなくなってしまう。

 作画の人が気迫みたいなものを絵で表現することに目覚めたらしく、強者はとんでもなく気迫を放つ描写になっている。

死がふたりを分かつまで (16)(画:DOUBLE-S)

極限の競い合い
評価:☆☆☆☆☆
 ジーザスの勤務する学園にて、漆黒部隊の精鋭「トランプ」を迎え撃つことになった遠山遙と土方護たちは、学園の生徒たちに気づかれないようにとの協定を結び、授業中だけ死闘を繰り広げる。その中でも、精鋭三人を迎え撃つことになってしまった土方護は、封じられた刀を捨て、おとなしく捕虜となってしまった。
 無力となったはずの遠山遙だったが、アナ・リドルと共に行動し、予知能力を余すところなく利用することで、敵のリーダーである殺人教官ゼルムすらも圧倒してしまう。しかし、ジーザスすらも圧倒する戦士の登場に、戦況は不利になっていくのだが、ここでも遙が起死回生の一手を繰り出すことに成功する。

 各所で繰り広げられる、最新科学技術と、自身の鍛え上げた肉体技術の合わせ技を駆使した死闘!そのトップレベルの戦いに介入することすら出来てしまう、開花した遙の予知能力。自らは弱くとも、周囲の協力を得ることで、猛獣のごとき戦士たちを手玉に取っていく様は快感だ。

死がふたりを分かつまで (15)(画:DOUBLE-S)

無音で繰り広げられる激戦
評価:☆☆☆☆☆
 藍東学園に潜入している、ジーザス、ナイト・ゴーンツ、劉伊健、アッシュらの勢力を遠山遥の防衛に利用するため、土方護は彼女を転入させた。しかし、その鉄壁の守りに対して、攻める側は少数精鋭で対抗、デュハナ準国の漆黒部隊精鋭七人衆・トランプを投入して来た。
 生徒に気づかれない様に戦う限りにおいては生徒を殺さない。その様な条件を出すことで防御手段を限定化し、相手に効果がある武器に精通した人材を投入することで、防御側の戦力をすり減らしていく作戦だ。

 この様な条件の中、圧倒的に不利な立場で守ることになった護たちは、無事に遥を守り切れるのか?無音で繰り広げられる圧倒的な削り合いの殺し合いが描かれる。

死がふたりを分かつまで (14)(画:DOUBLE-S)

戦場は藍東学園で重なる
評価:☆☆☆☆☆
 土方護とジーザスが出会ったチェチェンの回想は終わり、本編は新しい章へと進む。
 ネットワークの指示で、ジーザスが教師を務める藍東学園へ潜入することになった遠山遥を狙い、新たな強敵が日本に入国してくる。デュハナ準国の漆黒部隊だ。

 24のナイト・ゴーンツの兵士たちも潜入する藍東学園は、何も知らない学生たちを含みつつ、一気に戦場モードへと移行しつつある。
 そんな状況の中で、遠山遥は未来を読みきることが出来るか。そして、土方護は、ジーザスはどう動くのか?

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死がふたりを分かつまで (13)(画:DOUBLE-S)

土方護、最初の戦場
評価:☆☆☆☆★
 エレメンツネットワークの支援を受け、戦場に身を投じるためにチェチェン共和国に入った若き日の土方護。そこで行われていた子供狩りを阻止する中で出会ったジーザスの存在、そして土方が視力を失った経緯を遠山遥は知ることになる。
 現代の舞台から離れて、丸々一冊が護の過去物語。若くても今の彼に繋がる性格を備えた当時の土方の姿が描かれる。やはりこれまでの傾向どおり、戦争犯罪の描写よりも戦闘描写がメインの構成になっている。

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死がふたりを分かつまで (12) (画:DOUBLE-S)

組み直される新体制
評価:☆☆☆☆★
 プロフェッサーとの一時休戦と土方が描く計画、そして千治の取り込み。遥の能力を中核とする指揮系統が組み上げられつつある中、台場巽の陣営や、警察つながりで関係する楯雁人と源田刑事など、それぞれが各々の思惑で動きつつ、舞台が整っていく。
 そして、最後にはあのキャラクターも登場する。クロスオーバー企画は絶賛進行中。

 戦士は戦場で示された行動しか信用しない。

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死がふたりを分かつまで (11) (画:DOUBLE-S)

相互補完関係の成立
評価:☆☆☆☆★
 プロフェッサーが仕掛ける三重四重の罠、飛び交う銃弾の嵐、旧式戦車と、土方護を疲弊・消耗させながら物量で圧倒する攻撃が襲う。手加減をする余裕をない敵たちに、護の攻撃は殺気をはらまざるを得ない。なぜなら、そうしなければ自分が生き残ることが出来ないし、遥を守ることが出来ないからだ。
 守られる側の遥も震えてただ守られるだけの存在ではない。彼女が狙われる理由である予知能力を生かして、護が誰も殺さなくて済む様に、状況を誘導することで護を守ろうとするのだ。武力と超能力という性質の違う力を駆使して、互いに互いを護るという関係が成立している。

 さて、クロスオーバー企画も順調に進行中。古村の護り手が現れ、護の前に立ちはだかる。

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死がふたりを分かつまで (10) (画:DOUBLE-S)

エレメンツ・ネットワークの具現化
評価:☆☆☆☆★
 源田刑事がなぜ土方護を人殺しと呼ぶのか、護の過去の一端が明らかにされる。そして、これまでは監視者による多数決という形のない存在だったエレメンツ・ネットワークは、その創設者が明かされることで、実体をともなった意思に、ある意味単純化された。
 このことは、護がエレメンツ・ネットワークの束縛から抜け出そうとしている事と無関係ではないと思う。護がネットワークの思想を体現しているうちは必要なかったのだが、そこにずれが生じた事で、本来のネットワークの思想を体現している人物が必要になったのだ。

 また、これまでもほのめかされていたのだが、後半には「闇のイージス」とのリンクが明示される。これが物語にどのような彩りを与えるのかは、実際に読んで確かめて欲しい。

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死がふたりを分かつまで (9) (画:DOUBLE-S)

刀一本で立ち向かえない敵に対する復讐戦の開始
評価:☆☆☆★★
 遥の乱入によりワイズマンの囲みを破るチャンスを得ることが出来た護は、自らの"目"と武器を置いて、単身修行に出かけようとするが、それを察した遥は護を追い掛ける。その後、エレメンツ・ネットワークの護の持ち場には、二輪車を操る新たなエージェント、大が配属される。

 毒は毒をもって制す、力には更なる力をぶつける、というエレメンツ・ネットワークの方針に従い、街に潜む悪党を片っ端からぶっつぶしていた護だが、最近は防戦一方、いい加減フラストレーションが溜まっていた所での暴発である。
 ワイズマンが登場し、敵性組織の狙いが予知能力者の遥から、エレメンツ・ネットワークそのものに移り変わった時点で、個人戦に主眼を置きつつも、主体は組織戦に変わってきた。おかげで最近は武器に品評会状態。毎回毎回、新兵器が登場する。
 エレメンツ・ネットワークの黒幕っぽい人物も登場し、次巻以降は組織の成り立ち・内情に踏み込んだ部分もいろいろ出てきそう。

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死がふたりを分かつまで (8) (画:DOUBLE-S)

罠を切り抜けろ
評価:☆☆☆☆★
 武装集団に襲撃された友達を助けるために廃ビルへと逃げ込む遥。護たちも救助に向かうが、妨害を受け現在地の把握が出来ない。しかし遥は、同級生と協力し、予知能力を駆使して護たちが駆けつけるまでの時間を必死に稼ぐ。無事に友達を守りきれるのか。遥の学校編、終幕。
 そして、着々とエレメンツ・ネットワーク包囲網を構築していくミスターワイズマン。暴力団を囮に護を罠に誘い込み、大戦力を投入して消耗戦を仕掛ける。追い込まれた護の前に、熱を出して寝込んでいたはずの遥が現れる。遥が予知した護の死をふたりは回避することが出来るのか。

 最後に遥が護に言うセリフが哀しい。自分が苦しくても周りの人を気遣える彼女が幸せになれる未来を引き寄せることが出来れば良いのだが…

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