TAGRO作品の書評/レビュー

変ゼミ (7)

足元を揺るがす事実
評価:☆☆☆☆★
 大小の排泄にまつわる2話を冒頭に置き、松隆奈々子が偶然目撃した、堀井と加藤あんなの密会を市川菱靖が追跡するというシリーズを背景に、条件反射やら親切ジャンキーやら寄生虫やらに切り込んでいく。

 コロコロと人格を変えて他人を操り、新人にして常に上から目線で入ってくる加藤あんなの足元を揺るがせるような事実が明らかになる。動揺して泣き崩れるあんななんて、一体何が起きたというのか?
 寄生虫ネタは、自分のお腹の中にあんなのがいるかも知れないと思うと、妙にぞわぞわしてくる。

変ゼミ (6)

常軌を逸した変態性
評価:☆☆☆☆★
 まず手始めは、飯野教授率いる変ゼミの表のエースとも呼ぶべき水越美和子の思いつきから。流石の飯野教授すらストップをかけるテーマに、もしそれをやるなら手伝うかという問いがゼミメンバーに投げかけられる。松隆奈々子の答えは自明として、武蔵小麦の答えでイっちゃう水越は、実際にやらなくても十分満足できたことだろう。彼女の強みは、そのすさまじいまでの妄想力なのだから。
 呼び出されて田口イエスタディの部屋で強要される、間違った「三丁目の夕日」の世界にインスパイアされた企画は、武蔵小麦と加藤あんなの攻撃に、松隆奈々子と市川菱靖が防御する展開となる。

 他には蒔子・グレゴリーに起きた現象から連想される「美味しんぼ」の世界など、時には常軌を逸したシチュエーションで、またある時は日常の中にひそむ変態性を明らかにしていく。

変ゼミ (5)

蒔子の日常?
評価:☆☆☆☆☆
 蒔子中心の巻と言っていいでしょう。表紙も蒔子だし。蒔子と変ゼミのメンバーの絡みという流れで進行する回が多い。
 そして新キャラとして、飯野教授の姪の芝茉莉埜が登場し、やんちゃぶりを発揮する。

変ゼミ (4)

変態の上を行く変態
評価:☆☆☆☆★
 短い一話の中で一度オチをつける直前まで行って、そこからそれをひっくり返して別のオチをつけるという構成が良かった。
 水越の妄想の一日の最後に登場する小麦を見ると、小麦という存在自体がオチと化している気がしなくもない。

変ゼミ (3)

意外な伏線
評価:☆☆☆☆☆
 失礼かもしれないけれど、意外にも色々と伏線が張られているんだなあ、と感心した。武蔵小麦の処女権の話やら、加藤あんなの解離性障害の話とか。変態度が強すぎて目立たないけれど。
 松隆奈々子が変ゼミ以外の学生に偉そうに話しているところが、なんか小市民ぽくてグッドでした。そして水越美和子のハードルは高すぎる。

変ゼミ (2)

誰かが見ているから意味がある
評価:☆☆☆☆☆
 変態なネタは思いついてもできないものと、思いつけもしないものがあると思うけれど、ここに登場するのはボクにとっては圧倒的に後者!
 ただこれを見ていると、変態行為というのは観察者なくしては存在しえないということが良く分かりますね。

変ゼミ (1)

ちょっと男性よりかも
評価:☆☆☆☆☆
 飯野教授が率いるゼミには変態たちがいっぱい。そんなゼミになぜか入ってしまった平凡で普通な松隆奈々子は、レポートは常にボツ続き。その補習に教授から出される課題は、実践的な変態行為ばかりで、とてもじゃないが実践できない。
 そんな松隆を影ながらサポートしてくれているのは、ゼミではブービーという扱いになっている先輩の武蔵小麦だ。しかし彼は本当は飛び抜けた変態でかつ策謀家。彼の親切に騙され、今日も松隆は変態の色に染まっていく。

 ゼミには他にも様々なタイプの変態がいっぱい。映像マニアの市川菱靖、ドマゾの水越美和子、破滅願望の田口イエスタディ、共依存の蒔子・グレゴリー、ヤンキー処女?の加藤あんなと、様々なメンツが様々なシチュエーションで変態ぶりを披露してくれる。
 でもこれって、かなり男性よりな変態願望じゃないかな?

変態生理ゼミナール

そりゃ大人の事情も発動するわ
評価:☆☆☆☆★
 表題作の変態生理ゼミナールシリーズが5本。他に短編「シ塾教師」「Hooky Pooky」「宇宙のリボンちゃん」「南の島の浮浪人」「HAPPY LIFE」の5本という構成になっている。
 表題作は松隆奈々子の卒論に没が出されるところから始まって、武蔵小麦がどれだけ計画的に松隆たちゼミ生をいじってきたかが分かるように、時系列を遡っていく構成になっている。その内容の特殊な変態度は、抱腹絶倒のようでもあり、たまにはひいちゃうくらいのものでもある。

 その他の短編は、直接的に表題作と関わっているわけではないが、描かれている内容の中枢には、どこか相通ずるものを感じざるを得ない。

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