竹内友作品の書評/レビュー

ボールルームへようこそ (9)

解消寸前
評価:☆☆☆☆★


ボールルームへようこそ (8)

解消寸前
評価:☆☆☆☆★
 軽井沢合宿に参加したものの、多々良と千夏の関係は日に日に悪化していく。その改善をマリサから命じられた兵藤清春の取る行動とは?
 そしてついに、都民大会A級戦の日がやってくる。

ボールルームへようこそ (7)

自立へ
評価:☆☆☆☆★
 仙谷要のプロとしての凄みを思い知った富士田多々良は、緋山千夏と共に、兵藤清春の母親の兵藤マリサに指導を仰ぐことにする。ところが彼女の指導は、これまでの仙谷のやり方とは全く違ったものであり、多々良の中に反発心を生んでしまうのだった。その結果…。

ボールルームへようこそ (6)

いびつなパートナー
評価:☆☆☆☆☆
 大会に向けてパートナー探しをする富士田多々良だったが、クラスメイトで経験者の緋山千夏にはけんもほろろに断られてしまい、万策尽きてしまう。
 しかし、バイト先の店長の娘が緋山千夏のかつてのパートナーだったことがきっかけで、富士田多々良は緋山千夏と共に大会に出場することになった。ところが、二人の呼吸はかみ合わず、練習は捗らない。その原因とは?そして解決策はあるのか。

ボールルームへようこそ (5)

パートナー探し
評価:☆☆☆☆☆
 鼻毛石天平氏主催の非公式大会「天平杯」を終えた富士田多々良は、抑えきれない高揚感に包まれていた。花岡雫からもダンサーとして認められ始め、留学を一年延期しての勝負を申し込まれる。
 そして受験の季節が過ぎ、彼らは高校生となった。新しい学校でもパシリとして使われそうになるタタラだったが、同じ学校に赤城賀寿がいたことで、様子が変わってくる。

 赤城賀寿に誘われて出かけた、仙谷要が参加するダンス大会で、タタラは彼のダンスの実力を初めて知る。また、その会場で、クラスメイトの緋山千夏と出会うのだった。

ボールルームへようこそ (4)

ほとばしる表現
評価:☆☆☆☆☆
 兵藤清春に意識を向けてもらいたい花岡雫と、妹の赤城真子では自分を生かせないと考える赤城賀寿の思惑が一致し、暫定的にパートナーとなった二人だったが、それをよく思わない富士田多々良は、赤城真子と残手パートナーを組み、鼻毛石天平氏主催の非公式大会「天平杯」の勝敗にパートナーの行方を賭けることとなった。
 仙谷要の指導を受けた富士田多々良は、赤城真子の額縁となるべく、自分の存在を前面に出すことなく赤城真子を光り輝かせ、彼女をボールルームの華とする。

 しかし、長年の経験の差はいかんともしがたい。一瞬の魅力で何とか勝ち上がる富士田多々良・赤城真子組に対し、赤城賀寿・花岡雫組は圧倒的な実力差を見せつけ、決勝進出を果たす。その差を見て、元プロの兵藤マリサは仙谷要の指導に疑問を呈するのだが…?

ボールルームへようこそ (3)

ターゲット変更
評価:☆☆☆☆☆
 兵藤清春の態度にプライドを傷つけられ、赤城賀寿の暫定パートナーになることにした花岡雫に対し、富士田多々良は捨てられた赤城真子とペアを組み、鼻毛石天平氏主催の非公式大会で決着をつけることにした。
 しかし未だダンス初心者である多々良は、仙谷要によりいくつか作戦を授けられたものの、基本足型の組み合わせで対抗するしかない。一次予選、二次予選と、必死に勝とうとあがくのだが、賀寿の上手さに圧倒されてしまう。

 そんなとき、天平氏の正体でやって来た元プロの兵藤マリサと、彼女の息子である兵藤清春が会場に出現する。そして再び決定的な言葉を投げつけることで、それぞれにそれぞれの効果を生み出すことになるのだった。
 前半と後半で、リーダーに視点を向けるか、パートナーに視点を向けるかが切り替わり、同じ人物のダンスでも全く別の様相を呈するように描き分けられている。

ボールルームへようこそ (2)

瓢箪から駒
評価:☆☆☆☆★
 花岡雫のパートナーである兵藤清春が、三笠宮杯の途中で行方不明になり、仙谷要の思いつきで、富士田多々良は替え玉出場することになってしまった。
 初めて人前で踊る舞台が、日本一を決める舞台と言うことで、焚きつけた仙谷要は失敗を期待していたのだが、あに図らんや、多々良は自分なりの振り付けで踊りきってしまった。そしてそのことが、兵藤清春にこれまでに無い本気を出させることになる。しかし…。

 同じく社交ダンスを志す赤城賀寿&赤城真子の兄妹ペアも登場し、多々良や花岡雫を巻き込んで、パートナー争奪戦が引き起こされることとなる。

 躍動感、スピード感、切り替わるときの目力など、曽田正人っぽい絵柄のニュアンスがある。スイッチを入れたのが何かと言うところも、本作を読む上でのポイントだろう。

ボールルームへようこそ (1)

衆目の焦点で熱く燃える
評価:☆☆☆☆★
 進路に迷う中学三年生の富士田多々良は、バイクに乗っていた男の勘違いで、小笠原ダンススタジオに体験入学することになる。そこにやって来たのは、同じように職員室で進路指導を受けていた花岡雫だった。
 職員室にいたときは、同じように進路に迷う中学生と言うことで親近感を抱いた多々良だったが、社交ダンスをする彼女を見て、自分とは全く違う、目標を持った中学生に気後れを感じてしまう。

 そのままダンススタジオに行くことはなくなると思われたのだが、綺麗なお姉さんのたまきが鞄にそっと仕込んだ、バイク男、仙谷要のダンスDVDを見て、社交ダンスに魅せられてしまうのだった。

 社交ダンスは以前、バラエティ番組で見た程度の知識しかないが、相当ハードであることは何となく分かっている。そして、種目によって全く違う様相を見せる多様さと、そのエネルギーに圧倒された記憶がある。この作品は、そんな世界を垣間見せてくれる。

 主人公はカツアゲの標的にされる中学生で、誰も自分のことに注目してくれないことを受け入れてしまっている人物だ。ゆえに、舞踏場で激しい自己主張をするダンサーたちに憧れを感じる。
 普通であれば、紆余曲折、過程は様々あれど、結局は憧れは憧れのままで終わってしまうところ、幸か不幸か、この主人公には上手い人の振り付けを盗めてしまえるような目があった。そしてそれは、将来を嘱望される花岡雫のパートナーの兵藤清春に火をつけることになる。

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