菜住小羽作品の書評/レビュー

蜻蛉迷宮 (1)(作:谷川流)

原作の雰囲気は伝わってくるが…
評価:☆☆☆★★
 実家から離れて高校に通っていた櫛木宗次は、跡継ぎたる兄が出奔したため、実家に戻ることになる。実家にいるのは、同腹の妹、妾腹の妹、義理の妹の三人。
 何かいわくのありげな家系。そして、転校先の高校で連続して起きていた殺人事件。宗次は何故か妹たちを疑う。その理由はなぜなのか?兄はどこへ消えたのか?秘密はまだ明らかにされない。

 ストーリーは雰囲気がある。原作者である谷川流が小説として出版したとしたらどんな構成になるのかも何となく想像がつく、という構成になっている。逆に言えば、あえてマンガという媒体にした意味を感じない。原作の一文一文をすべて絵にしようとすると、おそらく過剰演出になってしまう。強調すべき部分を絵にし、弱い部分はコマの間で読者に想像させるようにしないといけない気がする。
 実際これは、何か密度が濃すぎる。特に、背景と人物が同じ強調度になっているのが、決定的に読みづらくさせている。作品自体、人間の内面に注目している様に感じるから、背景はある程度手抜いて、人物の表情などに注力した方が良いのではないかと感じた。人物の描き分けは重要だと思う。

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