中野純子作品の書評/レビュー
ヘタコイ (10)
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互いに好きあいながらも、誤解や擦れ違いが続いた結果、想いを伝えられない関係が続いている駒井静と篠原流香は、倉橋レナ倉橋リナの双子や矢治三朗と一緒に、卒業温泉旅行へと出かけた。
想いを伝える勇気を、我がままさをもてないままで卒業を迎え、別の道に進んでしまうのか。そう思った時、一人で秘湯に出かけた流香が遭難してしまうという事件が起こる。それを察した静は、山に分け入って行くのだが、嵐に見舞われ、逆に自分が遭難しかけてしまうのだった。
ハッピーエンドに向けて進んでいく最終巻。10巻かけたけれど、結構コンパクトにまとまってしまった。あとがきでは作者の規制に対する愚痴が見られる。
ヘタコイ (9)
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次巻の最終巻へ向けて、色々とまとめへと入っている。コマジイが前半部で経験する他の人たちの変化が、彼自身の変化へと影響する構成となっているのだ。
ルカとの関係は、最後の一歩を残した微妙な距離感のまま“友達”ということになっている。行動がその関係すらも壊してしまうことが恐ろしく、そこから動けないようになってしまっているのだ。しかし、二人がそこでとどまっている間も、周囲は変化していく。
シズカの弟のユウに恋する幼なじみ・琴乃は、同級生の五十嵐から告白され、ちっとも振り向いてくれないユウとの間で気持ちの板挟みになってしまう。それを察した五十嵐は、ある賭けを持ちだしてくるのだが…。
そしてその賭けの結果、ユウも、五十嵐も、それぞれ一つの決断をすることになる。その両者の姿を見て、同じ男として感じ入るものがあったのか、シズカもひとつの決心をするのだ。
一方、就職活動に入ったルカはOB訪問中。子どもの頃からの夢を叶えるため、難易度の高い業界に挑むのだが、OBたちから希望職種とは違う職種を薦められて、若干、落ち込み気味。そんな彼女の栄養ドリンクが、ご隠居様と会うわずかな時間なのだ。
もどかしい関係もようやく決着へ向けて進みだした。大体ゴールは見えているのだが、あとはそこにどうやってたどり着くか。マンガ的には劇的にしなければならないのだろうけれど、この作品の性格上、ごくごく普通の方が正しいルートだと思うんだけどなあ。
ヘタコイ (8)
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島津と別れたものの、ルカにアプローチする気にはなれない駒井静に、釈然としない気持ちを抱く人はいっぱい。そんな彼に発破をかけるごとく、島津はカッコイイところを見せて旅に出て行く。
夏のある日、新入生に足代わりに呼び出されて海に行くことになった静が向かった先には、もうひとり、ルカもいた。バリバリ意識しまくりの二人に気づいた森園紫は、気を利かせたつもりでちょっかいを出すのだが、またしても誤解を深める結果に終わってしまう。
一方、静の弟の勇に片思いを続ける琴乃にも、転機がやってくる。勇にきっぱりと見せつけられた後に待っていたのは、同じバレー部の男子からの告白だった。
小学生時代の静がいまと違いすぎていて面白い。
ヘタコイ (7)
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島津との関係が矢治にばれ、鉄拳制裁を受ける駒井。矢治からタビセンを辞めろと言われ、最後の新歓に臨む。しかし、ルカに辞めることを告げることをためらう内に時間が経ち、逆に駒井と島津の関係がおかしくなって来る。
ある意味では予定調和の展開。花とか、音楽とか、何かをキーワードにして浮かび上がって来る記憶って、きっと一生消えないんだろうな。
ヘタコイ (6)
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自分が幸せになる裏では誰かが傷つくことを回避できないのかもしれない。逆に、誰も傷つかないように選択を重ねていたら自分は幸せになれないのかもしれない。
相手から切り出してくれれば楽かもしれないけれど、そんなことはあり得ないので、いずれ駒井は誰かを傷つける決断を下さなければならないのだろうな。これまでの彼では、そんなことは絶対できないだろうけれど。
ヘタコイ (5)
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過去のあこがれをふっきり、静への気持ちを確認した流香だが、彼女の知らないところで事態は進行中。駒井家に居候している、かつてのあこがれの人ツッチーと、静の初恋の相手である島津。
恋人に裏切られ傷心の島津が側にいる状況で、ツッチーと流香が楽しそうにしているのを見てしまえば、頭の中の補間機能が考えたくもない妄想を作り上げてくれてしまいます。ああ、人間の脳って、変なところで高機能だ。
とてつもなくゆっくりと近づいてきた二人だが、離れるのは一瞬なのか?それとも…
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