浜中明作品の書評/レビュー

ハルノクニ (4) (画:中道裕大)

流れを加速する
評価:☆☆☆☆★
 民意、という言葉がある。人々の意向を意味する言葉。良く使われる言葉ではあるが、この「民」というのは誰のことなのだろうか。
 例えば、少年漫画誌の連載方針は、編集部に送られてくるアンケートにかなり左右されると聞く。しかし、アンケートハガキを送る人々の全読者に占める割合は、相当に小さいものだと思う。ごく少数の主張する人々の意見は、編集部という拡声器を通じて大きく反映される。これはある意味当然のことでもある。出されない声はどうやっても拡大することはできないのだから。  政治の世界にこの話を置き換えてみると、読者は国民であり、編集部はマスコミだ。そして、マスメディアに登場する人々が、ごく少数の主張する読者ということになる。この仕組みの中で作り出されたストーリーを読者は既定のものとして受け入れるのだ。
 資本主義においては利益を得ることが重要だ。マスメディアは、公共機関のような顔をしていても、営利企業であるということを忘れない方が良い。それが正しいことだとしても、自らの利益に反する行動を取ることはできないのだから。少なくとも組織としては。

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ハルノクニ (2) (画:中道裕大)

三人寄れば…
評価:☆☆☆☆★
 ハルの遺志を継いだ聖志、志乃、コーさん。それぞれがそれぞれの役割を果たし始め、三人がそろう必然性が生じ始めた。理不尽な目にあえば、それをはねつける為に戦わなければならない。
 誰かが理想を追求することを許されるならば、それを妨げることによって実現する理想も許される。しかし、その犠牲になる人の理想はどこへ行くのだろうか?でもね、この理想が何か一つで成立しうるなんて、信じたくないんですけど。

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ハルノクニ (1) (画:中道裕大)

官房機密費を使えばできるかな?
評価:☆☆☆☆☆
 幼馴染の天才少年春に勉強の楽しさを教えられた聖志。高校生になったある日、突然寄宿制高校からいなくなってしまった春を聖志は街で見つける。何かを悩みながらも迷っていた春は聖志の言葉である決断をし、学校へ戻ろうとした時、交通事故で亡くなってしまう。
 それから一年、春の残したCDを見た聖志は彼の死に隠された秘密を知ってしまい、一つの決断をする。人工島に立つ彼らの学校、紫海館学園高校の日本からの独立…。一笑に付されるような選択だが、彼には勝算があった。それこそが春が殺されなければなかった秘密。
 友人二人とともに敵にするのは日本国政府!果たして次の一手は?
 …しかし、ここに出てくる人間は、良い人が多いなぁ。

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