平野耕太作品の書評/レビュー

ドリフターズ (6)

評価:☆☆☆☆☆


ドリフターズ (5)

評価:☆☆☆☆☆


ドリフターズ (4)

膨張する戦場
評価:☆☆☆☆☆
 オルテ帝国の大治藩公であるサンジェルミ伯から内応を持ちかけられた島津豊久、織田信長、那須与一は、帝国の中心部へと潜入を果たす。そんな彼らの前に立ちはだかるのは、黒王の配下であるラスプーチンと、潜入部隊の指揮を任された土方歳三だった。そしてピンチに陥った時、痴呆老人と化したハンニバルの叡智が光る。
 一方、カルネアデス王国の国境では菅野直とスキピオが犬人、猫人を率いて黒王の軍と戦い、グ=ビンネン通商ギルド連合を率いるバンゼルマシン・シャイロック8世やナイゼル・ブリガンテの食客となった山口多聞は、オルテ帝国から制海権を奪取する。そして黒王のもとに新たに現れたのは明智光秀だった。

 島津と徳川の400年に渡る因縁の果てに訪れるのは…?

ドリフターズ (3)

思想革命
評価:☆☆☆☆☆
 漂流者として謎の世界に降り立った島津豊久、織田信長、那須与一は、エルフたちを掌握し、国盗りを行うことにした。十月機関という魔術師のサポートを受け、ドワーフ解放に向けて動き出そうとした彼らの前に、廃棄物のジャンヌ・ダルクとジルドレが襲いかかってくる。
 その襲撃を辛くも脱した島津豊久、織田信長、那須与一たちは、兵権を確立するため、未来の技術も流用して、この世界にはない概念を持ち込み、変革をもたらし始めるのだった。しかしそれは、漂流者を助ける十月機関のボスに、とある懸念を抱かせる。


z  オルミーヌの能力や魔術、未来の技術など、原理は分からなくとも使い方を工夫することで、自分の役に立つ道具に再構築してしまう漂流者たちの創意工夫が光る巻となっている。発想の転換は発明に等しく、それがつながることでとてつもない効果を生み出す。
 一方で、廃棄物たちをまとめる黒王の能力も明らかになり始める。その根源とは?

ドリフターズ (2)

異世界での国盗り物語
評価:☆☆☆☆☆
 エルフの里に降り立った島津豊久、織田信長、那須与一は、亜人たちを支配する人間の帝国オルテの巡検使を殺し、虐げられたエルフたちを一揆へと駆り立てる。廃棄物に対抗して漂流者を集める十月機関のやり方では失敗すると見た信長が、漂流者たちの国を作り、その兵権を支配するために行動を起こしたのだ。
 一方、女たちを城館に連れ去られ、長く誇りを踏みにじられて来たエルフたちも、信長が脚本を書き、豊久が飛ばす檄に魅せられ、独立へと立ち上がることになる。

 しかし、長く戦うことを知らずに来たエルフたちを兵士として戦うことは容易ではない。しかも、3日後には代官の軍が攻めて来ることは必至!日本における軍事の転換点を指揮した立役者である信長は、当然、あの武器を手に入れるべく、便所の土を集めて硝石を作り出そうとする。

 色々と格好良いポイントはあると思うのだが、虐げられることになれたエルフたちを奮い立たせるために、豊久が檄を飛ばすシーンや、豊久の純粋さを守るために、あえて憎まれ役になろうとする信長の優しさが垣間見れるシーンなどが良い。これでそれぞれのキャラクター性が相当に深掘りされた様に思う。
 それぞれにそれぞれの生き様を知っているという、通常の歴史ではあり得ない状況が、それぞれの人物の持つ魅力や影を浮き彫りにする演出を可能としている気がする。

ドリフターズ (1)

軍事的才能を持った人物たちによる異世界大戦
評価:☆☆☆☆★
 島津豊久は関ヶ原の合戦場で井伊直政と対峙していたはずが、突然、両側にたくさんの扉が並んだ奇妙な廊下に投げ出されたことに気づく。その廊下の真ん中には司書デスクがあり、そこにいたメガネの白人・紫により、異世界へ飛ばされてしまう。
 そこでエルフの手により廃城へ連れて行かれた豊久だが、そこには18年前に死んだはずの織田信長や、源平合戦の頃の那須与一が生きていた。

 彼らをドリフターズと呼び監視する十月機関に属するという魔術師。ドリフターズたちを滅ぼそうと行動する廃棄物と呼ばれる、土方歳三やジャンヌダルクという歴史上の人物たち。スキピオ・アフリカヌスやハンニバルなども登場し、軍事的才能を持った人物たちによる異世界大戦が巻き起こる。
 まだまだ立ち上がったばかりで謎はいっぱい。迫力の戦闘シーンと共に、今後どのようにストーリーが展開していくのか楽しみだ。

   bk1
   
   amazon
   

Hellsing (10)

萌え出ずる新たな芽
評価:☆☆☆☆☆
 最後の戦い決着。この結末は誰が望んだものだったのか。ある者は悔いを残し、ある者は晴れやかな笑顔で世を去っていく。
 そしてエピローグ。事件解決から30年の後、英国で繰り広げられる光景とは…。

   bk1
   
   amazon
   

Hellsing (9)

それぞれが倒すべき敵
評価:☆☆☆☆☆
 ヘルシング家の執事、死神ウォルター・クム・ドルネーズの裏切りという事実を目の前にして、インテグラ・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングは自らの足元が崩れ落ちそうになる感覚を味わう。そんな呆然とする主に対し、アーカードは決然たる命令を求めるのだった。
 ついに始まる最後の決戦。英国女王陛下や円卓会議の生き残りたちも、脱出先で最後の手段の準備を始めながら、ロンドンに残った騎士たちの勝利を信じて待っている。その期待は報われるのか?

 誰が何のためにこの戦争を望んだのか。それぞれの理由はもたらされた犠牲に相応しいものなのか。
 いやもちろん、誰かの理想のために他の誰かが犠牲になる結末を許容する論理は存在しないはず。結局のところ、彼らは自らの欲望の果てに現在を望んだのであろう。ゆえに、そこで得られたものが人生の充足でなくとも、それを拒否する権利もないのである。

   bk1
   
   amazon
   

Hellsing (8)

人間を行き過ぎたもの、人間を踏み外すもの
評価:☆☆☆☆☆
 ベルナドット隊長の遺志をその身に宿し、戦場を疾駆するセラス・ヴィクトリアは、ついにインテグラと合流する。そして洋上の空母で隔離されていたアーカードとも再会を果たす。
 ヴァチカンのイスカリオテとの全面対決、開放されるアーカードの能力、そして最後の大隊の切り札。総力がぶつかり合う戦場で、アーカードの過去が明らかにされ、唯一の勝機が生まれる。

 化け物でありながら人間を高く評価するアーカードと、彼を倒すために人間の枠を踏み越えようとするアンデルセン神父の決戦が始まる。

   bk1
   
   amazon
   

Hellsing (7)

セラス覚醒の時
評価:☆☆☆☆☆
 ゾーリンブリッツ中尉率いる吸血鬼中隊の猛攻撃を受け、陥落寸前に陥ってしまうヘルシング本部。防衛にあたるベルナドット傭兵隊長は、自分たちを囮として、セラスによる挟撃殲滅作戦を実行する。
 しかし、ゾーリンブリッツの固有能力は強力だ。彼女が生み出す幻術に、心を蹂躙されていく戦士たち。そしてその戦いの果てに、セラス覚醒の時を迎える。

 いよいよ全ての役者が舞台に上り、最後の決戦の時が近づいてきた。今巻は格好よいシーンがいっぱいだ。

   bk1
   
   amazon
   

Hellsing (6)

ちっぽけな人間たちの意地
評価:☆☆☆☆☆
 最後の大隊所属の空中巡洋艦によるロンドン空爆が始まる。指揮系統を寸断され、もはや組織的な抵抗手段を失ってしまう、英国の防衛戦力。ヘルシング機関の局長・インテグラも、その凶弾に倒れそうになる。そんな彼女の前に現れる意外な人物は…?
 一方、ヴァチカン・イスカリオテの指揮官、マクスウェルは大司教に昇進し、英国奪還のための十字軍を指揮することになる。

 ヘルシング機関本拠の防衛を任されたセラスと傭兵部隊は、インテグラやアーガードの帰還まで持ちこたえられるか?正念場を迎える。

 吸血鬼と吸血鬼の戦いよりも、人間と吸血鬼の戦いの方がやっぱり燃える!

   bk1
   
   amazon
   

Hellsing (5)

占拠される空母
評価:☆☆☆☆★
 最後の大隊による英国攻撃の幕が開ける。その先触れとなったのは、洋上の空母イーグルの占拠だ。当事者能力を失った英国海軍を振り切り、ヘルシング機関はイーグルへの強襲を試みる。
 艦上に君臨する魔弾の射手・リップヴァーン中尉を妥当すべく繰り広げられるアーガート、そして地上では迎撃を指揮するインテグラ。彼らの奮闘は、ロンドンの街を護り切る事が出来るか?

   bk1
   
   amazon
   

Hellsing (4)

半世紀を越えた負の遺産
評価:☆☆☆☆★
 アーカードの前に姿を現す吸血鬼トバルカイン・アルハンブラ中尉は、謎のトランプを使った攻撃で彼を追い詰める。そしてたどり着いたホテルの屋上で、セラスも含めた戦いが繰り広げられるのだ。
 呉越同舟、秩序の敵を殲滅すべく手を結ぶイスカリオテとヘルシング機関に対し、会談の場に不思議な方法で特使を派遣してくる敵、最後の大隊【Letzt Batalijon】とその指揮官である少佐の目的は何なのか。その恐るべき理由が明らかになる。

   bk1
   
   amazon
   

Hellsing (3)

棺に入って海外旅行
評価:☆☆☆☆★
 ヴァチカンからの情報提供により、吸血鬼事件の裏で糸を引いている組織は南米に本拠を構えているらしいことが分かった。他の手がかりもないヘルシング機関は、アーカードとセラス、それに欠員を補充するために契約した傭兵部隊をサポート要因として、南米に派遣する。

 しかしその動きは、相手方にすでに悟られていた。ホテル占拠のテロリストとして、警察特殊部隊に命を狙われるアーカードとセラス。彼らはそれをどう切り抜けるのか、そして彼らに指令を出すインテグラはどんな命令を出すのか?

 彼らに敵対する組織の正体が明らかになる。それは、アーカードやウォルターには馴染み深い名前だったのだ。半世紀以上前から続く因縁が、現在に戦争を巻き起こす。

   bk1
   
   amazon
   

Hellsing (2)

円卓会議への奇襲攻撃
評価:☆☆☆☆★
 英国の裏面を熟知し、その脅威から英国を守るための有力者たちの会合、円卓会議。伝説のアーサー王の騎士たちの座を現在占めるのは、政財界の大物たちだ。
 今回、連続する吸血鬼事件の報告のため、ヘルシング卿が召集した円卓会議の会場を、武装した食人鬼の集団と、彼らを率いる吸血鬼のルーク・バレンタインとヤン・バランタイン兄弟が奇襲する。突然の襲撃に浮き足立つ円卓会議のメンバーたちを抑え、インテグラはアーカードとセラス、そして執事のウォルター・クム・ドルネーズに迎撃を命じるのだった。

 事態収束後に、アイランズ卿がインテグラに向かって言う、「しかたがなかった は通用しない。何か準備や方法があったハズなのだ」というセリフは、現在の状況で身にしみる方々も多いのではなかろうか。

   bk1
   
   amazon
   

Hellsing (1)

人間に使役される吸血鬼の復活
評価:☆☆☆☆★
 王立国教騎士団・ヘルシング機関は、100年以上に渡り、英国王室とプロテスタントの敵となるアンチ・キリストを掃討してきた特務機関だ。そして彼らは、化け物を倒すために同じ化け物を使役する。その化け物の名は、吸血鬼・アーカード。
 英国国内で増加してきた、意味の無い吸血鬼犯罪の現場に派遣されたアーカードは、負傷した婦警(いまは女性警察官だけど…)セラス・ヴィクトリアを助けるために、眷属としてしまう。おかげで彼女もヘルシング機関の一員となり、無辜の民を傷つける化け物どもと、化け物の力をもって戦うことになる。ただし彼女は、まだどこか化け物になりきれない。

 そんな彼らを指揮する局長は、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲート・ヘルシング卿。亡き父から機関を受け継ぎ、その財産を奪おうとする叔父に命を狙われた彼女は、機関施設の地下牢で封印されていたアーカードに助けられ、その後、10年間、最前線で化け物どもと戦い続けているのだ。
 続発する吸血鬼事件と、その背後にいる何者かが、彼女たちを狙う。

 巻末に、ヘルシング機関と対立するヴァチカンの特務機関イスカリオテの活躍を描くCROSS FIREの第一話が収録されている。

 ちなみに、絵のデフォルメの仕方が初期の岡崎武士や萩原一至、シリアス絵は皆川亮二や藤田和日郎に似ている気がした。

   bk1
   
   amazon
   
ホーム
inserted by FC2 system