森薫作品の書評/レビュー

乙嫁語り (10)

評価:☆☆☆☆☆


乙嫁語り (9)

評価:☆☆☆☆☆


乙嫁語り (8)

鬼のしごき
評価:☆☆☆☆☆
 縁談が決まるかと思われたアミルの友人パリヤだったが、先の紛争で彼女の家は破壊されてしまっていた。復興を優先することになり縁談は後回しにされ、しかもこれまで作ってきた嫁入り道具も台無しにされてしまっており、涙目のパリヤ。そんな彼女の一家はアミルの家に居候することになり…。

乙嫁語り (7)

ほとんどお風呂
評価:☆☆☆☆☆
 アラル海からペルシアへとたどり着いたスミスとアリは、とある富豪の家で暫く世話になることにする。その家の嫁であるアニスは、何不自由ない生活を送りつつも、真の友人を求めていた。
 そんな時、側付きのマーフから風呂に誘われたアニスは、そこで一人の女性に目を奪われる。彼女の名はシーリーンと言った。

 あまり裕福な家ではないシーリーンと友好関係を深めたいアニス。その時知ったのが、姉妹妻という制度だった。

乙嫁語り (6)

略奪は世の習い
評価:☆☆☆☆☆
 カルルクの村を襲って失敗したアミルの兄アゼルは、また新たな間違いが起きる局面に面していた。ヌマジに追い出され、放牧地を失ったハルガルの一族の長ベルクワトは、分家仲間であるバダンの一族の長オル・タムスと結び、カルルクの村を壊滅させてアミルを取り戻そうとする。
 バダンにはロシアと結んで武器の供給を受けているという疑惑がある。今回の同盟はその陰謀の片棒を担ぐことになるのを恐れるアゼルは父に意見するが一喝され、結局、村を襲撃することになるのだった。

 平和な村を襲う騎馬兵の群れに、村人は対抗できるのか?

乙嫁語り (5)

結婚の意味
評価:☆☆☆☆☆
 スミスは、アラル海に暮す双子の少女ライラとレイリと、サームとサーミという双子の少年の結婚式に参列させてもらう。
 この土地の結婚式は大変。両家での結納金の折衝があったり、一週間続く宴に饗する食材を手に入れるための交渉があったり、花嫁衣装を仕立てたり、当日の料理を作ったりと、家族全員の協力があって初めて成立する。

 ところが肝心の花嫁は、みんなが楽しそうにしているのをじっと座ってみているだけ。お転婆なライラとレイリが黙って見ていられるわけもなく…。

 後半はカルルクとアミルの周辺の話なのだが、前半は結婚式で溢れている。これだけ周囲の協力がなければ開けないものであるからこそ、祝福されているという実感があり、それを見ている人たちに憧れを与えるものとなる。正に生活の一部となっている実感を植え付けている訳だ。
 そして、これだけ盛大に祝ってもらったからこそ、簡単にはそれを反故には出来ない。結婚というものが、人生を変える一大転機であることを骨身に染みいらせ、その後の生活を円滑に進めさせる洗脳と見ることも出来るかも知れない。しかし、これだけ多くの人に祝ってもらえれば、本望というものだろう。

乙嫁語り (4)

言いなりになるばかりじゃない!
評価:☆☆☆☆☆
 淡い想いを土地に残して、スミスはアンカラへの旅を続ける。たどり着いたのはアラル海だ。ぼーっとしてラクダから落ち、危うく溺れ死にそうになったスミスを、ライラとレイリという双子の少女が助けてくれた。
 しかしこの双子の少女、とてつもないおてんばだった。スミスが医者だと聞いたライラとレイリは、スミスのラクダを引き、無理矢理に村まで連れて行く。そうして彼女たちの祖父の脱臼を直したことがきっかけで、しばらく村に滞在することになるのだった。

 一方、敗れ去ったアミルの兄たちは、同胞の助けを求めてロシア国境へと向かう。だがそれは、悲惨な戦いの始まりを告げる出来事でしかなかった。
 アミルのお友達の、荒っぽい少女パリヤにもついに縁談が…果たして上手くいくのか?

 今回の乙嫁は、中々に行動的で、前巻が風習に従う女性を描いたならば、今巻はその中でも自力で運命を引き寄せようとする女性のしたたかさを描いていると言えよう。

乙嫁語り (3)

ひとりの女性と出会うスミス
評価:☆☆☆☆☆
 アンカラへ同行する案内人と待ち合わせによった町で、スミスはひとりの女性タラスと出会う。彼女は長男と結婚し、死別して4人の弟と結婚し、いまは寡婦だという。レビラト婚というやつだろう。
 その義母から執拗にタラスを嫁にもらう様に懇願され、スミスは困惑してしまう。そしてスミスを邪魔に思ったタラスの叔父が、スミスをスパイとして当局に告発し、スミスは投獄されてしまう。それを伝え聞いたカルルクとアミル、パリヤは慌てて駆けつけるのだが…。

 美しく長い髪の描写と、後半に出て来る屋台の食べ物の描写がとても印象的。スミスは今回、かなりひどい目にあった気がするが、これも風習の違いということなのだろう。いたしかたなし。  無言のコマが色々と雄弁に語ってくれる。

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