吉本浩二作品の書評/レビュー

ブラック・ジャック創作秘話〜手恷。虫の仕事場から〜(宮崎克)

サラリーマンじゃ生きていけない
評価:☆☆☆☆★
 手塚治虫のマネージャーや担当編集者のインタビューをもとに、不遇の時代から抜け出すきっかけとなった「ブラック・ジャック」の創作にまつわる面白とんでもエピソードを紹介している作品だ。
 そもそも、対象が神様・手塚治虫というだけで読者の興味を引くことは間違いなく、かつ、個人的に漫画家自体に興味を持つことはあまりなかったので、興味深く読むことが出来た。エピソード的にまとめると大きく3つに分けられるだろう。

 一つは全て自分で抱え込むため締切をを守らないことが多く、担当編集者が苦労させられたということ。二つ目はアニメ制作でリテイクを連発し、制作進行がとてつもなく厳しかったということ。三つ目は仕事を仕上げずアメリカに行き、ファックスもない時代に電話で原稿を仕上げようとしたこと。…あ、仕事が間に合わないということではどれも一緒だな。
 それでも手塚治虫が許されて来た理由は、まず何よりも作品が素晴らしいこと。そして、遅れるのが作品のクオリティを上げるためであること。最後に、笑顔に騙されるというところだろう。

 しかし、昭和の人間は破天荒なエピソードが多いよな。現代でもたまにいるけど。

ホーム
inserted by FC2 system