雷句誠作品の書評/レビュー

どうぶつの国 (12)

ギラーの生い立ち
評価:☆☆☆☆★
 タロウザに留めを指すために差し向けられたレベル3のキメラであるクローバーをキリトビが、ベルヘルムをドウゲンが命を賭して防いだものの、さらにはロビンが差し向けられてくる。未だタロウザは目覚めず、リエムの命も風前の灯かと思われた時、助けにやってきたのはハイエナのエナだった。
 そしてエナは、ココノの力を使ってカプリにコンタクトを取り、いまの現実を守るために行動するように告げる。一方、キメラのルークは、タロウザやリエムから学んだことをもとに、独立した命になろうとしていた。

 だが、ギラーの最終兵器が、間もなく稼働の時を迎える。

どうぶつの国 (11)

つなぐための戦い
評価:☆☆☆☆★
 バベルの塔を突き進むタロウザだったが、スカイの一撃を受け、心膜を損傷してしまう。クオウの残したクラゲ少年ココノのおかげで即死は免れるものの、このままでは死んでしまうことは間違いない。医療機器を搬送するよう、リエムやカプリに依頼をするのだが…。
 最強のキメラを起動させることに成功したギラーは、キメラの在庫整理をするように、瀕死のタロウザたちにレベル3のキメラを差し向けるのだった。

 キリトビ流イタチ忍法の真骨頂、ナマケモノの変わり者ザラス、肉を食べるのをやめた虎ドウゲンの、未来へつなぐための戦いが描かれる。

どうぶつの国 (10)

ヒトの残骸
評価:☆☆☆☆★
 カバのキャサリンを犠牲にしながら、タロウザはバベルの塔内部を進む。ギラーに攫われたリエムの救出に仲間を向かわせつつ、タロウザはキャサリンの死に様を笑うキメラたちに怒りを爆発させて戦いに臨む。
 一方、ギラーの命令に半ば逆らい、リエムに興味を覚えたキメラのルークは、目的を果たしたギラーからリエムを譲り受け、彼女に問いを発するのだった。

 キリトビ流イタチ忍法って強すぎないかね?もっと早くから活躍していれば犠牲は減ったのではないかね?そりゃ無茶苦茶だろう。
 そんなわけでタロウザ方面は無茶な展開になっているが、リエム方面もリエム方面で、自由闊達に世を生きるリエムが居るわけで…。バトルしながら悩んでいるねえ。

どうぶつの国 (9)

理想を追う心が生む犠牲
評価:☆☆☆☆★
 旅から戻ったタロウザを迎えたリエムと共に、クオウが残した全ての動物が手を取り合って生きる方法を手に入れるため、バベルの塔へと向かった一行だったが、タロウザはライオンたちを率いるカプリに足止めされ、リエムはキメラを引き連れたギラーに拉致されてしまった。
 決して相手を殺さず、しかし足を止めずに前に進むタロウザたちを目にして、カプリは心を揺さぶられる。そんなカプリが他の場所で戦う仲間を助けるために退却し、タロウザはリエム救出のため、体力を回復してバベルの塔に再度挑戦するのだった。そしてその中で、バベルの塔の正体を知り、凄まじい死闘を繰り広げることになる。

 あからさまなお涙ちょうだい展開になってくると、個人的にはとても萎える。そこがこの物語の本質ならばそれも良いが、必ずしも本質とは言えない部分が突出しがちになっている気もするので、メガヒットをしているマンガを思って羨むのはかまわないが、ほどほどにして置いて欲しい。そうじゃないと、ボクは買うのを止めてしまいそうだ。

どうぶつの国 (8)

成長したタロウザの戦い
評価:☆☆☆☆★
 生物工学を駆使し、肉食獣も食べられる植物である永遠の実という希望と、キメラという絶望を残して亡くなったクオウ。そのクオウの残したキメラ製作ノートはギラーに奪われ、永遠の実はタロウザに渡った。ギラーも去り、タロウザの村には平和な日々が続くはずだったのだが…。
 それから5年、精悍な少年に成長したタロウザは、村を離れ、新たな仲間と共にバベルの塔を目指し、キメラと戦う闘争に身を置いていた。

 その頃、タロウザのいない村を守るリエムの前に、新たな脅威が襲い掛かる。

 弱肉強食という単純なルールに支配されていたどうぶつの国は、永遠の実という希望を得たことによって、そして言葉を統一する可能性があることを知って、本能以外の闘争の理由が生まれてしまった。皮肉なことだ。
 それぞれに立場があり、何をしても守る覚悟がある以上、対立する立場を保持する者たちは、食うためではなく、自らの理想を実現するために戦わなければならない。それを知らなかった方が幸せだったのか、あるいは知ったことで得られる幸せがあるのか、いずれにせよ、知らない前に戻ることは出来ない。

どうぶつの国 (7)

苦渋の決断
評価:☆☆☆☆☆
 ゴリラが守る都市ジーン・グレイルで、タロウザは5人目の人間リエムと出会い、かつて、クオウという人間が残した、肉食動物も食べられる植物、永遠の実が存在していることを知る。しかし、ゴリラたちは、それが争いの種になることを恐れ、その楽園から実を持ち出すことを許さない。
 そんな楽園に、どんな生物よりも強い力を持つキメラを従え、ギラーという人間がクオウの遺産を狙って襲い来る。そのキメラには、ゴリラの集団も全くかなわない。そんな時、タロウザの新しい能力が目を覚ます。

 どうぶつの国になぜ5人しか人間がいないのか。彼らがどこから来たのか。そして人類はどうしていなくなってしまったのか。それらの謎がついに明かされる。
 また、タロウザの描く理想、肉食動物も草食動物も手を取り合ってくさせる世界を実現させる手段も、現実に存在していることが示される。だがそれを実行した場合の、どうぶつの国が抱えるであろう痛みの大きさは計り知れない。

 目の前に理想はある。それに手が届く。しかし、それをすれば犠牲になるものも現れる。身近な調和が失われるかも知れない。そんな相反する思いに引き裂かれそうになりながら、タロウザは苦渋の決断を迫られるのだ。

どうぶつの国 (6)

どうぶつの国に至る歴史
評価:☆☆☆☆☆
 旅の末に海へと到着したタロウザたち。そこに住むクジラのエクトールから、タロウザはヒトの歴史を知らされる。その中には、タロウザが目指す理想を実現するためのヒントと、そしてこれから彼が歩むであろう苦難の道が示されていた。
 そして新たに現れるヒトの少女リエムと、彼女の住む場所を襲うギラー。そしてギラーは、ヒトの残したテクノロジーを利用して、自分の目的を達しようとする。リエムがピンチに陥った時、タロウザは…。

 週マガ掲載の番外編「タロウザのいる世界」と、金色のガッシュの新作外伝、王さまになった後のガッシュと清麿を描いた「友」が収録されている。

どうぶつの国 (5)

蹂躙されるタロウザの理想
評価:☆☆☆☆★
 タロウザの作り上げた農園に火を持って攻め込んできたヒトの子、ジュウ。彼はタロウザの理想を一笑に付し、彼らの努力の結実を灰に帰してしまう。
 しかしそこでタロウザは終わらない。仲間に支えられたタロウザは、キリンの子、ピンタと共に、火を治める手段を求めて海を目指す。

 そこには、タロウザたちヒトと、どうぶつの国の秘密が隠されているようだ。

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どうぶつの国 (4)

一瞬で入れ替わる立場
評価:☆☆☆☆☆
 ライオンの育てた人間の娘カプリと対立してしまったタロウザ。しかし、彼女たちに言葉を届ける努力をあきらめることはなく、子供たちから少しずつ懐柔していく。そんな時にライオンの群れに起きる危機。助けを求められたタロウザは、仲間を連れてカプリたちの所へ向かう。そこで繰り広げられる光景に、タロウザは、そしてカプリは何を思うか?

 一難去ってまた一難。タロウザたちの縄張りに、タロウザの理想とは真っ向から対立する考え方を持った人間の男の子がやって来る。

 弱肉強食の掟は、強者には優しいが弱者には厳しい。だから自分が強者の位置にいるときには、その脅威を理解することはできない。本当に理解できるのは、弱者の立場に落ちたときだ。そしてその位置づけでは、どうぶつの国の頂点に位置するライオンですら安定はしていない。
 タロウザは弱肉強食というシステムのかなりの部分を否定する。それは自分が食べられる立場になったら嫌だという思いからだ。しかし、いつかは食べられるんだからそれまでは快楽を享受してもいいじゃないか、という考え方をする者もいる。それが新しいタロウザの敵となる。

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どうぶつの国 (3)

一定の成果と未だ見出せぬ解決の糸口
評価:☆☆☆☆★
 一気に成長し、自分の足で歩けるようになったタロウザ。草食・肉食の区別なく、四足歩行動物の言葉が分かる彼は、命乞いをする動物をみんな助けようと奮闘する。そして、それをサポートする頼もしき動物の仲間たち。
 そんなタロウザの縄張りにピンチが訪れる。それを運んできたのは、タロウザ以外に始めて登場する人間の子ども、カプリ姫。彼女はライオンの群れを率いていた!

 動物同士で協力させて食物連鎖を歪める代わりに、草食動物たちを自滅させないためにタロウザが編み出した方法には呆然とした。あそこまで行くと、ほとんど文明が出来ているといっても良い気がする。でも、ゾウのブラブラが出した命題には、答えの糸口すらも見つかっていない模様。
 そんな試行錯誤の状態で起きる衝突。必然の状況と偶然の出会いの中、タロウザは何を思うのか。

 タロウザが登場する前のエピソード0も併せて収録。どうしてクロカギがあのような生き方を選んだかが分かる。

 野生動物には詳しくないけれど、純粋に遊びのために狩りをする動物って、どのくらいいるのかな?エネルギーの無駄使いの気がして仕方ないのだけれど。そういう意味で、今回登場する肉食動物たちは、非常に人間らしい。

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どうぶつの国 (2)

弱肉強食の本質と真っ向勝負
評価:☆☆☆☆★
 春までもう少しというところまで来たけれど、今が一番、食べる物がなくなるとき。モノコたちも食べるものがなく、いつもおなかを空かせている。そんな時、同じように空腹を抱えた狼の群れが、タロウザを囮にして、モノコたちを一網打尽にしようとする。自分が食べられる危機を前に、タロウザが狼に提案することとは?
 そして、象のブラブラがタロウザにいう、「生まれてきてはいけなかった子」の理由とは?

 象のブラブラのせりふは、弱肉強食の本質を突いているし、タロウザの論理の矛盾点をえぐる様な一言だ。これに対して、次巻以降で成長したタロウザは、どういう答えを導き出すのだろう。
 第0話は2巻ではなく、3巻以降に収録予定に変更だそうです。

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どうぶつの国 (1)

チカラの使い道
評価:☆☆☆☆☆
 川に捨てられた人間の赤ちゃんが、動物たちが住むどうぶつの国に流れ着く。その赤ちゃんを、両親を山猫に食べられたタヌキのモノコが拾い、母親となって育てることを決意する。しかし、弱いモノコは、一生懸命がんばるのだけれど、自分のエサも、赤ちゃんのエサの確保もままならない。しかも、赤ちゃんは、捨てられたときの母親の言葉により、生きる気力をなくしていた。

 親による育児放棄や、弱肉強食の世界という重いテーマを、作者らしいコミカルなキャラクターで描いている。
 自分のエサも確保できないほど弱いにも拘らず、さらに弱い存在を護るべく奮闘するモノコ。強い牙と爪を持ちながら、弱いものを襲わずに生きている黒山猫のクロカギ。そして、誰よりも弱い体ながら、どんな動物とも言葉を交わせるという能力を持つ赤ちゃん。そんなキャラクターたちが暖かい関係を結んでいきます。
 強者が全てを奪う世界において、言葉が生み出す和がどこまで通用するのか。

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金色のガッシュ!! (27)

ホット&クール
評価:☆☆☆☆☆
 清麿のぶち切れっぷりがかなり面白い。はじめの感動がない人間だった頃から考えれば、エライ変化だ。しかし、ただぶち切れているだけではなく、とてもクール。全てを読みきって、ゼオンまでの障害物を一蹴してしまう。
 ついに、バオウの全貌が明らかに。清麿とガッシュ、そして日本の運命はいかに…というところで次巻に続きます。

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金色のガッシュ!! (26)

希望の光
評価:☆☆☆☆☆
 ついにゼオンとの戦いの場に到着。清麿を欠いたまま、戦力にならないガッシュを抱えたまま、戦いに突入する。ガッシュサイドはコンビプレーで対抗するが、火力が足りないことは否めない。
 物語の中盤、突然モモンが予想もしない活躍を開始。直接攻撃力がないにもかかわらず、機動力と察知力で敵を翻弄する。そして、彼が告げる希望の到来の瞬間が…。
 次巻からの対決が楽しみ。

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金色のガッシュ!! (25)

強く輝く瞳
評価:☆☆☆☆☆
 テッドとチェリッシュ編の終結、そして、バリーの再登場。昔とは全く別人のようになって現れました。もし彼がグスタフと出会っていなかったら、ただ暴れまわるだけの人物になっていたかもしれないでしょう。出会いというのは恐ろしいものかも…
 そんなバリーに見込まれてしまったガッシュ。戦いが進むにつれ、いやおうなく色々なものを背負い始めていますが、果たして彼はその思いに答えられるのか?清麿の復活は?

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