羅川真里茂作品の書評/レビュー

ましろのおと (22)

評価:☆☆☆☆★

ましろのおと (21)

評価:☆☆☆☆★

ましろのおと (20)

評価:☆☆☆☆★

ましろのおと (19)

評価:☆☆☆☆★


ましろのおと (18)

評価:☆☆☆☆★


ましろのおと (17)

評価:☆☆☆☆★


ましろのおと (16)

評価:☆☆☆☆★


ましろのおと (15)

評価:☆☆☆☆★
雪、清流、総一が個人戦で一堂に会する弘前津軽三味線全国大会。総一の完璧な演奏、神木清流(緒方洸輔)の美しき演奏に続いて、雪の演奏がいよいよ始まる。それは、いつもの雪の音を感じさせつつも、どこか違う音で――。

ましろのおと (14)

幼き日
評価:☆☆☆☆★
 青森の軽三味線日本一決定戦に参加する若菜に対し、弘前津軽三味線全国大会に参加する雪、清流、総一。総一の演奏が終わり、清流の出番が迫ってくる。その時彼の脳裏に去来するのは、幼い日の出来事だった。
 この作品にはDV被害にあう女性が多いな。

ましろのおと (13)

懐かしき再会
評価:☆☆☆☆★
 大河が参加する日比谷の三味線全国大会で、田沼総一の演奏が始まる。それを聞き、大河が振り返る過去とは?
 そして、弘前津軽三味線全国大会の幕が切って落とされる。久しぶりに懐かしい面々との再会もある。

ましろのおと (12)

遠くの再会
評価:☆☆☆☆☆
 唄付けをした結果、自分の音を見失ってしまった澤村雪。弘前の津軽三味線全国大会までにそれを取り戻さなければ、勝負にならない。そんな時、沙上麻仁から依頼を受け、福岡の桜まつりで伴奏を務めることになる。
 同行を申し出た梶と共に福岡の会場へとやってきた雪は、そこで荒川と、かつて彼の音を認めた女性、立樹ユナに再会するのだった。

ましろのおと (11)

養分を得て育つ
評価:☆☆☆☆☆
 東ノ宮杯民謡全国大会の前年度優勝者である壬生悠理から、伴奏者をドーピングのように考えている甘さを指摘された沙上麻仁は、またもや自信を無くす。しかし、澤村雪から伴奏者は養分のようなものだと言われ、新たな気持ちで大会へと向かう。
 いよいよ東ノ宮杯民謡全国大会当日がやってきた。神木清流の伴奏で能力以上の謡を見せる参加者をよそに、沙上麻仁は自分の持ち味を目一杯生かす。そして無冠の女帝である成宮あやこの番がやってきた。果たしてマニは今年こそ優勝できるのか。

ましろのおと (10)

迷う音
評価:☆☆☆☆☆
 高校を退学して民謡居酒屋「竹の華」で働き三味線の道に邁進することを決めたものの、母親の梅子にダメ出しをされて三味線が分からなくなった澤村雪だったが、その音を沙上麻仁に見染められ、伴奏者になって欲しいと口説かれる。
 しかし、今の段階で二人が組むことに危惧を感じる先輩の大河鉄雄は、黙って伴奏をした澤村雪に出入り禁止を申し渡すのだった。

ましろのおと (9)

自分の音、他人の音
評価:☆☆☆☆★
 津軽三味線甲子園「松吾郎杯」で田沼総一に敗れた澤村雪は、高校を辞めて民謡居酒屋「竹の華」の門を叩いた。
 先輩の大河鉄雄、追一大、三島撫子&カオル、江戸鮎、沙上麻仁らに交じり、居酒屋店員としての演奏をこなしながら、客が歌うのに伴奏をつけたり、場を盛り上げるために三味線を弾いたりするのだが、どうも上手くいかない。
 先輩たちに疑問を聞くこともできず、ただ悶々と、毎日二曲のノルマを覚えていく雪だったが、永森雷からの招待で刺激を受ける。

ましろのおと (8)

音に生きる
評価:☆☆☆☆☆
 祖父の名を冠した松吾郎杯に出場した澤村雪は、松吾郎の手を模倣した演奏と、自分自身の演奏の二種類を拾うし、審査員たちを困惑させる。そして、その後に登場した田沼総一の演奏と、聴衆の反応をつぶさに見るにつけ、三味線が上手くなりたいという想いが募っていくのだった。
 一方、前田朱利は、大会出場後も三味線同好会の活動を続けていこうとするのだが、矢口海人、山里結、永森雷はぞれぞれ自分の事情で三味線同好会を抜けてしまう。取り残された前田朱利は、澤村雪に最後の望みを託すのだが、三味線に生きることに決めた澤村雪にとって、同好会は何ら足かせになるものではなかったのだ。

ましろのおと (7)

移り変わる会場の空気
評価:☆☆☆☆★
 祖父の名を冠した松吾郎杯団体戦に、梅園高校の前田朱利、矢口海人、山里結、永森雷とチームを組んで参加した澤村雪は、今度は個人戦でその三味線を披露する。神木流絃こと田沼源造や神木清流こと緒方洸輔ら実力者が見守る中、ようやく澤村雪の出番が巡ってくる。
 序盤、松吾郎の音が失われたことを非難する人々のことを思う浮かべた澤村雪は、澤村梅子の期待するとおり、松吾郎の音をなぞる演奏を披露する。その涼やかな演奏に満足する梅子だったが、前田朱利や山野桜が感じる雪の音は、別のものだった。

 そして、その実力があまねく知れ渡る田沼総一が、ついに登場し、会場の空気を掌握する。

ましろのおと (6)

音は血と環境が作るのか?
評価:☆☆☆☆☆
 祖父の名を冠した松吾郎杯に団体・個人で参加することになった澤村雪は、その腕前にも拘らず、三味線の世界ではほとんど無名の存在だ。しかし、青森の三味線人にはその実力を知られており、神木流家元の神木流絃こと田沼源造を師とする田沼舞にはライバル視され、その兄である田沼総一には、友達と懐かれてしまっている。
 梅園高校の前田朱利、矢口海人、山里結、永森雷とチームとなっての演奏は、ほぼ素人の集団に細い軸を張り、それを雪が支える形で組み上げ、最後に自分の実力を初めて人前で示すという経験を以って、彼に新たな感情を抱かせた。

 そしてその行動は、彼の実力を知る大物たちを動かし始める。大家の娘の山野桜も応援に向かった個人戦の会場で明らかになる、彼の出生にまつわる秘密とは…?

 急にワイドショーじみた展開になって来て残念至極。

ましろのおと (5)

滾る思いの向かう先
評価:☆☆☆☆☆
 ついに松吾郎杯の当日となった。他人からは分かりづらくとも澤村雪はふつふつと闘志をたぎらせているのだが、彼を生かすべきチームメイトに不協和音が感じられる。前田朱利はミスをするのではないかとおびえ、矢口海人は雪にやる気がないのではないかと詰め寄る。
 そして、常識人的なポジションを主張してきた山里結も負のスパイラルに陥り、これまでの憤りをはき出すような行動に出てしまう。それがチームにどんな影響をもたらすのか。それを受け取った雪が、永森雷と企むこととは?

 様々な形の三味線パフォーマンスが繰り広げられ、そして後半には、全てを黙らすほどの実力者たちが登場してくる。

ましろのおと (4)

音を継ぐということ
評価:☆☆☆☆☆
 松吾郎杯に真剣に取り組む気持ちになった澤村雪だが、津軽三味線愛好会はまだまだ前途多難な状況だ。和楽器ショップ「鈴音」の大俵ヒロシに師事し、津軽三味線の練習に明け暮れる前田朱利だが、なかなか上手く弾けるようにならず、ひとまず弾けるようになってもタイミングが上手くとれない。
 そんな状況で、津軽三味線愛好会は青森で合宿をすることになった。普段とは違い、一日中、津軽三味線漬けの生活を送るのだが、ずっと顔を突き合わせていれば、普段は見ない様にしている状況に遭遇してしまうこともある。ちょっとだけ暴走する山里結を意識せずなだめ、行き詰る朱利を意図せずブレイクスルーさせ、天然ジゴロの道を雪は歩んでいく。

 合宿も終わり、いよいよ次巻は松五郎杯の開幕だ。

ましろのおと (3)

人前で弾く理由を探して
評価:☆☆☆☆☆
 津軽三味線愛好会に入った澤村雪だが、会員である前田朱利、山里結、矢口海人は完全な素人という、これまで雪が接したことがない人種。ゆえに、雪に津軽三味線を教えるなどという芸当は出来ない。
 そしてもう一つの問題は、雪のモチベーション。そもそも他人に演奏を聞かせるということに価値を見出しておらず、大会に出る気もない。しかし周囲は、名人・澤村松吾郎の影を彼の演奏に見て、彼を表舞台に引きずり出そうとする。

 そんな訳で今回は、雪のモチベーションの無さゆえに発生する、愛好会内の不協和音がテーマ。いまいる人間だけでは問題が解決できなくなった時、朱利の頑張りと、新たな関係者である永森雷の登場で変化が訪れる。
 雪の本気の演奏シーンは、やっぱり感動する。演奏の演出がとても上手いと思う。

ましろのおと (2)

音の記憶
評価:☆☆☆☆☆
 東京の梅園学園に通うことになった澤村雪は、津軽三味線愛好会を作ろうとしている前田朱利と出会う。彼女は、彼女の祖母が幼少の頃に聞いたという旋律の再現を求めていた。そのさわりを聞き、それが雪の祖父・澤村松吾郎の「春暁」であることに雪は気づく。
 彼女が学園で見つけ出して来た三味線の持ち主を辿り、兄・若菜の出場した大会で優勝した神木清流こと緒方洸輔と出会った雪は、彼の音に接したことで、朱利の祖母が求める澤村松吾郎「春暁」を弾くことを決意する。

 音に結びついた過去の記憶と、現在がつながる。雪が知る「春暁」は、祖父が長い歴史を経て完成させた曲だ。その源流を知るチャンスを、雪はもらった。完成された曲から自分が弾ける曲へとアレンジしていく過程で、自分がこれから何をしていけば良いのか、それを雪は悟る。
 音や匂いの記憶は、映像の記憶よりも情報量が少ない代わりに、本能に直結する様な記憶だ。それを手がかりにして、当時の記憶が色鮮やかによみがえる。そして自分の音が何事かを成しえたという経験は、雪に自分の大地を与えるのだ。

ましろのおと (1)

腹に響く音
評価:☆☆☆☆☆
 津軽三味線の師匠である祖父の松吾郎を亡くし、高校を辞めて東京へと逃げ出した澤村雪は、六本木でさまよっていたところをアイドルを目指しキャバクラで働く立樹ユナに拾われる。雪は自分の三味線の音が分からなくなってしまっていた。
 ユナのひもの様な彼氏であるバンドボーカルのタケトと出会い、その無様さに憤った雪は、自分も祖父に対して似たようなことをしていたことに気づき、そして改めて、自分の三味線を弾きたいという思いに駆られる。ここから雪の、新しい津軽三味線の道が始まる。

 津軽三味線の音を聞くユナの反応で、雪の弾く音の強さが表現される。子宮に響く感じの描写が女性的かもしれない。
 そして、雪の兄である若菜を、同じ津軽三味線を弾く奏者の対比として出演させている。しかし、一緒に学び、差を思い知らされるのは辛かろう。

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