若木民喜作品の書評/レビュー

神のみぞ知るセカイ on the train+パイロットフィルムズ

短編集
評価:☆☆☆☆★
 近鉄とコラボして行われた企画の紹介マンガ。ヒロインたちは近鉄駅名にちなんでいた。そして以下の読み切りを収録。

「緋石のアルバトロス」

「恋して!?神様!!」

「洋菓子店ギャラクシー」

神のみぞ知るセカイ (26)

拒否の理由
評価:☆☆☆★★
 過去から未来へ戻ろうとした桂木桂馬だったが、未来の渡航機がドクロウ・スカールの防衛むなしくヴィンテージによって破壊されてしまい、世界は真っ白になる。
 すべてが消えた真っ白な世界に残された女神をその身に宿す少女たちは、桂馬を現代に戻さなければならない。しかし高原歩がそれを拒否し…。

 シリーズ最終巻。

神のみぞ知るセカイ (25)

つながるセカイ
評価:☆☆☆☆★
 結崎香織の仕掛けた罠をかいくぐり、鮎川天理を味方につけることに成功した桂木桂馬は、人質にされている少女たちを助け、ヴィンテージを欺く作戦をドクロウ・スカールやエルシィ/エリュシア・デ・ルート・イーマに命じて実行させる。
 一方、現代では、ユピテル姉妹を狙ってヴィンテージが大規模な捜索を開始していた。あわや拘束されるという瀬戸際でその場に現れたのは、十年前の約束を守ってきた人物だった。

 時代がつながり構図が明らかになる。

神のみぞ知るセカイ (24)

差し出された救いの手
評価:☆☆☆☆☆
 駆け魂隊元室長のドクロウ・スカールとユピテル姉妹の力で十年前の世界にタイムリープした桂木桂馬は、彼が知る過去と目の前の過去との違いを解消するため、彼が知る過去になるための鍵として、鮎川天理と接触する。
 ところが、学園はヴィンテージにそそのかされた結崎香織の手により、駆け魂の種付けを行う胎となる少女を量産する場所へと変えられていた。

 その目論見を崩すため、身体は子供、心は大人の桂木桂馬は結崎香織攻略に挑む。しかし結崎香織は、心も体も子どもな鮎川天理に接触し、桂木桂馬との関係を破壊しようとするのだった。

神のみぞ知るセカイ (23)

お姉さま攻略
評価:☆☆☆☆☆
 駆け魂隊元室長のドクロウ・スカールとユピテル姉妹の力で十年前の世界にタイムリープした桂木桂馬は、白鳥うららの駆け魂を落とし、彼が知っている歴史の流れを取り戻すことに成功した。
 その結果、目の前のドクロウと新地獄のドクロウとの間につながりが生じ、徐々に事情が明らかになってくる。ところがそんなとき、学校に異変が生じ始めるのだった。

 またまた新展開。今度はお姉さまを攻略しちゃうぞ。

神のみぞ知るセカイ (22)

ありえぬ過去
評価:☆☆☆☆★
 ユピテル姉妹の力で十年前の世界にタイムリープした桂木桂馬は、駆け魂隊元室長のドクロウ・スカールと思われる少女と出会った。記憶のない彼女の幼児化を食い止めることが脱出の鍵と見た桂馬は、その過程で、駆け魂の大脱走事件が発生した場所に、記憶にはない工事現場があることに気づく。
 その工事を進める人物の孫娘である白鳥うららに接近し、その工事が悪魔と戦うための砦を建築する工事であることを見抜いた桂馬は、工事を行う人物にコンタクトを取ろうとするのだが、それはさらに記憶にはない凄惨な事件へとつながる一歩となるのだった。

 未来から来た桂馬の記憶にはない過去は何を意味するのか?記憶をつなぎ始めたドクロウにより、脱出のための唯一の道筋が示される。なお、意外な人物の十年前の姿も登場したりします。

神のみぞ知るセカイ (21)

見えない目的
評価:☆☆☆☆★
 ユピテル姉妹を救い、ヴィンテージの野望を潰したかに見えた桂木桂馬だったが、新地獄では政変が進行し、駆け魂隊室長のドクロウ・スカールが排除されてしまう。そしてそれと時を同じくして、桂木桂馬はユピテル姉妹によって過去に飛ばされるのだった。
 十年前、駆け魂の大脱走事件が起きる直前に、小学一年生の身体として気づいた桂木桂馬の前に、ドクロウを名乗る自殺志願の少女が現れる。一方、現代では、ノーラがハクア・ド・ロット・ヘルミニウムに室長からの伝言を伝えていた。

 体は子供、頭脳は大人?な桂木桂馬が、死にたがり少女や、大人なりたがり少女の白鳥うららの相手をします。子供なので、行きすぎたことをしても怒られるだけですむよね?

神のみぞ知るセカイ (20)

新たな闇
評価:☆☆☆☆☆
 女神最後の一柱であるメルクリウスを復活させ、ヴィンテージの野望を打ち砕くためのヒロイン攻略に尽力した桂木桂馬だったが、謎の現象に見舞われていた。学校に入ろうとすると、現実からずれた世界に入り込んでしまうのだ。
 一方、ハクア・ド・ロット・ヘルミニウムは、筆頭地区長に出世したノーラから、一つの凶報を受ける。それは、ドクロウ・スカールに関するものだった。

 全てが解決し、もう新地獄に関わることもないと思われた桂馬だったが、まだ何も解決していないことが無慈悲にも明らかになる展開となっている。そしてその展開をもたらすのは、意外にも鮎川天理だ。
 彼女のもたらした情報を信じ、女神たちも協力して桂木桂馬が送り出される先とは?そして、新地獄と旧悪魔に関する陰謀の全貌はいかに?

神のみぞ知るセカイ (19)

迫る危機、迫られる桂馬
評価:☆☆☆☆☆
 ヴィンテージによる包囲網が狭まりつつある中、女神最後の一柱であるメルクリウスの宿っている高原歩美の攻略に全力を注ぎたい桂木桂馬だったが、桂馬に恋心を抱く小阪ちひろもそれに同道することになってしまい、いつもの調子で攻略が進まない。
 ノーラの助けを得つつ、ハクア・ド・ロット・ヘルミニウムはヴィンテージの攻撃から桂馬たちを守ろうとするが、敵の数が多すぎて、桂馬の告白イベントをことごとく邪魔されてしまう。あげく、小阪ちひろは桂馬がゲームの攻略のごとく歩美を落とそうとしていることをばらしてしまい…。

 表紙通り、今回の主役はやっぱりちひろだったのかな。舞校祭のステージで歌うちひろは、女神たちの輝きに負けないくらい輝いていた。悲しみも光なんだね。
 しかしやっぱり今回もファンタジー部分はなおざりになっているが、それもまたこの作品の仕様だろう。でもおかげで、旧悪魔の封印後も女神たちが残っている理由がよく分からなかったな。

 歩美は桂馬すら翻弄する強力なキャラクターです。

神のみぞ知るセカイ (18)

錯綜する思惑
評価:☆☆☆☆☆
 メルクリウスの宿っている再攻略対象者は、高原歩美だった。だがそれが判明したのは、誰もいないはずの前夜祭の校舎の屋上で、小阪ちひろをベンチに押し倒し、キス寸前まで迫った瞬間だった。
 そこから華麗に相手を切り替えるはずの桂木桂馬だったが、ちひろには押し切られ、結果、これ以上無いほど傷つけ、そしてその現場を、歩美に目撃されてしまう。

 しかし、ヴィンテージによる危機は直ぐ間近まで迫っている。躊躇している暇は無い。桂木桂馬はまるで前夜に何事も無かったかのごとく歩美に迫り、女神を復活させようとする。だが当然なことではあるが、歩美からは嫌悪を以て遇されることとなる。
 そしてそんな桂馬の都合を知ることも無く、ヴィンテージの魔の手は、女神が宿る少女たちの直ぐそばまで迫っていくのだった。

 桂馬の苦手なアクションモードに状況は移行中。苦手なことは別人に任せ、桂馬は桂馬のなすべきことをなしきることが出来るのか?今回は思惑が錯綜する状況なので、相手が桂馬の理解できない女子心理ということもあり、中々読み切って行動するのは難しそうだ。

神のみぞ知るセカイ (17)

相手の傷心も受け止める
評価:☆☆☆☆☆
 中川かのんとアポロを助けるため、ユピテルの姉妹最後の一柱であるメルクリウスの復活を目指す桂木桂馬は、女神が宿っている可能性のある残る二人、高原歩美と小阪ちひろの攻略に挑もうとしていた。
 風邪を引いたことを好機として歩美を見舞いに呼び、好感度を高めることに成功したと思ったのも束の間、後からやってきたちひろの扉越しの告白を聞かれてしまい、歩美は一歩引く展開となってしまう。

 しかたなく、ちひろを先に攻略すると決めた桂馬。時は正に舞島学園芸術文化祭。恋愛進行にはうってつけの舞台が作られている。だが、歩美とちひろの仲の良さが恋愛フラグの進行を阻害し…。

 一方、新地獄では、冥界法治省極東支局亡霊対策室長ドクロウ・スカールにヴィンテージのことを報告したハクア・ド・ロット・ヘルミニウムがヴィンテージによって捕らえられ、下着姿で拷問を受けることになってしまう。

 女の子が傷つく表情を見て自分も傷ついてしまう桂馬。彼も相手の心を慮るという、これまで三次元では発揮することの無かった高等スキルを身につけてきたように思える。それもこれも、攻略が完了すれば記憶がなくなるという安全装置が無くなったせいでもあろう。
 そして、新たな思いを胸に新地獄を脱出するハクアのエピソードも良い。証の鎌に託された思いを抱え、その力を遺憾なく発揮することが出来るのか?

神のみぞ知るセカイ (16)

道徳倫理よりも重要なこと
評価:☆☆☆☆☆
 中川かのんに宿ったアポロを狙ったヴィンテージにかけられた呪いを解くため、残るユピテルの姉妹復活を目指す桂木桂馬は、かつての攻略対象者の再攻略に挑む。九条月夜からはウルカヌスを、五位堂結からマルスを復活させ、鮎川天理に宿るディアナと共にかのん救出のための儀式を行うのだが、呪いは解除してもアポロの防衛機構を解除することが出来ない。それが出来るのは、未だ復活していないメルクリウスのみだ。
 女神が宿っている可能性があるのは、汐宮栞、高原歩美、小阪ちひろの3人だ。そして未だ復活していない女神はミネルヴァとメルクリウスの2柱。手始めに、桂馬は栞の再攻略に挑む。

 一方、新地獄では、ハクア・ド・ロット・ヘルミニウムがヴィンテージを追及するため、冥界法治省極東支局亡霊対策室長ドクロウ・スカールに直訴するのだが…。

 桂馬にベッドに連れ込まれる歩美の見た目がエロ過ぎるよ。汗でぐっしょりのびしょびしょだし。そこで繰り広げられるのは、禁忌の攻略同時進行という無茶!やれるのか?落とし神よ。

神のみぞ知るセカイ (15)

落され神に僕はなる!
評価:☆☆☆☆☆
 ヴィンテージの呪いをかけられたかのんを助けるために、残る女神が入っていると思われる女子生徒の同時攻略に挑む桂木桂馬だったが、ハクアが逃がしたフィオーレに拘束されてしまった。このまま終わりか、と思いきや、それは全て桂馬の作戦。ウルカヌスとディアナが再開し、ピンチを切り抜けることが出来た。
 だがまだ問題は解決していない。ヴィンテージが女神を見つける前に、残る女神たちを復活させなければ、かのんは助からない。しかし、まず攻略すべきは、桂馬の天敵ともいうべき、五位堂結だ。彼女に対すると、桂馬は落とし神から被攻略対象へ早変わり。こうなった桂馬が目指すのは…落され神!格好良いのかどうか分からない。

 同時攻略の特徴として、誰かの好感度を上げる行為が他の誰かの好感度を下げる結果になってしまうこともある。そのマイナスを逆にプラスに変えるため、桂馬は意外な一手を繰り出していく。…いやいや、普通のヤツは女装したら見れたもんじゃないよ?

神のみぞ知るセカイ (14)

落し神の腕の冴え
評価:☆☆☆☆☆
 ヴィンテージにより刺された中川かのんを救うため、既攻略者の中に潜むはずの女神を一気に復活させられるよう、歩美、ちひろ、月夜、栞、結の同時攻略に挑むことになった桂木桂馬の最初のイベントは、5人同時一斉下校だ。
 月夜を送り、ハクアの協力を得て歩美とちひろの並行下校に挑む桂馬だが、京の存在が邪魔で、上手く予定通りの展開に持ち込めない。そのうち、歩美とちひろが鉢合わせしそうになってしまい…。

 桂馬が駆け魂隊のバディとなったのは誰かの意図があってのものだという前提に立ち、女神は桂馬の側にいるという仮定をして始めたハーレム展開だが、かのんとのスキャンダルが発覚した後だけに、女の子たちはみんな怒り気味。そこを上手く切り抜けられるかが、落し神の腕の見せどころではあるのだが…みんな同じ校内にいるからねえ。
 そして新たな悪魔、フィオーレ・ローデリア・ラビニエリの登場。かくして新地獄の秘密が徐々に明らかになっていく。

 今回は色んな女の子が出てくるけれど、やっぱり歩美の嫉妬がいちばん苛烈な気がするな。

神のみぞ知るセカイ (13)

ハーレム・ルートに入ります!
評価:☆☆☆☆☆
 中川かのんには桂木桂馬との思い出が残っていた!つまりそれは、かのんの中に女神がいるということ。しかしその事実を桂馬が悟った時、もはや彼の策は後手に回っていた。正統悪魔社(ヴィンテージ)の手先の手にかかり、かのんは死んだように眠ってしまったのだ。
 しかも、かのんの中にいた女神アポロが他の女神たちに警告を発したため、女神は外部からの接触に用心するようになるはず。それでは桂馬たちも、他の女神を見つけられない。

 ゲーム感覚で駆け魂を捕まえてきた結果、本当に人間が傷つく事態を発生させてしまった。その自責の念が、桂木桂馬を本気にさせる。そして落とし神の本気として目指すのは、ハーレム・ルート!
 いちおう理屈をつけると、女神の力の源は愛。ゆえに、攻略経験者を再び恋に落とし、その結果満ちる愛で女神を復活させようというのだ。
 しかし困難はいくつもある。まずは攻略対象者には学園の関係者が多く、他のヒロインを攻略しているときに別のヒロインに目撃されてしまう恐れがある。そして何より、桂馬の味方であるはずの女性陣が、桂馬の本気を妨害しかねない。

 様々な困難を乗り越えて、桂馬はかのんを助けることができるのか?

神のみぞ知るセカイ (12)

理想のセカイ、完全なセカイ
評価:☆☆☆☆☆
 体育祭、舞校祭と大きなイベントを控え、桂木桂馬はディアナ以外の女神を探すことに取り組み始める。しかし、女神が入っている可能性が高い攻略女子たちに正面から聞いてみたところで、素直には応えてくれない。これがリアルの厳しいところ。
 そんなこんなで一歩も前に進んだ気がしない現状の中、新たな駆け魂の気配が検知される。その少女は、完全な人間を作り出そうとするマッドなロマンティストだった。

 いきなり最終奥義キスを繰り出してしまったものの、全く攻略の糸口がつかめないどころか、その少女、倉川灯の言動に振り回されてしまう桂馬。いつもは彼がリアルの人間をこき下ろすのに、むしろ彼自身がその代表として断じられてしまう。
 桂馬と同じ様な理想を胸に抱きながら、現実に対するアプローチが全く違う灯を、彼は説得することができるのか?

 そしてついに、ディアナ以外の女神が登場する。

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神のみぞ知るセカイ (11)

理想に押しつぶされた心
評価:☆☆☆☆☆
 春日檜の心のスキマに巣くった駆け魂がレベル4となり、檜自身も巨大化してしまう。桂木桂馬は、春日楠を連れて、彼女を元に戻すために檜の中に突っ込む。そこで出会った檜は自分の押し込めていた思いを楠にぶつける。
 古悪魔と女神に関する秘密にも新たな展開が見え、エルシーと桂馬の関係にも変化が見えて来た…のかも。攻略中心のストーリーから、ちょっと違った方向に物語は進むみたいです。

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神のみぞ知るセカイ (10)

地獄にまつわるエピソードは新たな展開へ
評価:☆☆☆☆☆
 桂馬が女の子になってしまった五位堂結が完結する。これまでと立場が逆転して、相手に動くように仕向けるところが特徴的。逆の立場から駆け魂狩りを見たことで、それに囚われた女の子たちに対する桂馬の見方も変わっていくかも知れない。
 そして、地獄にまつわるエピソードは新たな展開へと進む。

 今度のヒロインは、春日楠の姉、檜。楠にとって仰ぎ見る存在であり、そしていまなお輝き続けているはずの檜が、なぜ駆け魂の棲むスキマを持っているのか?結編とは違う意味で受身の姿勢から入る桂馬の攻略が始まる。

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神のみぞ知るセカイ (9)

支えてくれるもの
評価:☆☆☆☆☆
 今回の攻略対象は将棋少女榛原七香とパーカッションお嬢様五位堂結の二人です。
 七香は自分に土をつけたディアナに勝つため、桂馬を相手に特訓を重ねる。やたらと強気なんだけれど負けそうになると途端に弱気になってしまう心の脆さが七香にはあるけれど、特訓を経て得られたものが終盤で七香を支えてくれる。
 後半戦は桂馬も駆け魂の影響に巻き込まれて、ちょっと違う視点から攻略戦が見られる。

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神のみぞ知るセカイ (8)

周辺から描く攻略対象
評価:☆☆☆☆☆
 夏休みも後半に入り、田舎を訪れた桂馬。そこでエルシーが遭遇する、お化けの駆け魂が潜む心のスキマ。そして、ラーメン屋の上村スミレのストーリー。これまでに多かった1対1の攻略というよりは、攻略対象の周辺を描き込んで本人を語るという感じの、少し違ったパターンでのアプローチになっている気がする。
 そして、物語の核心に近づく、天使というパラメーターが、ストーリー上で段々と重要な要素になってきている。アニメ化も決まり、上昇軌道に乗りつつある作者が繰り出す次の一手は?

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神のみぞ知るセカイ (7)

夏休みに始まる非日常体験
評価:☆☆☆☆★
 夏休みで浮かれる桂馬の前に、幼いころに近所に住んでいた少女天理が訪れる。彼女に取り付いている駆け魂は、これまでと違いはっきりとした自我があり、自らの名をディアナと名乗る。彼女が語る話は、これまで桂馬が把握していた"設定"とは少し違うもので…。

 落とし神と呼ばれる桂木桂馬だが、この巻では誰も落ちない。今回はそういうある意味パターン化されつつある展開の話ではなく、今後どういう方向に向かうかを決定付ける話になっている。
 これまでのストーリー展開のパターン上、レギュラー化できるのは駆け魂隊のメンバーくらいのものだったが、そのリストに新たなパーソナリティが加わることになる。

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神のみぞ知るセカイ (6)

終わっても消えてなくならない
評価:☆☆☆☆☆
 今回は新たな攻略対象は年下の生駒みなみ一人だけ。描き方も攻略対象視点といつもと違うけれど、年下に対する桂馬の攻略後の感慨もいつもと少し違う感じがする。他には桂馬以外の協力者として、乳性飲料配りのおばちゃんが登場。ハクアのドタバタもあり。
 番外編的な回としては、過去に攻略した中川かのん、高原歩美、小阪ちひろが再登場し、桂馬が家庭教師を引き受ける展開に。桂馬との記憶はないはずの三人だが、何もなくなったわけではない三人との関係にうろたえる桂馬。新地獄の様子も加えて、次の天理編につないでいる。

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神のみぞ知るセカイ (5)

自分の理想の世界は自分で作る。でもそれは孤立とは違うの?
評価:☆☆☆☆☆
 今回のヒロイン二人は、ある意味、桂馬以上に理想の世界を追い求めている人たち。これまでのヒロイン達は自分の弱い部分に引け目を持っていたので、そこを突っついてやれば良かったのだけれど、今回はさすがの神様も糸口をつかむのに苦労します。
 この作品はあとがきを読むと作者の意図が丸分かりになってしまうので、コメントの切り口に悩みます。そして、長瀬純編で全てを見ていた二階堂先生が今後絡んでくるのか来ないのかも気になる。

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神のみぞ知るセカイ (4)

願望を映した世界から見る現実
評価:☆☆☆☆☆
 ボクが高校を卒業して何年も経つが、学校という同じ年代の人間ばかりを集める場所は、ある意味では救いであり、ある意味ではひどく残酷な場所でもある。自分と同じようにドラマの主人公にはなれないような普通の人でも楽しく生きられるのだ、と安心できる場所でもあるし、否応なく比較され序列をつけられて、どうせ自分なんて、と卑下してしまう場所でもある。いずれ社会では、将来は給料とか地位とか色々なものでランク付けされる以上、学校で順位づけをおこなう事が不要だとは全く思わないが、それまでは家庭で唯一の存在みたいに扱われてきた子にとっては、衝撃的な場所かもしれない。そしてそれほどの衝撃もいずれ薄れ、分相応という呪いを刻みつけられていく。
 でも、よくよく考えてみると、自分が幸せかどうかは自分で評価すべきことであって、誰かが決めた幸せの定規で測られるようなものでもない。桂木桂馬という、ぶっ飛んだ尺度を持つ個性に当てられて、普通の小阪ちひろがどう変わったかは読んで見て欲しい。
 リアルを徹底的に否定し、ゲームの世界に生きるといいながら、最も理想的なリアルを示し続ける桂馬の存在の不思議。

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神のみぞ知るセカイ (3)

生き方の沸点を合わせるというのは良い言葉だ
評価:☆☆☆☆☆
 今回の駆け魂の持主は、武道家の春日楠。生き方の方向性が真逆の彼女に対して、桂馬はどう攻略するのか。そして、エルシィの友達ハクアの登場により、駆け魂の正体も明らかになります。巻末には楠のその後を、本体表紙にはPFPの説明を収録。
 極端なまでの指向性を持った桂馬の存在に敬意まで感じられる理由の一端は、巻頭に収録されているストーリーで現わされている。とにかく中途半端ではなく、突き抜けているのだ。ゲームの世界に対する凄まじいまでの愛は、分野が違う人から見ても、超一流と呼べるものだろう。
 エルシィの登場による強制イベントは、リアルとの接触を頑ななまでに拒否している桂馬を、否応なくリアルに向き合わせる。リアルイベントを攻略するため、桂馬がヒロイン達に向かって叫ぶ一言ひとことが、いずれボディブローのように桂馬に効いてくる時が来る気がする。

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