はやみねかおる作品の書評/レビュー

ディリュージョン社の提供でお送りします

評価:☆☆☆☆★


少年名探偵虹北恭助の冒険 フランス陽炎村事件

一番すごいのは恭じいちゃん
評価:☆☆☆☆★
 時系列的には既刊の「ハイスクール☆アドベンチャー」より少し前、響子ちゃんがフランス滞在中の恭助に会いに行くお話です。真衛門の城がある陽炎村で起こる、かつての領主の亡霊が村人に恐怖を巻き起こし、紆余曲折の末に恭助が解決します。ミステリーなので事件の詳細には触れませんけれどね。
 ただ今回は、恭助の魔術師としての能力よりも際立つキャラクターが多くいて、若干主役を食われてしまっている印象がしなくもない。だから解決も、恭助すご〜いというよりも、え〜そういうことなの〜と思う気がしなくもない。
 とにかくこれでシリーズは完結しているらしいですが、この本に出てくる登場人物の関係者を主役として物語を書く予定はあるそうです。

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復活!!虹北学園文芸部

元気な女子中学生がひと暴れ
評価:☆☆☆☆☆
 虹北学園に入学した中学一年生岩崎マインが、文芸部を復興させるために1ヶ月間で仲間4人を集めるために奮闘する、というお話。
 やる気と本気だけは人一倍、という感じのマインが、小説を書きたい、と思っている一年生を探し出して勧誘していくのだけれど、そんな思いは表面上には出ないものなので、見つけるのが難しい。とにかく思いついたら即実行というスタンスでやっていくのだけれど…当然色々問題が起こるわな、そりゃ。

 叔父さんコンプレックスの野々村紗弥加、普通コンプレックスの極楽鳥宴寿こと田中花子など、独特だけれどまさに女子中学生といった感じの、生き生きとした姿がここにはある。(ボクが教育実習に行ったころの姿が今もあるならば、だが。)
 一つ残念なのは、定価が高いこと。登場人物と同じ世代の人たちが読むには、文庫落ちを待つか、図書館で借りるくらいしか手はないよね。

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亡霊は夜歩く〈名探偵夢水清志郎事件ノート〉

食料戦争
評価:☆☆☆☆☆
 この作品を読んで、改めてこの人は教師なんだなぁ、ということを実感した。教師は生徒の一生を左右する存在。全くその通りだと思います。
 作中にも出てきますが、生徒総会ではちょっとした思い出があります。ある年の総会で、生徒会に対する反対意見がたくさん出たことがありました。ボクも、壇上で生徒会役員に質問をしました。このときの、生徒会顧問の総評。「こんな最悪の生徒総会は初めてだ。役員もがんばっているんだから遠慮しなさい。」
 いつもは自主性を持てとか、もっと発言しろとか言うくせに、本当にそうなって自分の思い通りにならないと怒る。こんな教師もいます。この話の救いは、帰りの会で副担任が、自分が出席した中で最も良い生徒総会だった、といってくれたことですね。
 自分が死んだら、たとえ相手が間違っていたとしても、やはり自分の負け。とりあえず、自殺するのはもう少し待って見ても良いのでは?

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そして五人がいなくなる〈名探偵夢水清志郎事件ノート〉

楽しい日常
評価:☆☆☆☆☆
 もともと青い鳥文庫で出版されていた作品の文庫化。講談社文庫になってもらったのは本当にありがたいです。だって、青い鳥文庫はさすがに買いづらいですもの。
 岩崎家のお隣に引っ越してきた、黒づくめサングラスの男。自称名探偵、夢水清志郎。一日中家にいては、本を読んでゴロゴロ。ご飯は岩崎家の羽衣母さんにたかる。自分の生年月日も覚えていない。意見すると単なるだめなおじさんなんだけれど、事件が起こればたちどころに解決してしまう。
 今回の事件は、遊園地を舞台に起こった天才少年少女消失事件。大勢の人の前で、一人、また一人と消えてしまう子供たち。犯人の伯爵の行方はまったくつかめない。果たして彼の目的は…。
 ボーっとしているようで、やっぱりボーっとしているのだけれど、すべてを見通したような優しい目で事件の優しい解決を図る。最後に警部の言う、犯人を逮捕するだけが事件を解決することではない、という言葉がすべてを現している気がする。

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