愛知鳴海作品の書評/レビュー

コンタクトレンズ

コンタクトレンズの勉強ノート
評価:☆☆☆★★
 一言でいえば、コンタクトレンズに携わってきた看護師の方の勉強ノートという印象だ。実務で感じた疑問について自分で勉強し、それを取りまとめてQ&A形式にしてある。
 視力に関する一般論の第一章、コンタクトレンズ購入の際に気になる常識・非常識に関する第二章・第三章、コンタクトレンズの手入れに関する常識・非常識の第四章という構成だ。

 ボクはコンタクトレンズをしている訳ではないので、どの程度がユーザーの常識で、どこからが非常識なのかは感覚的には分からない。だが、ある程度、科学知識に対する素養があれば常識的に判断できる内容が多い印象ではある。コンタクトレンズという目に異物を入れる器具を利用している人々に、何だか分からないけれど当たり前に利用させるほど浸透している事実は、考えてみると結構恐ろしい。
 これだけ当たり前に使われていると、正しい実験的事実ではなく、慣習による迷信が幅を利かせていることもあるらしい。そのあたりは、実務に当たっていれば疑問に感じるところらしく、本当はどうなのかを著者は勉強したということだろう。

 なぜ本書を勉強ノートと呼称するのか。それは、本書が様々な書籍・情報のまとめであるからだ。自ら研究して調査したわけでもなく、自ら専門家に取材して取りまとめたわけでもなく、既にまとめられた情報をさらにまとめたという印象を受けるからだ。そのデータソースには、医学書だけではなく、ウィキペディアまでも含まれている。
 別にネット上に転がっている情報だから信頼度が低いなどとは考えないが、それでも自分の名前で本とする時に、出典の正しさを遡って検証することが難しい情報をベースに議論することは、あまり望ましい手法ではない気がする。

 様々な情報にあたり、自分が疑問に思うことを知ることは、結構手間がかかる。それを省略するという意味で、まとめられた情報には一定の価値があるとは思う。

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