『このライトノベルがすごい!』編集部編作品の書評/レビュー

このライトノベルがすごい! 2013

幅広くピックアップ
評価:☆☆☆☆★
 年一回、今年の出版状況を確認する唯一の機会なので、やはり買ってしまった。今年の編集方針は、アンケートとしての信頼方針を高めつつ、急増する出版点数の中から優良作をいかにして拾い上げていくかということのようだ。
 昨年の時にも書いたような気がするが、やはり、既刊シリーズも含めたランキング形式にすれば、どうしても結果は局在しがちになる。かといって、一部の人の意見をランキングに強く反映させれば、ランキング自体に恣意性が生まれてしまい、意味が無い。

 そろそろ、ランキングの重要性を下げる時に来ているのかも知れない。そして、このラノとしての権威者を生み出す試みに着手する時期に来ているのかもね。

このライトノベルがすごい! 2012

ばらつく結果
評価:☆☆☆☆★
 今回の著者インタビュー記事は「ベン・トー」「変態王子と笑わない猫。」の2本だ。

 前回も思ったことではあるが、協力者のアンケート結果と、Webでのアンケート結果の間に大きな開きがあり、それを合算して順位をつけることには疑問を感じざるを得ない。
 基本的に、協力者はテンプレからちょっとはみ出した作品に高評価をつけがちだし、一般にはテンプレ作品の方が高評価になりやすいと思う。これを重みづけして合算するのだから、ウェイトの重い方に結果がよりやすいのは当たり前だろう。

 もういっそのこと、順位をつけるのは止めて、ガイドブック化した方が適しているのではないだろうか?たくさん出版されるラノベをカテゴライズし、ノミネートする作品を選定した上で、そのお薦めポイントを複数の評価者で評価する。そんな風にした方が参考になる気がする。

このライトノベルがすごい! 2011

アニメの影響は大きそう
評価:☆☆☆☆★
 巻末の600越えの作品インデックスを見て、今年もたくさんのライトノベルが出版されたのだなと思った。
 2009年10月1日から2010年9月30日までに出版されたライトノベルの読者によるランキング企画。今年は宝島社サイト経由で1,672人、情報発信者53人、モニターアンケート103人の有効回答と、過去最高の人数だったそうだが、これをランキングの母集団として多いと見るかは微妙なところ。無作為抽出ならば十分だと思うけれど、これはそうじゃないから。そういう意味では、くまざわ書店やとらのあなの売上ランキングが実勢上の人気を表していると言えるかも知れない。
 また、宝島社もライトノベルを出版しているが、それはランキングの対象外とした点はさすがの対応といえる。

 ランキングはランキングとして押さえておいて、この本のポイントはどちらかというと情報発信者たちのオススメ本の紹介にある気がする。それぞれの趣味が色濃く反映され、実際の売上とはズレが生じることもあるが、読者の印象が伝わってくるという意味では役に立つ。
 今後の期待としては、対象作品のノミネート制、投票者数の拡大、アマゾンなどのネット書店の売上ランキングなど、データの精度・量を拡充する取り組みをお願いしたい。他には、評価基準のフレームワーク化もあった方が良いかも知れない。

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