神保璟一郎作品の書評／レビュー

リファレンス・ブックとして使用したい

評価：☆☆☆☆★

　音楽の歴史、楽曲の形式、作曲家と楽曲の紹介、演奏家の紹介という章立てで構成されている。作曲家123名と、その楽曲1～20曲程度を1冊で紹介するという欲張りな構成のため、それぞれの記述は本当に概要程度である。このため、この本でクラシック音楽の全体像について把握しておいて、気になった部分は他の本などで理解を深めるという使用法に適していると思う。もちろん、この曲目を参考に、CDを入手するという使用法もあるだろう。
　ただし、昭和9年初版、昭和50年改訂の「名曲を尋ねて」が底本であるため、記述が古く、また、現代の常識とは若干異なる部分もある。（ピアノよりヴァイオリンの方に親しんでいる人が多い、ピアノ音楽を聴いたことがない人が多い、など）また、1970年代以降に登場する演奏家は紹介されていない。