消極性研究会作品の書評/レビュー
消極性デザイン宣言 ―消極的な人よ、声を上げよ。……いや、上げなくてよい。
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章ごとに筆者が変わっていて、一応、「消極性」というキーワードは共通しているのだけれど、捉え方がかなり異なっている。第1章・第2章は消極的な人が他者のやり方に変化を強制しようという利己的なアプローチで全く考え方が自分とは合わないが、第3章と第5章はあくまで自分の判断(に見せかけて)やり方を変化させようという技術的なアプローチなので興味深い。
第1章 「やめて」とあなたに言えなくて 一対一もしくは一対少数のコミュニケーション[栗原一貴]
他人のマナーにゆだねるのは確実ではないので、それを強制するためにはどんな技術的アプローチがあるかを検討している。
・スピーチジャマー
・のぞき見防止検出器(ウソ)
・開放度調整ヘッドセット
・視線恐怖症的コミュ症のためのメガネ
第2章 考えすぎを考えすぎよう 人が集まるイベントなどにおけるコミュニケーション[西田健志]
消極的な人間と積極的な人間は生きているプラットフォームが違っているのに、積極的な人間に適したプラットフォームで生きるのを強制されるのは辛すぎる。なので、消極的な人間に適したプラットフォームを作って快適に生きよう、ということを検討している。
第3章 共創の輪は「自分勝手」で広がる 複数人でのコラボレーション[濱崎雅弘]
第2章と発想は同様。初音ミクを例にとって分析している。
第4章 スキル向上に消極的なユーザーのためのゲームシステム[簗瀬洋平]
ゲームの上達のために努力はしたくないが、上手なプレイをして爽快感を味わうにはどうしたらよいかという検討をしている。
第5章 モチベーションのインタラクションデザイン[渡邊恵太]
最適なユーザーインターフェースとはどんなものなのかを検討している。
・使いやすさではなく使おうとしやすさ
・やめやすいからこそやりやすい
・これがいいではなくこれでいい
・ついでの原理、行為を止めない、出会う様な体験
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