田代昌之作品の書評/レビュー

フィスコ仮想通貨取引所で始める「ビットコイン取引」超入門

評価:★★★
 70%程はフィスコ仮想通貨取引所のチュートリアルで、30%程はビットコイン(以下、BTC)に関する説明が書かれている。超入門と銘打っているくらいなので、技術的に詳しい説明がある訳ではないか、基本的な特徴は把握できる。しかし、値段に見合う内容かと問われると、疑問を抱かざるを得ない。

《各章の概要》
【Part.1 ビットコイン基本のキ】
・BTCはサトシ・ナカモト氏(詳細不明)の2008年の論文に基づいて作られた
・BTCには発行上限があり、それは2100万BTCである
・BTCはブロックチェーンという技術と分散型サーバーにより担保されている
・BTCは取引データのブロックをチェーン化する際に新規発行される(マイニング)
・初期のマイニング報酬は50BTCであり、21万ブロック増加するごとに報酬は半減する
・2017年4月施行の改正資金決済法により、仮想通貨取引所は金融庁の監督下に置かれた
・BTC以外にもイーサリアムやリップル等の仮想通貨があるが、BTCは時価総額の7割を占める

【Part.2 ビットコイントレードを始める前の準備】
・BTCは仮想通貨取引所ごとに取引されており、取引価格には差異があり得る

【Part.3 フィスコ仮想通貨取引所で口座を開設しよう】
・フィスコ仮想通貨取引所口座開設の手引き

【Part.4 ビットコイン相場の見方を知ろう】
・フィスコ仮想通貨取引所のチャートの見方
・BTC取引の最初は2010年5月22日の、1万BTC=ピザ2枚である

【Part.5 フィスコ仮想通貨取引所でトレードを始めよう】
・フィスコ仮想通貨取引所でのBTC売買の手引き
・BTC取引に伴う利益の税制は未整備だが、2017年に決定予定

《考察》
(1) マイニングと経済活動
・日本銀行券の価値は日本政府が債務保証することで担保されているのに対し、BTCはBTCの信頼性を担保するマイニングに価値を認める共同幻想により担保されていると解釈できる
・マイニングはBTCを担保する行為であると共に、実社会における経済活動と類似している
・実社会では経済活動に課税することで市場をコントロールするコストを賄っているが、BTCに類似の機能はあるのか
・無いとすれば、実経済に寄生しているだけではないのか

(2) マイニングコストと交換レート
・半減期を迎える毎にマイニング報酬は半減するが、実経済で発生するコストを賄わなければならないと考えると実質のマイニング報酬は変わらない可能性が高いので、実通貨安BTC高に向かうのではないか
・BTCの発行上限に達した時、何が起こるのか

(3) 決済機能と裁定取引
・決済機能が強化されていくと、例えばBTCで安い地域で金を買い、高い所でBTCに変えるような、実経済との裁定取引が起きるのではないか
・こうした場合、大資本が強い影響力を及ぼすようになり、BTCの不安定性を招くのではないか

 色々考えると怖い部分もあるので、初期参入者の利益をガッツリ得たら、サッサと離脱した方が良い様な気がします。

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