磁力と重力の発見 (2) ルネサンス(山本義隆)の書評/レビュー


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磁力と重力の発見 (2) ルネサンス

神から自然へ
評価:☆☆☆☆☆
 本シリーズは、物理学史でほとんど省みられることがなかったという、中世ヨーロッパの磁力観について、数々の文献による根拠を挙げながら、当時の思想的・歴史的背景を交えて解説している。本書はその第2冊で、ルネサンスの前期と後期における”魔術”の変遷と磁力の関係についてふれられている。
 ルネサンス期に生じた学問の変化の理由として挙げられているのが、印刷術の普及と大航海時代である。前者は利潤追求の観点から、それまでの学術言語であったラテン語から、読者層の多い自国語の文献の増加を招いた。後者は観測点の増加の観点から、これまで盲信されてきた古代の文献の権威低下を招いた。
 これらの転換点を境に、同じ不可思議な磁気現象にもかかわらず、神・天使・悪魔など外因によってもたらされると考えられていたものが、自然の内因に起因するとみなされるようになった。また、思弁的文献的現象論が、実験的現象論に変化し、近代物理学への道を開くことになる。
 これを読んでちょっとでも興味を引かれた方は、ご一読いただかれてはいかがでしょうか。

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