アクセル・ワールド (1) 黒雪姫の帰還(川原礫)の書評/レビュー


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アクセル・ワールド (1) 黒雪姫の帰還

練り込まれた世界観、バーチャルでの生々しい人間関係
評価:☆☆☆☆☆
 15年前に登場した、ニューロリンカーと呼ばれる脳と量子無線接続する携帯端末により、リアル世界での生活をバーチャル・ネットワークでサポートできるようになった。学校という空間はあり、そこに中学生が集まることも変わりないのだけれど、授業内容は目や耳を介すのではなく直接脳内で映像化され、理科の実験も家庭科の実習もバーチャルで行われる。
 そんな世界で生きる中学生の一人である有田春雪は、太ったいじめられっ子。昼休みも一人トイレの個室で学内LANに接続し、生徒の誰も興味を持たないゲームで時間を潰していた。そんなある日、誰も抜かせるはずがないと思っていた自分のハイスコアを、軽く抜かしてしまった生徒がいることに気づく。それは副生徒会長であり、黒雪姫と称される校内一の美少女だった。
 彼女は、ハルユキにブレイン・バーストというアプリケーションを送信してくる。そのアプリは現実を壊してくれる、という黒雪姫の誘惑に乗った彼は、これまで知らなかった世界を知る。加速世界と呼ばれるそれは、一定時間だけ思考速度が千倍になる世界だった。そして、ハルユキと黒雪姫の戦いが始まった。

 読み始めてすぐ、紹介される世界観がとても作り込まれていることに気づいた。ニューロリンカーの使用上で問題となる様なポイントにもちゃんと対策が取られている。個人的に気に入っているのは、この加速世界が人為によるものだということ。人為により作られたものは人の手で変えられるはずなので、知恵と勇気で必ずどうにかできるはず、という希望がある。
 まだまだ物語の先は長そうなので、今後の展開が非常に楽しみです。

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