“夕顔” ヒカルが地球にいたころ……(2)(野村美月)の書評/レビュー


 “夕顔” ヒカルが地球にいたころ……(2)(野村美月)の書評/レビューを掲載しています。

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“夕顔” ヒカルが地球にいたころ……(2)

カーテンに囲われた部屋に咲くあだ花
評価:☆☆☆☆☆
 学園のアイドルだった帝門ヒカルが亡くなり、その幽霊は見た目・赤髪ヤンキー、中身はお人よしの赤城是光にとりついてしまった。だが、左乙女葵とヒカルの約束を果たすのに協力し、ヒカルと親友になった是光は、結局これからもヒカルに協力することになった。
 今回、是光が引き合わされたヒカルと関係が深かった少女は、奏井夕雨。一年前に、帝門グループの中核を占める頭条家の跡取りである頭条俊吾と関わりになったばかりに、色々あってアパートの一室に引きこもってしまった少女だ。その儚げで、何色にでも染まりそうな、夕顔の様に弱そうに見えた夕雨に一目ぼれしてしまった是光は、彼女を何とか外に連れ出そうとして、拒絶されてしまう。

 彼女が引きこもりになった理由を、近江ひいなや式部帆夏から情報を得つつ、何とか正解を探り出そうとする是光だったが、今回はなぜかヒカルは本物の幽霊のように、何も言わない。
 またも生徒会長の斎賀朝衣の妨害を受けつつ、是光が明らかにする真相とは…。そして、夕雨と是光の関係やいかに?


 ヒカルが殺されたという噂が広まり、帝門グループという中にうごめく闇の存在をほのめかしつつ、是光は学園の中にいる怨霊、差別意識に潜む人の心の闇に直面することになる。
 ヒカルの代理人として行動することで、ヒカルの幽霊が見えない人々には、結果的に是光が格好良い行動を自発的に取っているようにしか見えなくなるわけで、その帰結として、是光がヒカルのあとを継ぐようなモテロードに入ることは必然と言えよう。

 しかしそもそも女性を避けて生きて来た是光が、突然複数の女性にもてるようになっても、めんどくさい事態になることは必至なわけで、色々と絡まってしまった結果の次巻でどんなことになるかは若干不安。
 不安と言えば次のタイトルは若紫。ヒロインが小学四年生というのは、是光に社会的地位失墜の危機が迫ってくるのかもしれない。

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