プシュケの涙(柴村仁)の書評/レビュー


 プシュケの涙(柴村仁)の作品の書評/レビューを掲載しています。

関連作品の書評/レビュー
プシュケの涙 ハイドラの告白

プシュケの涙

想いの在り方、表し方
評価:☆☆☆☆☆
 夏休みのある日の高校。補習中の榎戸川は、窓の外を落ちて行く少女、吉野彼方を目撃する。そんな自殺騒動も落ち着いた頃、榎戸川の前に由良という美人の少年が現れる。吉野と同じ美術部だった彼は、自殺の真相を知りたいといい、その調査に巻き込んで行く。明らかになる真相。なぜ由良は真相を知りたがったのか。

 表紙、イラストと進んで行くと、次にあるはずの目次がない。でも、おそらくこれは意図的。読み進めていけばその理由は分かる。はじめはほのぼのした感じの展開になるかと思わせておきながら、急転直下、吐き気のする様な話になってくる。しかし、その後に付け加えられたストーリーのおかげで、少しは救われた気持ちになれる。
 心から幸せ、という話ではないし、哀しみをより深めるだけという考え方もあるかもしれないけれど、最後まで読み終わった後はさわやかな気分。落差が激しかった分の好印象ということもあるかもしれないけれど。
 後半に出てくる人たちを使えば、もっといろいろな話が書ける気がするけれど、それを使い捨てにしてしまう大胆な構成だと思う。

   bk1
   
   amazon
   
柴村仁作品の書評一覧

ホーム
inserted by FC2 system