生徒会探偵キリカ (1)(杉井光)の書評/レビュー


 生徒会探偵キリカ (1)(杉井光)の書評/レビューを掲載しています。

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生徒会探偵キリカ (1)

キミは凄いのだと知らせたい
評価:☆☆☆☆☆
 優秀な姉・日向の影響から逃げるように、生徒数八千人のマンモス校・白樹台学園の学生寮へと入った牧村日影は、この巨大校を統べる生徒会長・天王寺狐徹に見染められ、員数外の生徒会庶務として雑用を申し渡される。彼の直属は聖橋キリカ、八億円の生徒会費を一人で管理する会計だ。
 副会長の竹内美園からは妙に好意を寄せられ、監査委員長・久米田郁乃や中央議会議長・神林朱鷺子からは生徒会へのスパイに誘われ、引く手あまたのひかげではあるが、狐徹からは信頼されていない様だし、キリカとはまともに話もできない。もう生徒会に関わるのはよそうか、そう思った時、彼は盗難事件の容疑者になってしまう。その時、彼の前に現れたのは、生徒会総務執行部探偵の腕章を首に巻いたキリカだった。

 お金を唯一の基準にして他人との関係を形にしようとするキリカに、普通の人は敬遠気味だ。生徒会役員たちは綺麗な華だが、高嶺の、つまりは摘むのに危険な華でもある。そこに巻き込まれ、持ち前のツッコミ力と率直さで彼女たちの、キリカの中に突っ込んでいくのがひかげなのだ。
 “探偵”がタイトルについているが、“詐欺師”といった方が良いかもしれないのは、「神様のメモ帳」の読者ならよく分かるかもしれない。イメージ的にはひかげが藤島鳴海で、キリカが「さよならピアノソナタ」の蛯沢真冬がキリカという感じかもしれない。つまりは、何かに絶望し、半ばあきらめながらも諦めきれない少女を、何者でもないと思っている少年が、他の誰にもできないやり方で道を示す物語なのだと思う。

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