ご主人様は山猫姫 (8) 北域覇王編(鷹見一幸)の書評/レビュー


 ご主人様は山猫姫 (8) 北域覇王編(鷹見一幸)の書評/レビューを掲載しています。

関連作品の書評/レビュー
ご主人様は山猫姫 (7) 北域見習い英雄編 ご主人様は山猫姫 (8) 北域覇王編 未定

ご主人様は山猫姫 (8) 北域覇王編

新たな枠組みを目指して
評価:☆☆☆☆☆
 北域の覇王への道をまっしぐらに進み始めた泉野晴凛だが、その周囲の女性たちにも変化が訪れ始めた。タッケイ・ラム・シャールが甲斐甲斐しく酔った晴凛の世話をするのに対し、子どもから女への成長を開始したシャン・クム・ミーネは、自分がずっと晴凛のもとにいるためには何をすれば良いかをアイリーンに聞く。
 南域の反乱は反乱軍が素人であるため一気にケリがつくかと思われたが、初戦をあまりにも簡単に勝ちすぎたことと、帝国内部の勢力争いの結果、膠着状態に陥ってしまっていた。それを打開するために榎耶将軍は捨て身の策を実行するのだが、その結果もままならない。

 一方、北域王・泉野晴凛のもとを訪れたシムールのエオル王は、シムール領内の砂漠化による食糧不足を解決するため、遊牧民の根幹を揺るがすような策を持ってきていた。
 その策を実行すれば、より豊かな北域が実現する。しかし、旧来の価値観を脱し得ない老人たちにとっては、先祖への裏切りに過ぎない。そしてその想いは、それに付け込む勢力に利用され、大きな事件を巻き起こすことになる。

 辺境の反乱を鎮圧するだけの実力はまだ残しながらも、それを発揮する環境を作れずに自滅していく帝国をよそに、経済という不滅の真理は、帝国領土に新たな火種を持ち込みそうな雰囲気だ。
 着々と実力をつけていく北域と、帝国崩壊を助長していく南域、それに力を残したまま絶えようとする帝国の一部勢力たち。彼らが描く未来の姿とは?

 お鼻ぷくぷくの仮面軍師も良い目を見たり、悪い目を見たり、とにかくまだあきらめてはいない模様です。

鷹見一幸作品の書評一覧

ホーム
inserted by FC2 system