僕は友達が少ない (7)(平坂読)の書評/レビュー


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僕は友達が少ない (7)

現実とは戦って勝ち取るもの
評価:☆☆☆☆☆
 志熊理科のスカートが5センチ短くなった。理科は本気だ。また、新キャラとして生徒会役員の遊佐葵、日高日向が登場する。

 羽瀬川小鷹の妹・羽瀬川小鳩の隣人部による誕生会が終了し、小鷹は家族以外から祝われる誕生会の素晴らしさに気づいた。やっぱり友達は良い。隣人部の活動を頑張って、友達が出来ても大丈夫なようにしよう。改めてそう思う小鷹だったが、それに対し理科は何かを言いたいようだ。そう、それは読者の言葉でもある。
 学園祭の企画として、隣人部も何かをやろうということになった。紆余曲折の上、小鳩のクラスが映画を作るというので、それに触発されて映画撮影することになった。脚本は、以前、星奈レイプものを書いてきた三日月夜空が担当!しかし予想外に、柏崎星奈も納得の感動の出来栄えだ。楠雪村や高山マリアにも良い役を割り当てて、理科の技術を利用すれば、そこそこのものにはなるはず。だが、そこで高山ケイトの一言から、思わぬ疑惑が発覚する。


 ラブコメの主人公はなぜ鈍感か?それは何も気づかない方が、彼らにとって都合の良い展開が待っているからだ。選択をしてしまえば未来は収束し、あまたの可能性はひとつに絞られる。それを回避するための手段が、鈍感であることなのだろう。

 三日月夜空は小鷹と幼なじみであった過去にこだわる。柏崎星奈は理想の自分が生きる未来を夢想する。だから夜空は星奈と小鷹の間に過去のつながりの事実が発覚した時に動揺したし、星奈はそれが流されても自分で未来をつかみ取る自信があるから拘らない。
 そして志熊理科は現在を生きることに妥協せず、常に最良の選択を目指し続ける。理科だけは感情に流されず、空気を読まず、言いたいことを言う。それは彼女が強いからであり、今の小鷹には彼女のその強さに対抗できるだけのスキルがない。

 もはや何も気づかないふりをして生きられる楽園の時間は過ぎ去った。あとには選択の時間が待っているだけだ。

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