とある飛空士への誓約 (9)
- 飛空士シリーズ完結編
- 評価:☆☆☆★★
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ウラノス王都プレアデスの位置を把握した多島海連合軍首席参謀バルタザールは、清顕を呼び出し、二百機の飛空艇でプレアデスを制空可能かどうか問いただす。
プレアデス奇襲作戦の準備に明け暮れる清顕らの許に届いたのは、紫刑死の報だった。
飛空士シリーズ完結編。ミオってもともと兄弟たちのために苦境を受け入れたはずなのに…とか、空の王の扱いが雑過ぎない…とか、色々と変に思うところもあり、残念なご都合主義の仕上がりに感じてしまう。
とある飛空士への誓約 (8)
- 犠牲の下の休戦
- 評価:☆☆☆☆★
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秋津連邦あらため慧剣皇王国では、戦争継続を願う政府中枢を打倒し、和平派の大威徳親王による践祚を実現させ、帝国との間で休戦協定を結ぼうという軍事クーデターの準備を進める人物、紫かぐらがいた。
第二次イスラ艦隊と共闘することでウラノスに対抗可能な力を得たエリザベートは、継戦能力を高めるため、市場による資金調達を目論んでいた。そのために、彼女はバルタザールとその実家を利用しようとする。
とある飛空士への誓約 (7)
- 大攻勢
- 評価:☆☆☆☆★
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第一王子ディミトリを押しのけ、ウラノスの新女王となったニナ・ヴィエントだったが、王宮内に足場のない彼女はその力を発揮することが出来ず、最高司令官となったディミトリの推し進める大攻勢の結果、地上国家に住まうものからは災厄の女王と呼ばれるようになっていた。
セントヴォルト帝国の絶対防衛線ククアナ・ラインがハルモンディア皇国とウラノスの新兵器によってもろくも破られ、セントヴォルト帝国、帝国との戦争に疲弊した秋津連邦の運命は風前の灯となってしまう。
その状況を奇貨として、エリザベート・シルヴァニアは王国を復活させ、頼もしい味方をかの地へと呼び寄せるのだった。
とある飛空士への誓約 (6)
- 千切れそうな心
- 評価:☆☆☆☆★
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秋津連邦首都箕郷の防空任務についた清顕は、その才を発揮し、それを利用しようとする上層部の意向により、若き英雄として取り上げられるようになっていた。一方、ヴォルテック航空隊に残ったイリアも、かつての空の王の後継者として、清顕の撃墜を望まれる立場となっていた。
それぞれ最新鋭戦闘機を託された若き英雄は、箕郷爆撃任務を帯びた航空機の護衛と、それを阻止しようとする空戦部隊に分かれて戦いを繰り広げることになる。
とある飛空士への誓約 (5)
- 政変
- 評価:☆☆☆☆★
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ウラノス王都・プレアデスに半ば軟禁されるニナ・ヴィエントの従者となったミオは、彼女と仲良くなるため、イグナシオを味方に巻き込もうとする。一方、帝国と皇国の戦端が開かれたためスパイ容疑で逮捕された清顕とかぐらは、命の危機に瀕していた。
拷問を受ける二人を助けるため、それぞれの場所に分かれた友人たちがそれぞれの決断を迫られる。
とある飛空士への誓約 (4)
- 第2次多島海戦争
- 評価:☆☆☆☆★
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かぐらが所属し、撃墜王レオ・ローゼンミュラー大尉が率いるヴォルテック航空隊に飛空士官候補生として配属された清顕とイリアは、荒くれの下士官たちにもまれながら、空戦技術を向上させていく。
制空権奪回のため、大瀑布付近を遊弋するウラノス飛空要塞の奪取作戦に参加することになったヴォルテック航空隊は、敵空戦部隊決戦に挑む。
一方、情報部に所属するバルタザールは、亡国の王女エリザベート・シルヴァニア生存の可能性を追っていた。
とある飛空士への誓約 (3)
- ミオの零落
- 評価:☆☆☆☆★
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エリアドールの七人のうち、バルタザール・グリムと紫かぐらが卒業の季節を迎えた。それぞれの所属部隊へ旅立っていくさまを、イリア・クライシュミット、坂上清顕、シルヴァニアの王位継承者であるセシル・ハウアーは見送る。
ウラノス外務尚書省次官のゼノン・カヴァディスにより、ウラノスのスパイへと堕とされたミオ・セイラは、先輩スパイであるハチノスことライナ・ベックの指示に従い、スパイ見習い活動に従事する中、罪悪感から清顕らとは距離を取っていた。
ミオとの距離が開いたことをさびしく思いながらも、清顕はイリアをデートに誘い、二人でツーリングに出かけるのだった。
ミオの色々が憐れ。どうやってももう救いどころは無いんじゃなかろうか?どこまで堕ちるかを楽しみにするの?
とある飛空士への誓約 (2)
- 評価:☆☆☆☆★
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エリアドールの七人として軍の広報塔として喧伝されることになったバルタザール・グリム、紫かぐら、イリア・クライシュミット、坂上清顕、ミオ・セイラ、ライナ・ベック、セシル・ハウアーは、せめてもの特権として、七人専用の士官室を士官学校の中に持てることになった。
就寝時間の縛りのないその部屋で、ミオが作る夜食を堪能したり、生徒館に出現するメルヘンドーナツの謎の噂話をしたり、自習をしたり、恵まれた学生生活を七人は送る。だが、模擬空戦が始まり、イリアらが撃墜数を伸ばして行く中で、清顕はトリガーを引くことに迷いを感じていた。
エリアドールの七人が抱える秘密が明かされていく。裏切り者は誰なのか、シルヴァニアの王位継承者は誰なのかなどと言うことだ。そして相変わらず、謎のうまい食べ物が登場する。
とある飛空士への誓約 (1)
- 今のところは焼き直し感満載
- 評価:☆☆☆☆☆
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ハイデラバード連合共同体の中核であるウラノスにより滅ぼされたシルヴァニア王国の最後の王位継承者は、聖騎士アクメドの献身によりウラノスの重囲を突破し、生き残ることが出来た。だが彼女を引き取ることになった叔母は、彼女に王家再興を押しつけるのではなく、成長して自ら選ばせる道を選択する。
そして17歳となったミオ・セイラは、幼なじみの坂上清顕を追い、飛空士を目指して秋津連邦の士官学校生となっていた。セントヴォルト帝国の士官学校への親善留学を建前として、ウラノスからの宣戦を引き出すエサとされることになった前途有望な両国士官候補生たちは、彼らだけでエリアドール飛空挺を飛ばす。
期待通り、空の一族であるウラノスからの攻撃にさらされることになった彼らは、編隊を解かれ、自らの器量のみで敵勢力圏を突破し、生還しなければならなくなる。
そんな状況の中、挺の操縦を担う坂上清顕の父である坂上正治飛曹長と、イリア・クライシュミットの父であるカルステン・クライシュミット大尉には深い因縁があり、それを引き継いでイリアは清顕を敵視する。さらに、清顕の亡くなった姉の由美子に生き写しな紫かぐらやイリアと話しているとミオは嫉妬するし、誰でも口説きにかかるライナ・ベックや人なつっこいセシル・ハウアー、機長のバルタザール・グリムと、未だ一個のチームとして機能しているとは言いがたい。
だがそんな間も、敵機は容赦なく彼らを落とそうとしてくる。機内にはウラノス人のスパイがいるかも知れないという不安も抱えつつ、将来は敵味方に分かれて戦う可能性のある彼らは、それでも仲間を信じ、永遠の誓約を交わすのだった。
既存作品の要素の組み合わせという感じがして、今のところ、またこんな感じかあ、という気しかしない。でもまあ、安定感はあるので面白いけどね。けどやはり、新しいシリーズなら新しい要素が欲しいところ。
とある飛空士への夜想曲 下
- 戦場の先に見つめる未来
- 評価:☆☆☆☆☆
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戦艦島で別かれた千々石武夫と吉岡ユキが再開した日から一年が過ぎた。音無航空隊所属として敵機を屠り続けていた武夫は、“サイオン島の魔犬”と呼ばれるほどの恐怖を敵に与えていた。しかし戦局は、物量で圧倒的に勝るレヴァーム皇国が、帝政天ッ上の少数精鋭を抑え込み始めていた。
雲鶴航空隊に転属となり、機動艦隊の航空戦力として力を揮うことになった千々石だったが、ヴィルヘルム・バルドーと旗艦グラン・イデアル率いる大規模機動艦隊を前に、彼我の戦力差を思い知らされることになる。せめて一矢報いようと戦場を飛翔する千々石が見た敵機は、海猫が操るものだった。
エピローグはこの手の物語がたどり着くべき所にたどり着くのだが、そこに至るまでの千々石の鬼神の様な空戦に圧倒される。さすがに海猫との最終決戦の部分はやり過ぎじゃないかと思ったけれど。
そして気を揉ませてくれるのは、ユキと武夫の関係だ。一方は戦場に出ているし、一方は戦意高揚のための仕事をさせられて時間も取れない。このまま再開できないで終わるのかと思ったところ、彼らにチャンスを与えたのは意外な人物だ。その人物のおかげで、彼らの物語は時代が許す限りの場所へと到達することが出来たのだ。
これは褒め言葉になるかは分からないけれど、作者は負け戦を描くのが上手すぎる気がする。
とある飛空士への夜想曲 上
- もうひとつの正義
- 評価:☆☆☆☆☆
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撃墜記録2位に倍する撃墜記録を持つ撃墜王、天ツ上海軍予科練上がりの特務中尉・千々石武夫は、レヴァーム皇国次期皇妃ファナ・デル・モラルを乗せて単機敵中突破を行う海猫・狩野シャルルを落とせなかった。それは海猫が空に愛されているからだ。しかし自分もそれに負けない自負はある。そしてそれを、彼を撃墜することで証明する。国民的人気歌手・水守美空のレコードを聴きながら、千々石武夫は決意する。
父と母を相次いで亡くした武夫は、夢も希望もなく炭鉱で働く14歳の少年だった。しかし彼の人生は、2つ年下のレヴァームとの混血の少女・吉岡ユキとの出会いで変わる。歌手を夢見る彼女の歌を偶然聴き、混血児・ベスタドとして学校で標的にされる彼女の練習の用心棒となった彼は、まだ自分にも希望が残されていることを彼女に教えられるのだ。
そしてそれから八年、彼らは撃墜王と人気歌手として再会するのだが…。
天ツ上とレヴァームのモデルは日本とアメリカの様なのだけれど、ミッドウェイに当たる海戦の帰趨が変わっていたりもする。
そしてあらすじから分かるように、この作品は「とある飛空士への追憶」のスピンオフ作品でもあり、敵中突破後の海猫の待遇なども読み取れる。おそらく確実に、下巻では彼が登場することになるだろう。
「追憶」で敵役だった国の撃墜王の様子から描き始めることで当該作のファンをひきつけ、そして一章でレヴァームの違った側面と天ツ上側の正義を描き出し、そして二章でそれを融合させて新たな戦場を描くという構成が面白い。
さらに面白いのが、レヴァーム中心でヒットしたにもかかわらず、痕から登場する天ツ上の方が日本人的に親近感を抱きやすいところだろう。この辺が趣味の部分だろうか。
さて、次巻では撃墜王同士による激しい空戦が期待されつつ、千々石の恋の行方にも興味が割かれるところだろう。
サクラコ・アトミカ
- 生物兵器の恋
- 評価:☆☆☆☆☆
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畸形都市・丁都は、願っただけで何でも現実化させられる能力を持つ知事、ディドル・オルガが支配する都市だ。
サクラコの美しさが世界を滅ぼすというフレーズを気に入ったオルガの思いつきで、阿岐ヶ原の内親王・サクラコは丁都に拉致され、周辺七都市を焼き払う兵器・原子塔の動力源にされることになる。
原子塔の完成を待つ間、サクラコの監視兼護衛を務めることになった、オルガが作った生物兵器の少年、ナギ・ハインリヒ・シュナイダーは、サクラコのわがままに振り回されることになる。
一方、これまでどんな男性も自分の前で理性を保つことが出来なかったほどの美貌を持つサクラコは、自分の美貌に小ゆるぎもしないナギに興味を持つのだった。
サクラコの我がままに振り回されつつ、しかしサクラコと交流していくに従って、生物兵器の自分にはないと思い込んでいた、こころ、というものの存在を、ナギは理解し始めていく。
だがそこに、サクラコを奪還するための兵士・赤司源一郎が現れる。
自分の恋する相手でもあるナギを殺そうとする兵士が、サクラコを助けるもの。その兵士が死ねば、サクラコは兵器に作り変えられる運命。そんな状況の中、サクラコとナギは、どんな決断をしていくのか?果たして、無敵の能力を誇るオルガから逃れ、自らの未来を切り開くことが出来るのか?
科学とファンタジーが織り交ぜられた世界で、心と想像の力が二人の運命を決定する。
クライマックスを描くためには冗長になりそうな展開を、構成でカバーしている気がする。そのおかげもあって、前半から中盤はラブコメとして楽しめるのだが、後半は相当な超展開になっていく。
構成上、仕方のないところではあるのだが、ナギのお姉ちゃんのユキノに、ちゃんとした活躍の場を与えてほしかった。
途中、ピノコか!という突っ込みと、どろろか!というツッコミを入れてしまった。人外の物を描くことで、逆に人間そのものとその可能性を描こうとした作品だと思う。
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とある飛空士への恋歌 (5)
- 引き裂かれる二人
- 評価:☆☆☆☆☆
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イスラ艦隊を圧倒した空族に対し、ニナ・ヴィエントことクレア・クルスが風呼びの力を取り戻し一矢報いた結果、空族は停戦の条件として風呼びの少女の引渡しを求めてきた。イスラの4人議会の全権委任を受け、外務長のアメリアは空族との交渉に臨む。
一方、イスラ生き残りの生け贄としてクレアが差し出されるかもしれないことに納得が行かないカルエル・アルバスやアリエルは、寮生たちと共にクレア救出の策を練る。しかし、管区長の警備状況は以前より厳しくなっており、彼女と会うことすらままならない。
そして交渉はまとまり、空族の重要人物と引き換えに、クレアは空の一族の中心地、アレクサンドラに囚われの身となることとなる。その代償として、イスラ艦隊とレヴァーム艦隊は世界の果ての事実を知ることとなるのだが、納得できないカルエルは、カール・ラ・イールの名を利用して、クレアを取り戻す策を練るのだった。
とある飛空士への恋歌の完結編。長い空の探索航の結末、生き残った生徒たちのその後、亡くなった生徒たちの思い、カルエル、アリエル、クレアたちの物語のその後が描かれる。
今回は砲門を背景にした外交戦が前半のメイン、そして後半は最後のクライマックスに向けての物語となっている。ストーリーは完結したのだけれど、番外編として、この物語世界の秘密にまつわるエピソードなどを描く外伝があっても面白いなあ、と個人的には思う。でもそういうSFチックな物語はあんまり売れないんだろうなあ。
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とある飛空士への恋歌 (4)
- 明かされる真実、生まれ変わるとき
- 評価:☆☆☆☆★
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取り返しのつかない犠牲を払いながらも空族の侵攻を退け、癒しがたい悲しみから立ち直ろうとする学生たち。そんな中、戻ってこないクレアと偶然再会したカルエルは、自分たちの気持ちを自覚しながらも、衝撃の真実に気づく。
すれ違ったままの二人。もう戻らないかつての日々。しかし、いま残ったものだけでも守り切ろうとカルエルが再び立ち上がった時、空族が大規模な侵攻を再開する。
先の犠牲を顧みず、またしても学生が戦場に駆り出される。そういう意味で言うと、前巻の繰り返しに近い。ただ、最後の結末がちょっと違う。
大きな決断を下したイスラ上層部に対して、生まれ変わったカルエルはどう動くのか。立場を変えて新たな革命のときに挑む。
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とある飛空士への恋歌 (3)
- 開戦
- 評価:☆☆☆☆☆
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あとがきは無いので後ろから見ない方が良いという作者のコメントがついています。
聖泉まであとわずかというところで、イスラは言い伝えにある空の一族と遭遇する。
木造の旧式戦闘機を見て侮ったイスラ空挺騎士団団長レオポルド・メルセは、イスラにわずかの直掩機を残し、全兵力を敵に差し向けるのだが…その結果。
前半までは前巻の流れを引き継ぎ、のんびりとした雰囲気で進むのだが、後半からは一気に事態が緊迫する。
やはり一番の見せ場は、正規戦力の不足を補うべく索敵任務に借り出され、敵攻撃編隊を発見した、ミツオ・フクハラとチハル・デ・ルシアが味方を援護すべく奮闘するシーンではないだろうか。無防備に爆撃を受ける危機に瀕したイスラを救うため、決断を迫られる二人。
今回はクレア・クルスの活躍する場面が無かったけれど、次巻あたりからはニナ・ヴィエントとして働く局面が出てくるかもしれません。
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とある飛空士への恋歌 (2)
- 寮生活物語、夕食編
- 評価:☆☆☆☆★
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前回はカール・ラ・イール側からの革命だったので、今回はクレア・クルス側から見た革命の話が少し。あとは、アリーメンとか食べ物の話がほとんどだった気がしなくもない。少しは空も飛んでいたけれど、大概は地上で楽しそうにしていた。ラストで緊迫した状況になったので、次は空戦が繰り広げられることでしょう。
素直じゃない義兄妹、一目ぼれの美少女=仇敵、敵との遭遇、という感じで、展開が予想しやすい物語なので、ハッとするような伏線を好むタイプではなく、読んで素直にヤキモキしたりハラハラしたりできる人におススメ。
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とある飛空士への恋歌
- 失墜と、新たな出会いと、そして
- 評価:☆☆☆☆☆
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斎ノ国、帝政ベナレスと並ぶ大国バレステロス皇国の第一皇子カール・ラ・イールは、突然の革命によりその地位を一夜にして失った。当時九歳の少年は、革命の旗印である風呼びの少女ニナ・ヴィエントの靴への口づけを強制され、両親は断頭台の露と消える。
カールは処刑を免れたが衰弱死を望まれ、非道な養父に預けられそうになるところを、機械整備工ミハエル・アルバスに拾われ、名前を隠して生きることになる。名をカルエルと変えたカールは、ミハエルの娘ノエル、マヌエルを姉とし、同年のアリエルを妹として健やかに生きる。…ニナへの復讐を胸に。
十四歳になったカルエルは、自宅に現政権からの密使を迎える。革命からの揺り戻しにより王政復古を望む勢力の傀儡となることを避けるため、カルエルに国外への出奔を促しに来たのだ。彼らは、ちょうど実行局面に来ていた、大瀑布の果てを探す計画、イスラ計画への参加を提案する。イスラは空中に浮遊する巨大な島であり、そこにはカルエルが目指す飛空士となるための学校も併設される。アリエルの渡航費用も出すという条件で参加したカルエルは、その島にニナ・ヴィエントが乗り込むことを知るのだった。
プライドが高くて負けず嫌い、順応性は高いがピンチには弱いというカルエルと冒険好きで屈託のないアリエルのやり取りや、養父ミハエルの背中がとても格好よい。作者はもしかすると、一度敗北した男が立ち直っていく過程を描くのが好きなのかも知れない。
今回は世界観と時代背景の説明と、出会いに終始しているので、展開は次巻以降になる。
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レヴィアタンの恋人 (4)
- 荒廃する世界と隆盛する学問は両立できるか
- 評価:☆☆☆☆★
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この本の半分は夫婦漫才で出来ています。そんな感じの第四巻。もちろん、あらすじに書いてある姫路軍の戦争も描かれていますけれど。
内容を一語で表すとすると、陳腐だけれども、「変化」になるのかもしれません。これはユーキやタケルの心情の変化でもありますし、世界を支配するルールの変化でもあります。そして最後に、もう一つ大きな変化が…。でも、これらの変化を起こさせているのが、変化しないタマであったり、美歌子であったりするのが何か皮肉です。
ビジュアルかを前提として描いているような戦闘シーンと、掛け合い漫才のような会話。そういう、受けを狙っているような作風とは裏腹に、物語の世界観をしっかりと描こうとしている意思も感じられる作品。いやあ、三日で出来る芋があったら、世界の食糧問題は一挙に解決する気がするなあ。
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