サクラダリセット (5) ONE HAND EDEN(河野裕)の書評/レビュー


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サクラダリセット (5) ONE HAND EDEN

敗れてもなお救いはある
評価:☆☆☆☆☆
 人間に様々な能力が宿る街・咲良田で、浅井ケイは2年前に事故死した友人・相麻菫を再生した。彼女自身が仕組んだ出会いに導かれるように、様々な能力を重ね合わせて。そんな相麻菫には、まだ浅井ケイにも言えない望みがひとつあるらしい。
 そんな彼女の思惑とは別に、浅井ケイにも実現したい未来がある。それは、再生した相麻菫を普通の女の子に戻すこと。つまり、咲良田の外に出し、能力に関する全てを忘れさせ、両親との暮らしを取り戻させることだ。その実現性を問うために、ケイは夢の世界で実験をすることにする。

 夢の世界とは、片桐穂乃歌という目覚めない女性が作り上げた、どんな願いも簡単に叶う世界。でもただひとつ、願いを叶える神様自身の本当の願いは、絶対に叶わない。そして、それを叶えてあげようという人は、夢の世界にはいない。
 一方、夢の世界に入った浅井ケイ、春埼美空、野ノ尾盛夏は、過去に失ったもの、あるいは失わせたものをそこに見つける。しかしそれは夢の中で叶ったとしても、現実に戻る彼らには何の意味もないものだ。

 理想を言うならば、現実の世界で夢を実現するのがよい。だが、やり直しのできない現実に打ち負かされた者はどこへ行けば良いのか。ひとつの結論が夢の世界だ。
 しかしここに、別の結論を求めようとする者たちがいる。彼らは何を望み、何を成そうというのか。ここから始まるのは、そういう物語なのだろうと思う。

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