ご主人様は山猫姫 (4) 辺境若輩英雄編(鷹見一幸)の書評/レビュー


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ご主人様は山猫姫 (4) 辺境若輩英雄編

戦争の最中にも日常はある
評価:☆☆☆☆★
 晴凛率いる侘瑠徒の一党に良い様にされてきた帝国軍の反撃が始まる。これまでは官僚組織から独立していた帝国軍に影響力を及ぼすため、帝国官僚のトップである苑山燕鳳は、皇伏龍の同門である沢樹延銘を全軍指揮官として送り込む。
 周囲の人間の心情を全く慮ることのない歪んだ性格はともかく、有能であることは間違いない沢樹の適切な処置により、挙兵以来初めての敗北を味わう皇伏龍だが、そのまま敗走すれば侘瑠徒の民は皆殺しにされてしまう。大軍に寡兵が立ち向かうための、ちまちま嫌がらせ作戦が始まる。

 戦乱の只中にあっても普段の生活を忘れない侘瑠徒の人々の姿と、腐敗したシステムの現状を理解しながらも、自らの職分で為すべきことをするしかない帝国の人々の姿がある。生き残るための唯一の選択をした人々と、消極的同意と妥協の産物によるしかない人々の争う様は、止めよう・変えようと思ってもなすすべも無い大組織の恐ろしさを感じさせてくれるだろう。
 こういう組織論的なお話とは別に、戦争の中でも商魂たくましい人々の姿や、晴凛とミーネ姫のいつも通りのやりとりなど、日常シーンも健在です。

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