三雲岳斗作品の書評/レビュー

項目 内容
氏名 三雲 岳斗 (みくも がくと)
主要な著作

 三雲岳斗さんの作品の書評/レビューを掲載しています。

ストライク・ザ・ブラッド (17) 折れた聖槍

評価:☆☆☆☆★


密偵手嶋眞十郎 幻視ロマネスク

評価:☆☆☆☆★


ストライク・ザ・ブラッド (16) 陽炎の聖騎士

評価:☆☆☆☆★


ストライク・ザ・ブラッド (15) 真祖大戦

評価:☆☆☆☆★


ストライク・ザ・ブラッド (14) 黄金の日々

評価:☆☆☆☆★


ストライク・ザ・ブラッド (13) タルタロスの薔薇

閉鎖された島で
評価:☆☆☆☆★
 絃神島の補給線が何者かの結界によって封鎖された。さらには、人工島管理公社の上級理事たちが次々に暗殺されていく。それをなす集団、タルタロス・ラプスの目的とは?
 また一人、吸血のヒロインが誕生する。

ストライク・ザ・ブラッド (12) 咎神の騎士

始祖の呪い
評価:☆☆☆☆★
 閑古詠の足止めを振り切り、海へと沈んだはずの暁古城と姫柊雪菜は、アルデアル公の客船に救助され、温泉宿の布団の上で目を覚ました。そしてメイド隊のサポートを受け、暁凪沙がいるはずの神縄湖を目指す。
 その神縄湖では、湖底に封印されていると伝えられる黒殻の再封印のため、凪沙の体内に封印されている三番目のアヴローラの魂を使う儀式が執り行われようとしていた。それを主導するのは、彼女の祖母である暁緋紗乃と、その知人であり三聖の一人である闇白奈だ。陸上自衛隊の攻魔部隊の協力を得て、それは順調に進んでいるかに見えた。しかし…。

 一方、藍羽浅葱は、戦車乗りリディアーヌ・ディディエと共に神縄湖を目指す道中、第二真祖滅びの瞳(フォーゲイザー)直系のブリスベール・アズィーズの知己を得る。

ストライク・ザ・ブラッド (11) 逃亡の第四真祖

まだ逃げてない
評価:☆☆☆☆★
 暁牙城と共に実家に戻ったはずの暁凪沙から連絡が途絶えた。何かのトラブルに巻き込まれたらしい。姫柊雪菜が機関に照会しても連絡が取れず、暁古城の不安は募っていく。
 藍羽浅葱や矢瀬基樹との正月イベントをこなしつつも心ここにあらずの暁古城の前に、太史局の攻魔官である妃崎霧葉が現れ情報をもたらす。それを聞いた暁古城は島を出ようとするのだが、その前に立ちふさがったのは南宮那月だった。

ストライク・ザ・ブラッド (10) 冥き神王の花嫁

邪神の花嫁
評価:☆☆☆☆★
 暁凪沙が父親と共に祖母のもとへ帰省することになったため、暁古城は何故か姫柊雪菜に食事を作ってもらうことになった。そこに、アルデアル公爵ディミトリエ・ヴァトラーから宅配便が届く。その荷物の中には、少女が一人、眠っていた。
 目覚めた少女はアルデアル公の名前を呼び暁古城に抱きつくものの、人違いと分かり大騒ぎになる。そこに、叶瀬夏音とニーナ・アデラートが訪れ、錬金術によってようやく意思疎通がとれるようになった。

 弦神島に不在のアルデアル公が戻るまでの間、その少女、セレスタ・シアーテを保護することにした暁古城だったが、そこをアメリカ連合国陸軍特殊部隊中隊長アンジェリカ・ハーミダらが襲撃する。この襲撃には、遠く中南米で起きている、第三真祖《混沌の皇女》ジャーダ・クルルカンが支配する混沌界域での内乱が関係していた。

ストライク・ザ・ブラッド (9) 黒の剣巫

小さなヒロイン
評価:☆☆☆☆☆
 獅子王機関の《三聖》閑古詠に使嗾された《過適応者》矢瀬基樹の手引きで、暁古城や暁凪沙、《剣巫》姫柊雪菜と《電子の女帝》藍羽浅葱は、リゾートとして開発された増設人工島ブルーエリジアムにやってきていた。
 水着を選んでリゾート気分を期待する一行だったが、結局は、アルバイトでこき使われることになる。そしてそこで暁古城は、江口結瞳という女子小学生に出会う。

 一方、《舞威媛》煌坂紗矢華は、リゾートを開発する企業クスキエリゼの施設に監禁されている夢魔の江口結瞳を救出するために潜入した施設で、太史局の攻魔官《六刃》妃崎霧葉の襲撃を受ける。

 女子中学生では飽き足らず、女子小学生を出すことにしたんですね…。あと、今回のヒロインの名前は、きっと、夢魔=エロ=江口の連想でしょう。

ストライク・ザ・ブラッド (8) 愚者と暴君

第四真祖の誕生
評価:☆☆☆☆☆
 第三真祖《混沌の皇女》ジャーダ・クルルカンの襲撃を辛くも潜り抜けた暁古城だったが、気付くと《電子の女帝》藍羽浅葱と共に拷問部屋で拘束されていた。拘束したのは《剣巫》姫柊雪菜だ。
 嫉妬に狂った雪菜が二人を拷問しようというわけではなく、《空隙の魔女》南宮那月の力を使って第四真祖誕生時の記憶を取り戻そうというのだ。

 暁牙城に呼ばれて向かった地中海のゴゾ島で暁凪沙と暁古城が十二番目の焔光の夜伯アヴローラ・フロレスティーナ復活にまつわる事件で命を落としかけてから三年が過ぎた。そんな頃、MARの暁深森の前に、亡くなったリアナ・カルアナの妹のヴェルディアナ・カルアナが現れ、十二番目の焔光の夜伯の復活に手を貸して欲しいと告げる。
 一方、《宴》を開催することを望むネラプシ暫定自治政府バルタザール・ザハリアスは、獅子王機関の閑古詠を通じて、第一真祖の名代のディミトリエ・ヴァトラーや、第二真祖の直系であるイブリスベール・アズィーズ王子殿下に、十二番目の復活を告げるのだった。

 なぜ、第四真祖の力は暁古城に宿ったのか。その秘密が明かされる。

 大分、分量を削ったらしいので、登場人物たちの関係が唐突に感じられる部分もあった。特に《過適応者》矢瀬基樹とか。

ストライク・ザ・ブラッド (7) 焔光の夜伯

蘇る記憶
評価:☆☆☆☆★
 四年前のこと。暁凪沙と暁古城は、父親にして考古学者の暁牙城に呼ばれ、地中海のゴゾ島へとやって来ていた。そこで彼らは、戦王領域の貴族であるリアナ・カルアナと引き合わされる。彼らは第四真祖、十二番目の焔光の夜伯の遺跡を発掘していた。そこを、黒死皇派のゴラン・ハザーロフらに襲撃される。
 そして現在。暁凪沙が体調を崩し、母親の暁深森が務めるMARへと搬送された。時を同じくして、アルデアル公爵ディミトリエ・ヴァトラーがアヴローラ・フロレスティーナの姿をした真祖に襲撃されて姿を消す。さらには、《空隙の魔女》南宮那月の牢獄から脱獄した絃神冥駕が、《剣巫》姫柊雪菜や《電子の女帝》藍羽浅葱の前に姿を現し、藍羽浅葱をカインの巫女と呼ぶのだった。

 一年前のこと。《過適応者》矢瀬基樹は異母兄から暁古城の監視を命ぜられる。

 時間軸上の異なるポイントの出来事が、焔光の宴というキーワードでつながっていく。藍羽浅葱にも暁古城や姫柊雪菜の秘密が明かされ、暁古城は暁凪沙とアヴローラ・フロレスティーナの間に起きた出来事を思い出した。いよいよ、第四真祖の秘密の核心へと物語は迫っていく。

ストライク・ザ・ブラッド (6) 錬金術師の帰還

寸止めの女帝
評価:☆☆☆☆☆
 妹の暁凪沙や《剣巫》姫柊雪菜、《模造天使》叶瀬夏音が通う中等部は、もうすぐ本土への宿泊研修で絃神市をしばらく留守にする。獅子王機関の幹部・縁堂縁の配慮で、その間は吸血鬼の第四真祖の監視任務が解かれ、代わりに《舞威媛》煌坂紗矢華の姿をしたメイド式神がその任に当たる予定だ。厳しい監視から解き放たれて、暁古城も少し息抜きが出来そうだ。
 暁古城がしばらくの間、一人暮らしになる。それを知った《電子の女帝》藍羽浅葱は、口先では憎まれ口を叩きながらも、隙あらば手料理を振る舞おうと料理の特訓に励み出す。ところが、錬金術師ニーナ・アデラードの弟子を名乗る天塚汞が、賢者の霊血(ワイズマン・ブラッド)を求めてやって来たことで、彼女にも災難が降りかかることになるのだった。

 天塚汞を排除するために、攻魔官《空隙の魔女》南宮那月や《過適応者》矢瀬基樹が暗躍する中、その魔手は叶瀬夏音に迫っていく。妹の身を案じるアルディギア王国の第一王女ラ・フォリア・リハヴァインは…。

 今回はハーレムの人員は増えなかった模様。もっとも、藍羽浅葱に対する寸止め感は益々拍車がかかっているけれどね。

サイハテの聖衣(シュラウド) (2)

意外な上司
評価:☆☆★★★
 人類領域を侵略する禍憑妃を排除する民間軍事会社のひとつが極東自衛機構赤間ヶ関事業所である。そこに所属する獣装巫兵は、聖衣(シュラウド)をまとういたいけな少女たちだ。元救国の英雄ながら現在は自堕落な部隊長である桜狩紗々羅、借金漬け元アイドルの天乃羽々姫、軍事エリートの家系ながらメンタルの弱さが目立つ樛宮鳴々葉、病弱お嬢さまだが逆境に負けない天然系の小揺木音々がそうである。
 そんな彼女たちの部隊に、エヴェレット・ウェルシュ・コーギー・ペンブローク中尉が配属される。初めての後輩と喜ぶ羽々姫だったが、彼は犬だった。

 聖天坂美寿々、聖天坂凛々香という新たな獣装巫兵の少女が登場したりする連作短編4本+α収録されているけれど、今ひとつ面白さを感じない。キャラクター重視の構成過ぎて、ストーリーに目的が見えないんだよなあ。

ストライク・ザ・ブラッド (5) 観測者たちの宴

覆い隠される真の目的
評価:☆☆☆☆☆
 波朧院フェスティバルに合わせてやってきた幼なじみの仙都木優麻は魔女だった。彼女は吸血鬼の第四真祖である暁古城の肉体と入れ替わると、その魔力を使って攻魔官《空隙の魔女》南宮那月の監獄結界を破り、母親である仙都木阿夜とその他の魔導犯罪者を開放してしまう。
 仙都木阿夜は南宮那月から記憶と経験を奪い、仙都木優麻から守護者を奪うと、魔導犯罪者たちに幼くなった南宮那月の追跡をまかせ、どこかへと消え去ってしまう。その頃、南宮那月は《電子の女帝》藍羽浅葱を母親だと誤認し、彼女に保護されていた。

 南宮那月の保護を申し出た戦闘狂の「戦王領域」アルデアル公爵ディミトリエ・ヴァトラーの気まぐれで、暁古城と藍羽浅葱は彼の所有するクルーザーの招待される。そこで暁古城は、ヴァトラーの思惑の入り混じった歓待をうけるのだった。

 藍羽浅葱は寸止めが多いなあ。彼女の立ち位置は、大概、報われない結果に終わっちゃうんだよな。憐れ過ぎる。古城の母親である暁深森や、先々敵になりそうな絃神冥駕という存在も登場し、かつ、今回も順調に吸血犠牲者を生んでいます。

幻獣坐 (2) The Ice Edge

もうひとりの幻獣坐
評価:☆☆☆☆☆
 父親である深神将義を、日本を財政破綻から救った鷲王院により殺された久瀬冬弥は、藤宮優々希という、言葉で人を燃やし殺す幻獣坐の持ち主と出会い、復讐の道を歩み始めた。優々希は、冬弥が加賀季璃衣ら、複数の女性と関わりがあることを薄々感じながら、しかし、彼によって心を支えられているため、彼から離れることはできない。
 そんなとき、精密爆弾魔として世界的に有名なテロリストの楠井刻仁が彩吹市にやってくる。幻獣坐の力で姉の優香理のような犠牲を少しでも減らしたい優々希は、冬弥の指示の下、爆破の阻止に動きだす。その現場で彼女は、人を触れるだけで凍らせる幻獣坐の少女、椎堂憂奈と出会うのだった。

 大学准教授の清水克彦からの情報で、幻獣坐の情報が歴史的に何者かの手によって秘匿されてきたことを確信した冬弥は、かつて憂奈が人体実験されていた研究室、バードゲージに興味を持つ。
 そんなある日、父の学生であり、今はヴァイオリニストの篠田セレナとの交際が噂される彩吹市長の河原田保彦の秘書を務める眞崎亨が、彼の前に現れるのだった。

 とりあえず続編が出て良かった。前巻よりも幾分マイルドに、主人公である冬弥よりも悪どい敵が登場することもあり、相対的に彼のスタイルが認めやすい構成になっている気がする。売り続けるためにはそれなりの工夫もいるのだろう。

ストライク・ザ・ブラッド (4) 蒼き魔女の迷宮

幼なじみは魔女でした
評価:☆☆☆☆★
 魔族と人間が共存する人工島「絃神市」に移り住んだ暁古城は、吸血鬼の第四真祖となり、それを監視する獅子王機関《剣巫》姫柊雪菜や《舞威媛》煌坂紗矢華、アルディギア王国の第一王女ラ・フォリア・リハヴァインや攻魔官《空隙の魔女》南宮那月、ホムンクルスのアスタルテらと知り合うことで戦いに巻き込まれたり、《電子の女帝》藍羽浅葱や《模造天使》叶瀬夏音、妹の暁凪沙らとラブコメをしたり、無自覚ながらも恵まれた環境に置かれていた。その無自覚さは、《過適応者》矢瀬基樹や「戦王領域」アルデアル公爵ディミトリエ・ヴァトラーらの利用する所でもある。

 そんな絃神市で開催される波朧院フェスティバルに合わせて、幼なじみの仙都木優麻が遊びにやってくる。古城の旧友と聞いて少年を想定していた姫柊雪菜や藍羽浅葱は、何やら騙された気分だ。みんなでフェスティバル前夜の街の喧騒を楽しんでいたところ、奇妙な事態に巻き込まれる。魔力の強い人物の周辺で空間がゆがみ、自分の家のバスの扉を開けると、余所のバスの中につながったりする自称が発生してしまったのだ。
 一方、絃神市には、魔女たちの組織である通称図書館から、かつて絃神市に災厄をもたらした魔女たちが襲撃を仕掛けてくる。その目的とは…。

 ばっちりと次巻へ続く構成になってしまっている。そして起こるのは、ラブコメの定番ともいえる現象な訳だが、その恩恵を得られる場面は非常に少ない。なぜなら深刻なバトルがその裏で進行して言うからだ。
 主人公なのにちっとも活躍する局面がなく終わってしまった今巻だが、そのフラストレーションを発散すべく、色々と次巻では活躍してくれることだろう。

 今回はさりげなく、本人の気づかぬところで藍羽浅葱がアピールしていた。

ストライク・ザ・ブラッド (3) 天使炎上

すれ違う幸せのかたち
評価:☆☆☆☆☆
 魔族と人間が共存する人工島・絃神市に住む高校生にして世界最強の第四真祖を継承した暁古城は、治安組織である獅子王機関の剣巫・姫柊雪菜の監視を受けながらも、高校生活を満喫していた。
 クラスメイトにして電子の女帝と尊称されるハッカーの藍羽浅葱から告白じみた行為を受け、彼女の想いにどう応えるか悩んだり、雪菜と同じ獅子王機関の舞威媛・煌坂紗矢華から夜中に意味のない電話を毎日受けたり、妹の暁凪沙が告白されたと思って暴走したり、凪沙の友人である叶瀬夏音の拾った仔猫たちの里親探しに協力したり…。

 しかし、《過適応者》矢瀬基樹が依頼した仕事と、戦王領域のアルデアル公爵ディミトリエ・ヴァトラーの示唆により、担任にして攻魔官《空隙の魔女》南宮那月とホムンクルスのアスタルテが古城を巻き込み、“仮面憑き”という破壊活動を繰り返す存在の阻止に向かったことで、彼はアルディギア王国の第一王女ラ・フォリア・リハヴァインと知り合うことになる。

 はい、というわけで、今回も眷獣を従わせるための血液を提供してくれるヒロインが登場する。日常では優柔不断なのに、戦場では結構簡単に奪う古城は、やっぱり血に酔っているのかな。そしてその姿を見て嫉妬する既存ヒロインたちの嫉妬もお約束。
 また、前巻でかなり積極的にアプローチした浅葱も、コスプレしたりして頑張る。古城もまんざらではない模様。…そのうち刺されるんじゃないかな?

サイハテの聖衣

際どいよ、衣装が
評価:☆☆☆☆★
 突如世界に出現した禍憑妃は、人類の領域を侵略して行った。九州を彼らに占領された日本の最前線にあるのが、極東自衛機構赤間ヶ関事業所だ。PMCの一種である極東自衛機構には、獣装巫兵というマガツヒに対抗するための戦闘社員がいる。
 彼女たちは、マガツヒの力を利用するための強化服・聖衣(シュラウド)を装着し、戦う。ただし、基本的に傭兵なので、聖衣の力を使うのにもコストがかかるので、収支を考えてマガツヒと戦わないといけない。

 赤間ヶ関事業所の第一巫兵部隊には、4人の獣装巫兵が所属している。かつての所属事務所の借金を被せられた元アイドルの天乃羽々姫。救国の英雄とまで呼ばれた元軍人で、いまは自堕落な部隊長である桜狩紗々羅。軍事エリートの家系に生まれたものの、メンタルの弱さが目立つ樛宮鳴々葉。病弱お嬢さまだけれど逆境に負けない天然系の小揺木音々。
 彼らは、戦時にあってもちろん敵と戦うけれども、基地では普通の少女たちのように、ときにまったりと、ときにイタズラ娘のように、戦時下の日常を楽しんでいる。この物語は、そんな彼女たちの日常を、それぞれのキャラにスポットを当てつつ描いている。

ストライク・ザ・ブラッド (2) 戦王の使者

私のことも無視しないでよね!
評価:☆☆☆☆★
 魔族と人間が共存する人工島・絃神市に住む高校生、暁古城は、第四真祖と称される世界最強の吸血鬼となった。それを咎めた治安組織・獅子王機関の剣巫である姫柊雪菜は、彼の監視役として絃神市に派遣されてきた。
 そこまでは普通だったのだが、戦いの渦中、第四真祖の眷獣を制御する必要に駆られた暁古城は、姫柊雪菜の血を媒介とするために、彼女に吸血行為に及ぶことになった。

 その結果として、彼と同じ学園の中等部に転入し、何やら曰くありげに関わることになったことに対し、暁古城の幼なじみであり、電子の女帝とも呼ばれるハッカーの藍羽浅葱は、その好意を蔑ろにされた気分がして、何やら不機嫌だ。
 そこに加えて今回は、絃神市に外交特使としてやってきた、第一真祖の支配する戦王領域のアルデアル公爵ディミトリエ・ヴァトラーの監視役となった、雪菜の姉的存在である舞威媛・煌坂紗矢華が関わってくる事で、彼の日常はさらにややこしくなる。

 空隙の魔女にして担任の南宮那月や人工生命体・アスタルテが追うテロリストにして黒死皇派の残党、クリストフ・ガルドシュは、巡り巡って、暁古城に、そして藍羽浅葱に関わってくる。彼らは日常を非日常の手から守ることが出来るのか?

 基本的に、絃神市の中での学園ラブコメと異能バトルという基本は変わらず、その敵が少し強大になったと言うところ。それに合わせて味方の戦力も増大するわけだが、その増大の仕方は当初の予定通り。つまり、美少女に性衝動を抱いて吸血行為に及ぶと言う流れなわけだ。
 しかしこの調子で仲間を増やしていけば、12の眷獣を制御する頃には、今の状況すら掌握できていない暁古城は、修羅場の真っ只中で憤死することはほぼ確実なわけで、どこかで上手いこと流れを変えなければならないのではないだろうか?

 個人的には作者の得意分野だと思う異能系の設定の深さで勝負して欲しく、ラブコメは変なハーレム展開にはしないで欲しいと思う。多分それをやると、暁古城が疲れ死ぬか、姫柊雪菜が爆発するだろう。

ダンタリアンの書架 (8)

アンコールと新たな幻書
評価:☆☆☆☆☆
第一話「王の幻書」 Episode 27: The Final Destination

 新聞王ラザルス・ゴールディンの依頼で、ヘンリー・ギャヴィストン博士が残したサラハルファ手稿を持参し、アフリカへとやってきた鍵守ヒュー・アンソニー・ディスワード卿と黒の読姫ダンタリアンの前に、焚書官ハル・カムホートと銀の読姫フランベルジュが現れる。
 アフリカ大陸にあるという幻書の墓場の正体とは…?


第二話「最後の書」 Episode 28: The Collector

 ヒューイの家にやってきたカミラがダリアンのお土産に携えて来たのは、おまけの本の付いたクッキーだ。それにはまったダリアンは、全巻をそろえるために、クッキーの買い占めに走る!それは幻書の魔力が起こす現象か、はたまた…。


第三話「永き黄昏のヴィネット」 Episode 29: La chateau de Grand Guignol

 アスキス侯爵邸における、屋敷に隠された幻書を探す年一回のパーティに招待されたヒューイとダリアン。そのパーティには、幻書を盗むという怪盗ミスリルからの予告状も送られて来ていた。
 パーティに集まる怪しい人物たち。なぜ彼らは貴族のパーティに参加できているのか。その秘密は屋敷の地下で明らかになる!


 相変わらずのダリアンとヒューイ。第一話は焚書官と遭遇するところがいつもと少し違うし、第二話は本当におまけという感じで雰囲気が異なる。
 第三話の中編は、これまで登場してきた人物や怪しい人物、ヒューイの昔の知り合いなどが加わり、本編らしい展開になっている。

ストライク・ザ・ブラッド (1) 聖者の右腕

強大な力に群がるものたち
評価:☆☆☆☆★
 東京から南へ330kmの海上につくられた人工島、絃神島は魔族特区と呼ばれ、本物の獣人や吸血鬼たちを実験台として、様々な研究が行われている。その島に暮らす暁古城は、風来坊の母親と出来た妹・凪沙を持つ普通の高校生だった。3か月前までは。

 3か月前に第四真祖と呼ばれる、幻の四人目の吸血鬼の真祖としての能力を受け継いだ古城は、本人の自覚のないまま、一人軍隊、天災扱いの存在になっていた。それを監視するため、獅子王機関から剣巫の少女、姫柊雪菜が派遣される。
 手回しの良いことに、古城の隣に引っ越してきた彼女は、どこへ行くにも彼のあとをついて回るのだった。

 そんな生活に慣れ始めて来た頃、彼らの前に欧州ロタリンギアの殲教師ルードルフ・オイスタッハと、ホムンクルスの少女アスタルテが現れる。彼らはある目的を持って吸血鬼狩りをおこなっていたのだ。
 未だ真祖としての力を使いこなせない古城は、彼らの前に手痛い敗北を喫するのだが、彼らの魔手は、古城の友人、藍羽浅葱の元へと迫っていた!


 冒頭あたりは本当に作者の作品かなと疑問に思うくらいの違和感を感じてしまった。何というか、普通の物語にしようとしているというか、いつも感じる欲みたいなものが薄い気がした。でも、後半に近づくに従って、やっぱり作者の作品だなと思いなおした。
 絶大な吸血鬼の力を持ちながら使いこなせない少年と、本人は知らないながらもその供物として差し出された監視者の少女、そして彼らを取り巻く謎の人物たち。その存在が何を意味するかは、いまのところ全く見えてこない。

 しかしこの展開だと、毎回美少女を捕まえて血を吸うというパターンになるんじゃなかろうか?

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ダンタリアンの書架 (7)

今後も続けるつもりですがゆえに
評価:☆☆☆☆☆
第一話「災厄と誘惑」Episode 24: The Grimoire and The Aphrodisiacs
 古代金星文明カスルハウの遺産である魔導書を巡り起こる呪いの解決に、ヒュー・アンソニー・ディスワード卿と黒の読姫ダリアンが駆り出される。魔導書の呪いの真相とは…?
 そして巻き込まれたカミラ・ザウアー・ケインズは、ヒューイにエロく迫る!

断章一「型録」The Facebook
 顔を変えられる幻書の話。

第二話「叡智の書U」Episode 25: W is for Wonderland
 シャーロット・エッジカンプは、手に入れた叡智の書を使い気象操作の機関を発明する。その可能性に目を付けた軍は、参事官を派遣するのだが、その人物はヒューイにも関係する人物だった。  そして、シャーロットが機関を発明する本当の目的とは?

第三話「少女たちの長い夜」Episode 26: The Countdown
 カドフィール校に持ちこまれた幻書三冊のうち、一冊が誰とも知らぬ人に貸し出されてしまう。そのことに気づいたダリアンとジェシカ・エルフィンストンは、幻書を取り戻すために奔走する。ヒューイ不在の彼女たちに、幻書を取り戻すことはできるのか?
 おねしょする女子中高生が、事件解決のカギ!

断章二「模倣の書」The Emulator
 人の内面が分かる幻書の話。

第四話「鍵守」Episode FINAL: The Keeper Of The Key
 ディスワード子爵家の末裔、アントワネットは、庭先で傷ついた黒ずくめの少女ダリアンと出会う。鍵守誕生秘話。
 作者が好んで使う手法が使われている。


 今巻にはヒューイのあらたな肉親たちが複数登場する。一応、連載掲載分は収録完了で、今後はコツコツ書いていく予定らしい。

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ダンタリアンの書架 (6)

理想のまま留めたい願望
評価:☆☆☆☆☆
 黒の読姫ダリアンとその鍵守ヒュー・アンソニー・ディスワードの幻書探しの活動を描く短編連作集の第6弾。今回は「雛形の書」「棺の書」「人化の書」「楽園」と断章「働く男」「本当の私」を収録している。
 「雛形の書」はカミラ・ザウアー・ケインズの兄レオン・キム・ケインズが初登場し、彼を狙う不死身の暗殺者とヒューイたちとの対決が描かれる。また「棺の書」では愛する人が死ぬことを認められない哀しさが感じられる。「人化の書」と「楽園」は同じ時間・場所でニアミスした黒の読姫と、壊れた読姫フランベルジュと焚書官ハルたちが出会った、海魔にまつわる2冊の幻書についての物語がそれぞれ描かれる。ふだんと違うちょとしたことがなければ、ニアミスでは済まなかっただろうけど。
 全体的に、理想のままで状態を留めたいという願望が色濃く出ているエピソードが多い巻だといえると思う。

 ダリアンとヒューイ、その他の登場人物の関係性が定着してきたので、安定した面白さがある。イラストのダリアンが回を追うごとに幼くなっている気はするけれど…。
 基本的な流れとして、幻書に関わる人はそのまま亡くなることが多いけれど、今回はちょっと違うパターンもあり、既知の人物が多く登場しているし、もしかすると再登場することもあるのかもというキャラクターも何人か登場している。例えば、ルクレース・ラングなどはそうかもしれない。ところで、今回は奇矯な学者の登場頻度が多くないですか?

 連載の短編ばかりではなく、たまには長編もあっても良いかもと思う。サブキャラのスピンオフみたいなものがあっても面白いかもしれない。

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ダンタリアンの書架 (5)

出番再び
評価:☆☆☆☆★
 カミラやジェシカが登場する短編が1本ずつ、猫とダリアンのお話、そして紅の読姫&教授にヒューイとダリアンが遭遇するお話と、断章が3本という構成になっている。これまでに登場した人物たちが再登場する話の割合が多いことと、時間軸に関するストーリーが多いことが特徴だと思う。つまり、未来の出来事や過去の歴史が現在と関わってくるようなストーリー。
 短編集なので、基本的に一話ずつ完結していくわけだが、ダリアン以外の読姫が本編に登場したことによって、全体としての物語も少しずつ前に進んでいる気がする。

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幻獣坐 The Scarlet Sinner

弱さを支える心の柱
評価:☆☆☆☆★
 久瀬冬弥は、自殺した同級生内田未歩の葬儀の席上で、赤髪碧眼の少女藤宮優々希に呼び止められる。未歩の親友だった優々希は、自殺の原因が冬弥にふられたことにあると思い込み、詰問するために呼び止めたのだった。
 冬弥の話を聞き思い込みが誤解だと理解した優々希は、未歩の自殺の原因を探るという冬弥に協力を申し出る。冬弥には、他人を利用してでも追い詰めたい敵がいた。日本を経済的に支配する鷲王院の一族たち。彼らの一人が事件に関わっているという予感が冬弥にはあったのだ。

 優々希は自覚のないまま囮となり、事件の首謀者の毒牙にかかろうとした瞬間、誰も予想しなかった事態が生じる。彼女には、祖母から受け継いた幻獣を扱う力があった。
 犯人たちを殺してしまった自責の念に悩む優々希に対し、冬弥はその力によってしか裁けない悪が存在していることを説く。呪われた自分の力を恐れる優々希は、そんな自分を受け入れてくれる冬弥の言葉に慰められ、いったんは落ち着きを取り戻す。しかしそこに、新たな幻獣による事件が起こる。それは明らかに、彼女の幻獣を意識した模倣事件だった。

 おそらくは私怨を晴らすため、他人を利用することを厭わずに目的を果たすために行動する冬弥と、自らの力に悩み恐れながらも、自分の存在を許容してくれる冬弥へ淡い好意を抱き行動を共にする優々希の、二人の視点を交互に挟みながら物語は進行する。一緒にいながらも互いが互いに秘密を抱えていて、しかし目的のために離れられない。
 超能力による不可能犯罪を利用した私刑にして復讐劇であり、人間の弱さと強さを描いた作品。多くの謎が残されたままなので、続編があればそこで明かされるのだろう。

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アスラクライン (14) The Lost Files

回想録の様な、序章の様な
評価:☆☆☆☆☆
 夏目智春と水無神操緒がみんなの前から姿を消したあと、智春の義妹の苑宮和葉が洛芦和高校に入学してくるところから話は始まる。智春たちの現在の状況と同時に、和葉が学校で智春を知る人々と出会う短編と、彼らと智春たちとの思い出が語られる短編が、ミルフィーユみたいに交互に重なりあっている。
 前巻のラストでは、まだまだ続くかも、と思ったけれど、これを読んでいくと、ああやっぱり終わるんだなあ、とだんだん思えてくる。

 そんな風にしんみりと思い出に浸る気分でいたら、すごい昔のあったかもよく覚えていない様な伏線が回収されたりして、また新たな物語が始まりそうな展開になってくる。いずれこの先の物語が語られることはあるのだろうか。

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ダンタリアンの書架 (4)

着々と物語が積み上がっていく
評価:☆☆☆☆★
 今回はカミラとダリアンのからみは無いけれど、代わりにジェシカという少女が準レギュラー候補として登場する。収録内容は以下の通り。

第一話「間隙の書」:寄宿女子学校に潜んだ殺人鬼の話。ジェシカが登場。
第二話「幻曲」:幻のヴァイオリン・ソナタの楽譜と、演奏者と楽器職人の物語。
第三話「連理の書」:理想の相手を見つけるという、雌雄一対の幻書。
断章一「催眠の書」:ヒューイらしき青年が登場。
第四話「調香師」:天才調香師と、彼女が作り出した香水に関する話。
断章二「屋敷要請の受難」:読姫や焚書官など幻書に関わる様々な人物が登場。
第五話「幻書泥棒」:城館に届けられた犯行予告と大量虐殺の関係。焚書官と銀の読姫が登場。

 一話と三話は比較的テンションが高めの作品で、二話と四話はしっとりとした感じの作品。五話では読姫クラスに対抗できる幻書の使い手が登場する。全体のストーリー的な進展はあまり無いかも知れない。
 物語の中核にあるのは、幻書という人に異能を授ける本だけれど、描き方としてはその本に振り回される人間の姿が中心となっている。だから、人間のドロッとした部分が重要なポイントになると思う。だが、短編の場合は分量に限りがあるから、ヒューイたちが関わるのは色々と紆余曲折を経た上での結果のみである場合が多く、少し物足りないなと感じる場合も時にはある。
 この点と、ストーリー的な進展を促すために、このあたりで長編が刊行されれば良いなあ、と思う次第です。

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アスラクライン (13) さくらさくら

1巻に戻ったみたいな印象を受ける
評価:☆☆☆☆★
 読み終わって最初の感想は、これで完結なんだっけ?それともまだ続くの?という、不思議な感覚。短編とか後日談はあるらしいけれど、一応完結したらしい。本当にクライン・ボトルみたいな終わり方だった。以前にチョロっと登場したキャラが、結構重要な役回りだったことも分かったし。
 一巡目の世界から二巡目の世界に戻ってきてからは一気に休む間もない展開、なんだけれど、世界に非在化を脇に置いておいてクリスマス・パーティの劇に打ち込んだり、かがやき(火玄)塔貴也の儀式を邪魔するのに樋口のキャラクターが役立ったり、最後までシリアスとコミカルが詰め込まれた作品だった。上手く調和していたかは判断の分かれるところだけれど。
 今後の続き方によるけれど、ギトギトドロドロの動機で世界を巻き込んだにしては、意外にあっさりと幕が引かれたなあ、という感じでした。

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ダンタリアンの書架 (3)

セオリーを捻じ曲げてしまえる力
評価:☆☆☆☆★
 世の中の出来事すべてが自分の思い通りになるなんて、都合の良いことは滅多に起きない。
 選挙に出馬した人が全員当選するわけではないし、新たなお金持ちが生まれる以上に多くの貧乏人が誕生する。それに、自分が好きだからといって相手も好きになってくれるわけではない。そういった、自分の願望と他人の認識のずれと上手く付き合うのが、社会で生きるためのセオリーなのだと思う。
 しかし、幻書という、人間に人間を超越した能力を与える本の存在は、そんなセオリーを全く無視できるようにしてしまう。自分の能力を上げようとか、センスを磨こうとか、自分を良い方向に変えるための努力をしなくても、他人を自分に合わせて変えることができてしまうからだ。今回は、そんな自分に都合の良い世界を望む幻書の読み手が多く登場する。

 罵倒するダリアンとそれをいなすヒューイ。ピンチになっても何となく切り抜けてしまう冒険。そういった変わらないものもありつつ、最終章では黒と銀の読姫が邂逅するという新たな展開もみられる。

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アスラクライン (12) 世界崩壊カウントダウン

利益相反する命題とブレークスルー
評価:☆☆☆☆★
 二巡目の世界の夏目智春は、一巡目の世界でこれまで出会ってきた人々に巡り会う。元の世界では悪魔だったり、副葬処女だったり、敵対していた人々も、自分の知っている姿とは少し違っていたけれど、本来あるべき姿で生きていた。そして、世界が滅びゆく形も知る。
 Aを生かそうとすればBは死ぬ。Bを救おうとすればAは滅ぶ。そんな利益相反する命題に対して過去に出されてきた解答は、無情だけれど現実的で、どちらかを見捨ててでもどちらかを救おうという行動だった。そのために作られた機巧魔神であったし、行動の結果が二巡目の世界という疎開場所の様な、同一軸線上の別世界を生み出した。
 今回智春が目指そうとするのは、出会った人たちがみんなハッピーになれるような世界。彼の試みが上手くいくかは、覚悟と武器を携えて戻る二巡目の世界での行動次第だろう。

 世界滅亡の原因や、操緒の行方や、嵩月の奇妙な行動の影にある理由とか、意外な人の意外な能力とかが明らかになり、そして本物の夏目直貴が登場する。

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ダンタリアンの書架 (2)

閉じられた世界に開いた窓
評価:☆☆☆☆☆
 第1巻と同様、1話完結形式で物語は進んでいく。「荊姫」「月下美人」「恋人たち」「等価の書」「胎児の書」が"ザ・スニーカー"掲載分で、「必勝法」「ラジエルの書架」が書き下ろし。幻書が人を歪めるのか、人が幻書を歪めるのか、様々なパターンで幻書と人のストーリーが展開されています。
 個人的意見としては、ダリアンの言動をヒューイが上手くあしらえる様になったため、お話のテンポが良くなっている気がする。また、幻書にまつわるシリアス系の話と、カミラの登場するほんわか系の話がバランス良く配置されているので、その落差によってダリアンの心情が伝わってくる。ヒューイに関するストーリーや、幻書の成り立ちや書架の秘密なども織り込まれて、物語が作り込まれてきたと思う。Extra Episodeで語られる物語と、ヒューイ達の物語が、これからリンクすることがあるのかないのか。まだまだ世界は広がりを見せそうです。

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ダンタリアンの書架 (1)

どんな方向に展開させるのか楽しみ
評価:☆☆☆☆★
 この世にあらざるべき力を読み手に与える幻書。この幻書を集めたダンタリアンの書架を管理する黒の読姫ダリアンとその鍵守ヒューイによる、幻書に魅入られた人間の物語。「ザ・スニーカー」に連載された作品を編集しまとめただけでなく、書下ろしとして、焚書官を名乗る幻書にまつわるもう一組も登場しており、まだまだこれからどう展開させるのかというところ。
 全体的に面白いものになりそうな予感はあるし、作者の短編物は好きなのだけれど、何かしっくり来ないものも同時に感じる。色々な設定を組み合わせて、伏線を張り巡らそうとしているのだけれど、一つの世界観としてまとまりきれていないというか…。一話完結で物語を展開させていくためには、絶対的に主人公たちのキャラが立っていないと難しいと思うのだが、いまいちヒューイの腹の底が見えないので感情移入しづらいというか…。
 いづれにせよ、続編が出そうな雰囲気なので、楽しみに待つことにします。

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アスラクライン (11)

裏返しの世界、2Pキャラの活躍?
評価:☆☆☆☆★
 あとがきにもある通り操緒が一度も登場しないので、智春が何をやっても突っ込みなし状態なんだけど、以外にいつもより人間関係に進展なし。
 今回からは一巡目の世界で物語が展開しているので、これまでに紹介されていたけれど、現実には登場していなかった人物も出てきます。結構違和感なく収まっているのは、登場しなかった人物たちのポジションを上手く乗っ取れたからかも知れません。
 アスラ・マキーナ誕生の秘密も明らかになっています。個人的にはCERNやKEKとのカラミにちょっと笑いましたけど。

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アスラクライン (10) 科學部カイメツ

カガクブカイメツ
評価:☆☆☆☆★
 今回はめずらしく新たな登場人物が加わるということはありません。夏目直貴が表に出てきたという以外は。トランプに例えれば、全てのカードが出揃ったということでしょう。
 逆に言うならば、出揃ったカードで物語が回り始めたということ。各カードがそれぞれの思惑に基づいて、クルクル入れ替わっていきます。ポーカーに例えるなら、フルハウスだと思っていたのが、いつの間にかフラッシュに変わっていたような感じ。まあ、こんなことはトランプが二組なければ絶対に起こらないのですけれど。
 あとがきにもあるように、迂闊に何か書くとネタバレになってしまうので、今回は抽象的な感想になってしまいました…

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絶対可憐チルドレン・THE NOVELS~B.A.B.E.L.崩壊~

原作の雰囲気をそのままに、でもオリジナル
評価:☆☆☆☆☆
 コミックのノベライズ成否の基準が原作の雰囲気を壊さないことにあるならば、これはほとんど100点と言っても良いのではないだろうか。キャラクターに妙な色付けをすることもなく、それでいてただ文章にするだけではない深みが付け加えられているように思う。
 超度7クラスと思われるエスパーによる予告テロ事件と、低超度エスパーの集団誘拐事件。冒頭で発生する2つの事件から1つの物語が紡がれていく。作品半ばくらいまでは、原作を忠実にカバーしようとする意識が強すぎて、文章に若干ぎこちなさが見えるような気もするが、後半に進むにつれ、原作のテイストを生かした著者自身の作品になっていく。
 こうやって原作を外側から見ると、兵部少佐や蕾見管理官の老獪さが際立って見えてきますね。皆本二尉に彼らを超えることは出来るのか、なんて思ってしまいます。

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少女ノイズ

もっとこういうの書いてくれないかな
評価:☆☆☆☆★
 短編ミステリーの連作。推理物として新味があったりはしないが、この作者の作品は、筆致抑え目の真面目な短編の方がボクの好みにあっているので結構好き。
 何故か塾の屋上で屍のようにいる天才少女斎宮瞑と、その世話係のバイトをすることになった高須賀克志。それぞれ少し欠けている部分は二人が共に行動することで埋まっていっているのかもしれない。犯罪の動機が自分の生活をより良くするためであることを考えると、それを解決することによって自分の欠落を取り戻しているなら、その構造はちょっと歪んでいる。
 ちなみに、皆瀬梨夏が登場するので、レベリオンやi.d.後の世界なのかもしれないけれど、全く物語的な関連性はない。

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アスラクライン (8) 真夏の夜のナイトメア

訪れるかもしれない一つの結末
評価:☆☆☆★★
 物語的には確実に収束に入っているとは思うのだけれど、今回も新キャラが軸にすえられているため、若干、膨張が続いているように感じることは否めない。この新キャラの方に注意を向けさせられるため、本当は重い話なのだけれど、そのことを全く感じない話になっている気がする。これが良いかどうかは判断が分かれるところだと思う。
 何を選ぶのか、何を切り捨てるのか、目をつぶって見ないふりをするのか、自ら動くのか。そういう状況がすぐ隣に迫っている。自分の知らないところでレールを敷かれていて、その上で選択を迫られている雰囲気があるところが気に食わないけれど…。

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アスラクライン (7) 凍えて眠れ

失われゆくもの
評価:☆☆☆☆★
 出だしはここ最近続いていた軽いノリではじまるにもかかわらず、中盤から少し雰囲気が変わっていく。一見すると佐伯玲子をメインキャラとした学園ラブコメ仕立てなのだけれど、それはあくまで狂言回し。本当の目的は、哀音とその母親にスポットを当てること。操緒の姿を見て少し慰められている母親にちょっとホッとするのに、ラストでその気分は崩される。情景はとっても綺麗なのに、切ない結末。
 物語はようやく転換点を迎えた。じらすように少しずつ智春に明かされていく真実。周りの人間がどうしてそのように動いていたか、その理由を知った時、果たして彼はどの道を選択するのだろうか。

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アスラクライン (5) 洛高アンダーワールド

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
評価:☆☆☆★★
 地下7階以下もある図書館やら、学園地下にあるダンジョン。そして、そこに隠された秘密…。相変わらずハーレム状態のトモハルが追い込まれるように世界の秘密の一端にせまっていく。
 最近の好みなのだろうか。はじめにキーとなるモノを提示して、それを最後に回収するという形式。これだけ見ていると、このネタを知ったからこれを書きたくて物語を書いたんじゃないのかな、とも思う。
 ようやく学園内の役者が登場しきったというところだろうか。第二生徒会の操演者登場。今回はオプションでキャラ立て?ミミとかメガネとか。おまけの短編もそのライン上にあります。

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聖遺の天使

永遠のはざまで
評価:☆☆☆☆★
 永遠。文字通り考えれば、それに期間は存在しないが、人間の認識上、2つの期間に分けられると思う。社会が消えるまでの永遠と個人が死ぬまでの永遠。文化は前者に括られるだろうし、愛は後者に括られるだろう。これは、それぞれの永遠を求める人間たちの物語といえる。
 ミラノとヴェネチアの政治的要所で発生した聖遺物の所有権問題に関係することになったチェチリアは、レオナルドに救援を求める。そこにあったのは、黴臭い城砦と聖遺物が起こした奇蹟とも思える殺人事件。紛失した聖遺物の問題を解決したレオナルドは、この事件の背景にあった事件を明らかにします。
 奇蹟を引き起こし人々の畏敬の念を集めて永遠となった聖遺物と、その舞台でおきた人と人との心のすれ違い。永遠を生み出すのも人間なら、永遠を断ち切るのも人間。悲しい事件の幕切れながら、「白テンを抱く貴婦人」は現在まで残されているという事実に少し癒されます。
 ただ、これを長編として書くのは少し引っ張りすぎかもしれません。もう少し短い方が、強い印象を与えられたのではないかと思います。

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カーマロカ―将門異聞

師弟の出会い
評価:☆☆☆☆★
 平将門と言うのは現代においても異様な人物といっていいだろう。何せ、大手町の一等地に社を構えているのだから。明治以降、移転しようとして災難が降りかかったと言う話に事欠かない。
 歴史は常に勝者のものである。古事記にいう、まつろわぬ神々というのは、体制に従わなかった地方豪族たちだともいう。そういう観点から見れば、怨霊として扱われた将門も、体制に都合の良くなかった人物だったと言うことなのだろう。本作も、そんな視点から描かれている。
 主役は平将門のようだが、実際の主人公は賀茂保憲であり、平貞盛である。それぞれが、将門を認めつつも、それぞれの鬱屈した感情で彼に立ち向かう。その状況を見て、笑っているのは一体誰なのだろうか。
 良作とは思うが、最後だけは納得行かない。あのような展開にするのならば、途中で別の展開にすればよかったはずであり、苦労して陰陽術などに理屈をつけたのに、矛盾した行動と言える気がする。…まあ、楽しく読めたからいいけど。

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旧宮殿にて 15世紀、ミラノ、レオナルドの愉悦

あいまいな関係
評価:☆☆☆☆☆
 巨匠レオナルドとミラノ宰相ルドヴィコ、白テンを抱く貴婦人のモデルチェチリアの交友とその周りで起きる事件を描いた短編集。
 短編集なのだけれど、一つのテーマに基づいて書かれている感がある。ミステリー風に書かれていて、それぞれの作品で事件は完結しているのだけれど、この一本の芯自体が全体での伏線として機能していると思う。掲載順が絶妙。連載を読むよりも、一冊で読んだ方が多分良い。
 読み終わってから、彼らが実在の人物であることを知った。実在の人物と時代背景を基にして作品を書くのは、怖いけれど、奇妙なリアリティがあって面白いと思う。今後もこういう作品、書いてもらえないかなあ。

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アスラクライン (4) 秘密の転校生のヒミツ

交差と反転らしい
評価:☆☆☆☆☆
 操緒が学校への通学を許され困惑する中、智春を更なる災難が襲う。他者の運を奪う悪魔の留学生、大量の下着を盗み続ける泥棒、連続悪魔襲撃事件。本来ならば関わる必要もないはずなのに、何故か騒動のど真ん中!
 ハードSFの手法は、世界に余分な項を追加して、それが生み出す法則の変化によって物語をつくる。だからその影響はその世界に住むどんな人にも現れる。しかし、余分な項を追加しても、それを打ち消す項を追加するならば、局所的にはその影響が現れても、世界としての変更を施す必要はない。だから、騒動の影響を受けない人もいる。これがファンタジーというものなのか?
 本作では、このストーリーの軸となる2つの存在が提示されます。そして、タイトルの意味も…。ドタバタコメディとしての読み方も、ちょっとSF的な作品としても読めるかもしれません。

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アスラクライン (3) やまいはきから

記憶喪失でもいつもと同じ
評価:☆☆☆☆★
 表面的にみると相変わらず流行に乗ったキャラ重視の作品に見えますが、だんだん三雲作品らしい暗さがにじみ出てきたような気がします。
 今回は、スタビライザと呼ばれるものをめぐって、新たな敵?だ登場します。記憶をなくした朱浬さんが、それでもいつものように暴れまわって、さあ大変。智春くんに平和な日常生活は戻るのか?
 どうしても入れたいらしいミステリーチックな要素も含まれています。最後にある智春の独白は果たして次巻以降へも引きづられるのでしょうか…

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アスラクライン

螺旋というのも狙ってるの?
評価:☆☆☆★★
 読み始めてすぐに感じたのは、某推理作家が原作したコミックに兄弟の設定が似ているなぁ、ということでした。わざとなのでしょうが…
 三雲作品の特徴は、マニアックなほど詳細設定にこだわるというところだと個人的には思っています。いつもはそのこだわりがメカに向かう傾向が強いのですが、今回はキャラを前面に出してきました。そのため、多少違和感を感じる人もいるかもしれません。
 しかし、メカ系に関しても色々と設定をしている雰囲気はありますので、今後、そういった部分が前面に出てくると思います。それを楽しみにして…

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ランブルフィッシュ (10) 学園炎上終幕編

始まりの終わり
評価:☆☆☆☆☆
 それぞれの思惑がぶつかり合って開催されたサバイブ。沙樹たちによる死闘が繰り広げられる中、教官たちによる戦いも進行していた。静かに、しかし確実に。秘密にされていた恵理谷地下の謎が明らかになるとき、オーバーテクノロジー、レイドフレイムに潜む原罪が瞳子に襲いかかる。人間は新しい文明のステージに進めるのか?
 ついに完結しました。とはいえ、物語の登場人物たちは、その人生を続けていく気マンマンですが。当初はキャラクターが際限なく増えるので、果たして収拾がつくのだろうかと疑問に思いましたが、メインキャラクターに関しては、ある程度描ききれたようで安心しました。
 今後も、本作品のようなシリアス65%位の作品が出ることに期待します。

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M.G.H.―楽園の鏡像

鳥はソラを舞い、そして哀しく鳴く
評価:☆☆☆☆☆
 我思う、ゆえに、我あり。人間が生きていると言う証しがもし思考にのみあるのならば、人間にとっての世界というものは自分の頭の中だけにしか存在しない。他者とのコミュニケートは単なる結果の伝達に過ぎず、思考プロセスは自分の中でしか記録されないのだから。これは、そんな世界で自分を残そうとあがいた人たちの悲しい物語かもしれない。
 偽装新婚旅行で訪れた宇宙ステーションで起きた不可思議な事故。自分達のみを守るため、事件の謎に迫る凌と舞衣。一体誰が、どんな方法で?そして、なぜこんな場所で?最後まで読めば、それぞれに対する解答が読者に提供されることでしょう。ただし、自分で解決しようとお考えの方は、少し物理の知識が必要かもしれませんが。

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